(117) 貧困率って?

  (117) 貧困率って? 

  最近の新聞・テレビで「相対的貧困率」という聞き慣れない言葉が紹介されました。これは社会での低所得者の割合を示す指標であるとのこと。今まで厚労省は公式に貧困率を出して来なかったために、なじみが少なかったようです。

♣ これによると、日本の貧困率は、なんと15.3%!! (人口の15.3%が「貧困である」と言う意味)——え?本当ですか? これはOECD(経済協力開発機構)加盟30ヶ国中 5位と高い貧困率です。ちなみに貧困率の高い順は:1位 メキシコ(20.3%)、2位 アメリカ(17%)、3位 トルコ(15.9%)、4位 アイルランド(15.9%)、そして5位が日本です。これらにくらべ、貧困の少ないのは欧州の国々で、イギリス(11.4%)、ドイツ(9.8%)、フランス(7%)、スエーデン(5.3%)などです。日本では小泉政権の市場原理主義により、医療・福祉が崩壊に瀕し、社会ではワーキングプアが激増するなど社会的格差が拡大しました。この10年間、日本の貧困率は、年々上昇を続け、低所得者が増加の一途である、と報じられます。でも、皆さんがた、この数値をすなおに納得できますか? アメリカが貧困第二位とは おかしいではありませんか。

♣ 社会学者たちはいろんな計算法をとりますが、今回は計算方法に問題があるようです。OECDの計算法は、まず各国の標準所得の設定をします;この際 用いられるのは、所得の「中央値」であり、「単純平均値」ではありません。所得の「中央値」とは、国民を所得順に並べた時に真中になる人の所得額です。一般に、所得は低いところに群がり集まり、高いところに少数者の所得があり、右側にイビツです。したがって、所得の「中央値」は「平均値」よりもずっと低い所にあります。「貧困の定義」は、その中央値の半分に及ばない所得を言います。日本では、一世帯あたりおよそ年200万円とされます。

♣ そこで頭を動かしましょう。もし、日本人の所得がこのまま2倍になったとすると、この計算式による限り、貧困率は相変わらず15.3%で、変りません。つまり所得の実額と関係なく、比率だけが前面に出るの で、「貧困」という実態に迫ることができないのです。だからこそ「相対的」という言葉が付け足されているのだと思います。「相対的」といえば、「幸福」と「不幸」のように、古今東西 常に存在し、今後もなくなることはありません。それを あたかも社会問題であるかのごとく扱うのは 考えものでしょう。

♣ 私は自分が育った幼少時、または戦後からバブル成長期のことを思い返します。昔には「赤貧洗うがごとし」という状態が現実に存在し、お乞食も沢山いました。西洋でも “beggar” (乞食)の存在は、長い間 社会の普通の一員としてあり続けていました。日本では、燃料の関係で、お風呂に毎日入ることはならず、石油ストーブが一家一部屋だけにあったのが40年ほど前、冷房に至っては20年前のことです。各世帯別とは言いませんが、日本は昔に比べて、すごく豊かになったのです。福祉施設でも、パールができた10年前で、冷暖房は当たり前となっていましたが、私の子供心で言い表せば、この施設は「夢のおとぎ話の館」です。もしもですよ、冷暖房がなければ、お年寄りは冬間引かれ、夏倒れられるでしょう。それを思うと、私は昨今の「貧困の定義」そのものに不満です。「日本のマスコミよ、もっと自力で思考し 謙遜になれ!」と言いたいです。

♣ 私は なにも お乞食の存在を肯定しているのではありません。もう少し「足るを知れ」と望みたいのです。今のパールにだって、厚労省と東京都のご紹介を通じて、ドイツから、韓国から視察員が訪れ、日本福祉のノウハウを聞きに来ています。だから 日本は決して「世界貧困率」5位で表される国ではないと信じます。マスコミよ、勉強せよ !!

職員の声

声1: 私たちは「貧・富」と「幸・不幸」を混同しがちです;社会問題として考えるのなら、雇用の不足・所得の偏在などで 富の再配分の機能に問題があると思います;縄文時代とは異なり、今の日本には「貧困という暗いみじめな生活」はないと思います。

声2: 「足るを知れ !」とは簡単なようで、実行はむつかしい;人は他人と比べて「貧・富」を感じてしまう ものです(係り:Give me more! の姿勢では トゲトゲしく、貪欲は底が知れません)。

声3: アメリカで貧困と言われる家庭住宅を案内された経験があります;日本の私どもの家よりずっと「大きく、立派」でした;貧困と幸福感は「大きく異なるものだ」という印象でした。

声4: 「貧困率」という指標では 本当の貧しさは見つけられない、と判明します(係り:今では当たり前の「水洗トイレ」:私が就職した若い頃、東京都には「バキウム・カー」という車があって、各家のトイレに溜った糞便を真空機で吸い取り、お茶の水の水路で舟に移し、東京湾の外に流していました;でも それが故に「東京は貧困だ」とは思っていませんでした)。

声5: ボタン一つで冷暖房、そのうえお湯が出てくる;昔のお殿様以上の生活を私たちはしています;「貧困」と「幸せ」を混同すべきではありません;マスコミはもっと勉強した成績を発表すべきだと思いました。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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