(369) ハインリッヒ と マーフィー

 (369) ハインリッヒ と マーフィー    

 この題名は いずれも「人の名前」であり、「法則」であり、パールの会議で話題になったことがあります 1, 2)

ハインリッヒの法則の概要は:一つの事故(アクシデント)の元に30のニアミスがある;一つのニアミスには30のヒヤリハットがある、という法則です。言い換えれば、一つのアクシデントは 30×30=900 のヒヤリハットの集積である、という経験則です。だから、ヒヤリハットを少なくすることでニアミスを防ぎ、ニアミスを心してアクシデントを防ぐ、という 飛行機や交通全般・食品業界で役立つ教訓でもあります。電車の運転手がやっている「指さし確認」はその具体的方法ですね。

♣ パールには「ヒヤリハット報告書」という制度があり、毎日 1~2枚程度が提出され、毎月2回のケアカンファで全職員に報告・徹底されます。その中身は「転倒事故・破損・鍵や衣類の渡し忘れ・お寝坊」などがありますが、ヒヤリハットを重ねても、報告枚数は なかなか減りません。特に転倒報告」は 全体の過半数を占め、実際の歩行中の転倒のほかに「ベットからの転落・椅子からの滑落・ソーファからのずり落ち・トイレ内での座り込み」など多彩であり、「他人の失敗から学ぶことが少ない領域」です。ショート・ステイやデイ・サービスでは、「メガネや衣類など お預かり品」のお返しで混乱が続き、与薬のタイミングでは神経をすり減らします。お皿を洗えば いつかは割れる;車は故障する;飛行機は落ちる;これらと同じように多数のお年寄り を預かれば、ヒヤリハットを起こさないようにするのは大変です。限られた職員数で、細やかな生活サービスを無事に行うのは なかなか厄介で、ハインリッヒからの学びは 案外に少なく、 事故始末書」のレベルから抜け出るのは大変です。

マーフーの法則の概要は:――「何事であれ失敗する可能性のあるものは、いずれ失敗する3) と述べます。私たちの「潜在意識」が呼ぶのでしょうか、「うまく行かなくなる幾つかの方法があるとき、そのうちでも最悪のものが起こる」というのが日常的です。介護の場では、トイレ介助で ご利用者に「座っていて くださいね」と言って棚の上のペーパーに手を延ばして目を離した瞬間に、その人が立ち上がり、おまけに転ぶ(10年間に大腿骨骨折が2例ありました)、といった具合です。

♣ 私たちは ハインリッヒだとか マーフーと言って 十分警戒するのですが、先人達が からかい半分で残した法則通りに、一番悪い選択肢が選ばれてしまいます。有名なお話では、 アイザック・ニュートン が、卵を茹でるべきところ、うかつにも 大事な懐中時計を茹でた、という故事もあります4) 油断はならない !! あなたにも、このような経験がありますか?

♣ ハインリッヒもマーフィーも、私たちのすぐ傍で待ち受けています。いずれも、ちょっと「滑稽さ」が感じられる「生活の知恵」を語るものです。拳々服膺けんけん ふくようを心がけましょう。

パールの安全管理 1) # 62 : 過失と責任。 2) # 82 : エラーのひみつ。 3) # 50 : 六つのべからず。4) # 236 : 妄覚と錯覚。

職員の声

声1: 私はハインリッヒの法則を初めて聞きました係り:済んでしまった報告が主体ですね;できれば“予防”に成功した、という報告が欲しい)。

声2: みんながヒヤリハット・レポートを出すことにより、心がけねばならない事がお互いに伝わります

声3: レポートの発表を聞いていると、我が事のようだ と思い 気を引き締めています。

声4: 報告書の統計を見ると、アクシデント・ニアミス・ヒヤリハット共に「特養」からの報告が過半数です;一番高齢のグループで 要介護度も高く、神経がとがりますね、ご苦労さまと申し上げたい。

声5: 同じ失敗が何度も報告されますが、少しは学んで欲しい(係り:上記の 転倒関係、預かり品の混乱」は神経戦 です;お寝坊による遅刻、思い込みによる訪問時間の間違い . . . 」、ご利用者の勝手・職員自身のエラー、こもごもです;情報ごとに各部署で話し合いが持たれています)。

声6: ご利用者はエレベーターの扉の動き に敏感です;徘徊・脱走を未然に防いだ ことが 月に何度か、それでも脱走に成功する ご利用者が年に2~3例あります(係り:マーフィーの法則に注意して、鍵の管理はほぼ完璧ですが、ご家族の出入りの隙間までは目が届きにくい です)。

声7: 事件を怖れるあまりに消極的なのは どうかと思うし、用心深くなりすぎるのも窮屈です(係り:人間、訓練が進むと ほぼ平均的な注意力が整います;そうすれば、お互いの経験談 を語りあって、笑い飛ばしながら協力することもできるようになります)。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
安全管理 ふじひろのページ

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