(219) ノッポは果たしてヒトか?

  (219) ノッポは果たしてヒトか?

 前回は「帰無仮説」(きむかせつ)について お話ししました1)  。男女の身長差の例を挙げ、「身長の男女差」は、統計的にうまく処理されれば、5%以下の過誤率で 男 > 女 と正しく判定されました(意味:得られた結論の間違い率は100回中 5回以下である)。同じように、裁判は「被告は無罪」という帰無仮説(きむかせつ)の基にはじまるのでしたね。
giraffe
 ♣ 今日はパーティに集まった人々の中で、ひときわ背の高いノッポがあった場合を考えましょう。一般にヒトの属性(身長・体重・睡眠時間・食事量など)は、測定してグラフに落としてみると、正規分布せいきぶんぷ)を示します。つまり「釣鐘状の曲線」であらわせます。上の図のノッポさんは ご覧の通り「キリン」です。つまり、キリンは人間ではないので、このキリンの情報をヒトの情報の中に 不注意に混ぜ込んでしまうと、正規分布の特徴がなくなります。逆に言えば、あなたが得たデータの中で、ひときわ飛び離れた計測値が観察されたとすれば、「それはヒトにキリンさんを混ぜたデータではないか?」と疑ってかかる必要があります。絵にしてしまえば アナログ量ですから すぐ「異質」であることが分かりますが、数字の」場合「ジギタル量」だから、異質かどうか 判定が手間取るのです2)

介護保険での ご利用者やご家族の特性は、およそ正規分布で納得できます。つまり、問題の多い人、少ない人など、多数を観察すれば正規分布になるのです。しかし、データの中には「キリンさん」が混じっていることがあります。この場合、上の図をしっかりと思いだして 対応せねばなりません。

♣ 良い例かどうか分かりませんが、私たちが一番 困るのが「過度に神経質なご利用者」または「クレームの電話をジャンジャン鳴らすご家族」などです。普通の人には 普通の会話が通用しますが、 「キリンさんかな?」と疑われる方は、別な対応で仕事をこなしましょう。そもそも パーティーにはキリンさんを呼ばないはずですが、中には混ざってしまうことがあるのです。

♣ 「ノッポは果たして人か?」 を思い出し、あまり 落ち込まないようにしましょう。

    参考:パールの安全管理 1)   # 213 : 判断は帰無仮説で。 2) # 205 : デジタル と アナログ。

職員の声

声1:もし「キリン」とあなたが言われたら、あなたはどう感じるでしょうか?(係り:背丈が高いゆえにキリンであるとは限りません。日本人やスエーデン人、アメリカ人などが混ざっていれば、ノッポのキリンはたくさん居るでしょう。その場合、母集団を”日本人・スエーデン人・アメリカ人”と記載せねばなりません)。

声2: 目に見える ジギタル量の「背丈」ならいいけれど、量ることの困難な「変な人」が徘徊している場合、「あなたの対応能力を磨くことができる」という理事長の言葉が印象に残りました(係り:徘徊にノッポも普通も区別はありません、病的状態は それだけで別なグループとして対応すべきです。

声3: 正規分布以外の人への対応も大切と学びました(係り:特に「事故発生」や頻度の少ない「クレーム」などは件数が少なくて、統計分析が困難です。一般に、数値に置き換えれられるモノは正規分布しますが、「親切~不親切」とか「賢い~バカ」などの抽象的指標は 別な方法で とらえましょう。

声4: 様々な異なる性格・生活をしているご利用者であっても、キリンをのけものにすることなく、立派な対応をしておられる先輩たちに感嘆しております。

声5:
 今日、この会で発表された AT様の "下ネタ・自殺志向" の言動も、ご利用者の心の中では「正規分布の外」でしょうね(係り:こんな場合でこそ、あなたのケアの力量がしっかり問われると思います)。




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Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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