(63) 介護と政府のサイズ

  (63) 介護と政府のサイズ 
  
  政府の役割は何か?という基本問題を考え直してみましょう。これに関する「総論」は 全世界ほぼ共通です:つまり政府の仕事は「国を守り、国民に仕事を与えること」に尽きます。今日は、日本の政府が「大きい」と「小さい」とで、どちらがどう違うのかを考えてみます。ちなみに、小さな政府の代表はアメリカ(A)、大きな政府の代表はスエーデン(S)です。

♣ ①「国を守る」ことについては、日本は「戦争放棄」の方針です。「非武装」は日本の夢でしょうが、スイスやスエーデンのような福祉国家は「武装」です。尖閣列島の事件があり、日本は「非武装」の意味を再考しているようです。

♣ 次に ②「国民に仕事を与える」ことですが、ここで 政府の大きさの長所・短所を次の諸点で考えてみましょう:市場原理(A > S)、社会保障(A < S)、税金(A < S)、貧富の差(A > S)、国民の安心感(A < S)。この5点で見ると、なかなかユートピアや天国は手に入りにくいこいとが分かります。介護の世界は、税金の多い大きな政府を求めます。

イギリスは 第二次大戦後「揺りかごから墓場まで福祉を整える」として、破産しそうになり、「鉄の女・サッチャー首相」によって、なんとか持ち直してきましたが、その基本的手法は「大きな政府 → 小さな政府」の転換があり、医療と福祉には、ずいぶんの鉄槌が下されました。では スェーデンは どうして「高福祉・高税金」を維持しているの?と不思議がられますが、かの国は資本主義にのっとり、しっかり商売をして、市場競争の原理を勝ち抜いているのです。しかも国民数が少なく、日本の1/10にも及びません。北欧4国が何をしようと、シンボルにはなるものの、世界への影響力は小さいのです。

♣ みなさん、「財源」って考えたこと ありますよね。医療・年金・福祉はお金を食います。○ そこで医療を考えましょう。昔の医療とは「急性病に対応するだけ」でした。今は慢性病や老人医療が主力です。○ 年金を考えます。昔は「恩給」といって、ほそぼそと生活する程度の給与、それも60歳くらいで終わる人生でした。今は巨大な年金制度です。○ 福祉を考えます。私が東京都民生局に勤め始めたころ(1955年)、福祉とは「救貧」に他ならず、今のような「高齢者の介護」なんて、誰も想像さえ しませんでした。

♣「ヒト・モノ・カネ」は密接に関連し合い、「安いモノが沢山ある」、これは幸せですが、そのためには「安い給料のヒトが沢山いる」ことが必要となり、両者は矛盾します。だって、大きな政府でありながら、少ない税金・高度な保障、それって ムリでしょう? もしそれを達成しようとすれば、① 滅私奉公する、② 借金する、③ ムダを削る、④ 他に?

♣ ① は我慢して低所得・長時間労働に耐える . . . できませんね。② 国債借金は800兆円を越えています。結局、答えは ③でしょう。そこで、この場にいらっしゃる皆さんがたの何人かにお尋ねします:医療・福祉の世界において「ムダとは何ですか?」。実のある良いディスカッションをしましょう。

職員の声

声1: 職員は必死で頑張っていますが、老人・病人・弱者は十分助けてもらえない印象があります;政治家にもっと現場を理解してもらいたい(係り:日本のGDPに対する社会保障費は30%を越えました(巨大);解決はGDPを増やす(もっと働け)or 税金を増やす)。

声2: 「小さな政府」になれないのですか?(係り:一番の「金食い虫」は政治組織と年金・医療・福祉です;それを削るのですか?)。

声3: 私は「低負担で高福祉」を望みます(係り: 「働かずして食う」のは難しいことです;そのため植民地支配をしていた国々は、いま苦しんでいます)。

声4: 財源の私案:①福祉目的の増税、②現行福祉の中で過剰福祉を削る、③西欧諸国のように「課税なき寄付行為」を喚起する(係り: ①は検討中、②の過剰福祉って何ですか?③の「寄付」は財務省が絶対反対です)。

声5: バラマキをやめ、中福祉・中負担に落ち着くのでしょう(係り:バラマキは権力維持のため必須;福祉の高低は、寿命の長短と似て、国民の心の相場に依存するように見えます)。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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