(243) ケアの 2012年問題

 (243) ケアの2012年問題   

 来年は 2012年、そこには新鮮な介護の問題が待ちうけています。それは 団塊(だんかい)の世代が65歳に突入する年です。

♣ そもそも「団塊」って何ですか?それは “岩の形態”を表わす言葉で「周囲より硬い塊(かたまり)」を指します。作家の堺屋太一氏が「団塊の世代」という著書を表わして 有名になりました。その意味は 終戦後 昭和22年~24年の3年間に 806万人のベービーブームが起こった現象を指し(毎年 約270万人のベイビー出生 ―― 前年まで約180万人;現在は毎年110万人)、以後66年間、学校・就職・社会の戦力(金の卵)などの面で多大な影響力を持ってきました。団塊世代の特徴は「仕事人間」であり、「仕事以外に趣味が少ない人間」ともいえます。その方々が「年金・医療・介護」の主要な対象に参入なさるのです。政府や社会の人々は この事への キチンとした対応を考えねばなりませんね。

♣ 「社会保障国民会議」の試算によると、もし現状のケア体制が維持された場合、医療・介護費用は 対象者の増加に伴って「91兆円」に増えるそうです。これは 今年の国家総予算(95兆円)に匹敵します。

♣ かって 戦後の池田内閣のとき(昭和35年)、「所得倍増論」という掛声があって、国民は希望に満ち溢れ、一生懸命に働いて、それを実現しました。でも 今の労働条件や社会背景は その頃とは違いますね;その頃は みんな貧乏でした。貧乏だったからこそ 力強く働き、所得倍増どころか 国民は「所得二十倍増」を達成してしまったのです(所得は1万円からスタートし2万円へ、さらに現在の20万円へ)。今の人々は裕福な生活に慣れています。その裕福な人々が 倍増する福祉経費を 切り盛りするのは 重いテーマですが、なんとかして 「福祉の切り盛り倍増論」を工夫しなければ 国は滅びてしまいます。現在の介護でさえ クレームが多くて 仕事は難渋していますが、ここで どっしりと腰を落ち着け、対応を考える必要があります。私の展望を 四つ 述べます。

そもそも 昔の人たちは 自分の老後を どう考えていたのでしょうか? その鍵は「長男の嫁」でした。希望の寿命も せいぜい「還暦」まで;だから 長男の嫁も 4~5年の親孝行で 世の中は丸く治まっていました(逆に 子のいない親は哀れでした)。けれど、池田総理の所得倍増論が現実的になるにつれ、人々の寿命は長くなり三世代所帯が二世帯所帯、さらに単身所帯に進化するにつれ、 「安心して過ごせる老後」は困難になりました。

 私の父母も20年前、子供たちやお手伝いさんが時々助けはしたものの、基本的には「老々介護の二人暮し」を余儀なくされていました。そんな中の2000年に 政府は「介護保険を発足」したのです !! タイムリーでしたね。私の母は老後の後半を なんとか 介護保険の恩恵に浴することができ、そのあと 96歳で 旅立っていきました。そこで「団塊の世代」も いきなり65歳で「介護保険」に依存されると、大変なことになります。まずは「老々介護」からスタートして頂きたい です。先行き「認々介護」になるかも、知れませんが、でも まだ それは 「二人所帯」ですよ ! 「一人所帯の寂しさ」に比べ、はるかに 心豊かな老後であると思います。

同時に、老人は まず長命であって欲しい、そして また 良きQOLを目指して頂きたい。明治・大正生まれの人々は、還暦まで生きれば本望だったでしょう。彼らは 今、40歳も余分に生きられて 本望をはるかに越えています !! でも昭和生まれの お年よりは 単に 100歳だけではダメ! ! 100歳プラス良きQOLを持つべき です ! その上 望むらくは「社会貢献」をして頂きたい。「良きQOLと社会貢献」 こそ 「団塊世代のケアの鍵」であると思います( = 年寄りは自立 ! )。

とは言っても 落伍者が出るのは世の常。落穂ひろいも考慮しておきましょう。それは「新機軸の発見」(Innovation)です。日本は 元弘の役げんこうのえき)を神風の出現で助けられました。維新の黒船事件の不平等条約も 明治の元老たちの努力で解決しました。原爆の不幸さえも 池田首相の「貧乏人は麦を食え ! 」の一声で「所得倍増」を成し遂げました。今年の12月には、厚労省も「延命胃瘻は好ましくない」と ついに重い腰を上げて言明しました。歴史も環境も整っています。あとは Innovation を発掘・実行するのみです。その一例として 私は「介護ロボットの実用化1、2) に言及したこともあります。

♣ 皆さん、「ケアの2012年問題」を意識して、世に先駆け、パール・オリジナルの展開をしてみようではありませんか !

 参考: パールの安全管理 1) # 8 : 福祉の100年後を展望。2) # 119 : お一人を4人で守る。

職員の声

声1: 2012年から 団塊の世代が「介護の一号保険者」になって財政を圧迫することは 64年前からわかっていたハズ、だから政府は今になって「増税 ! 」と来たのでしょうか?(係り:最近の6年 総理は毎年交代、彼らは先のことを考える余裕がない;日本は「その日暮らし」の政治です;そういう政治家を選んだこと と 増税は国民の責任でしょう)。

声2: 団塊の世代のお蔭で 日本は右肩上がりの景気を実現できました;その方々が今 介護を受けようとすると、非難の的にされる;まったく ひどい世間ではないか ! (係り:だ ! )。

声3: この問題を乗り切るために 定年を延長、ただし若者には新しい仕事を掘り出して欲しい(係り:中央官庁のように、同学年から一人「次官」が出ると、他の同級生は“外に飛ばされる”というような「悪癖」を真っ先に退治すべき——こんな日本の野蛮な習慣が社会を暗くしている ! )。

声4: 現在の就職難 + 定年後にも働ける環境、この両者を提供してもらいたいです(係り:昔は「横着な怠け者」の運命は おのずと決まっていました;今は こういう人たちをも救う姿勢です;しかし それに必要な予算は なけなしの「少子」から搾り取る税金です——これは正当でしょうか?人々の意識改革が必要ではないでしょうか? 若い人だででなく、パールでは60~70歳の人も沢山 働いています)。

声5: 高齢の親に延命胃瘻をつける人たちの心は何を求めているのでしょう?(係り:延命胃瘻は日本だけの風習です —— 欧米は「罪の文化」日本は「恥の文化」 、つまり 高齢の親に胃瘻をつけ 自分の無知な恥を他人の目から“帳消し”にしたつもりのタワケなのです)。

声6: 歳をとって夫婦とも認知症で、「認々介護」なんて 昔は考えもしなかったです;医学の進歩かも知れないけれど、複雑な気分です(係り:今のご時世は 医学だけでなく、戦争まで変わってきました:アフガニスタンの山あいを攻撃するのに、ワシントンにいる将軍たち は コーヒーを飲みながら衛星通信でジョイスティックを操作して、ミサイルの狙いをつけるそうです。日本・アメリカ・全ての先進国の人々は「ノアの箱舟」で洗い流されるかもしれませんね)。

声7: 私は舅・姑(しゅうと・しゅうとめ)の介護を覚悟して嫁になった 昔風の女です;でも私自身の介護は誰がしてくれるのでしょうか?(係り:昔風に、あなたの長男の嫁ですよ ! )。

声8: 私は働ける限り働くつもり;「100歳で良きQOLと社会貢献」って大賛成;「年寄りは自立 ! 」というモットーも すがすがしいです。

声9: 働ける自分がいること、働く場所があること;この2点を感謝し、最期はポックリ逝きたいです(係り:あなたは ノーベル平和賞の候補になるでしょう)。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
安全管理 ふじひろのページ

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