(381) 合成 の 錯誤 (さくご)

 (381) 合成 の 錯誤( さくご )   

  よく似た兄弟のうち、 「弟」を見て「兄」と見間違える ことって あり得ますよね。これは「錯覚( さっかく )と呼ばれます。

♣ 「錯」は“乱れ誤る”こと、つまり、後で誤りに気付きます(初めは「真実」と思ったのに、あとで「間違い だった」ことを知るのが「錯覚」です)。 有名な錯覚の例:(ニュートンの実例卵を茹でた と思っていたが、実は「懐中時計」を茹でて しまった —— など。

♣ ところが 世の中には、事前も事後も 真実 であるにもかかわらず、その「真実」が たくさん重なり合うと「真実ではなくなって 錯誤になる」という ケッタイな社会現象があります。それが 今日のお話の「合成の錯誤1) です。

♣ 例をいくつか挙げると: 早起きは三文の得 —— あなただけが早起きするなら “三文の得”になるし これは真実、しかし世の中 全員が早起きするのなら 真実ではなくなります。 貯蓄は 美徳 —— あなただけが貯蓄するなら 真実です;でも社会の全員が貯蓄を増やすと、消費が減り世は不景気になって美徳とは言えなくなります;つまり、個人にとって良いことであっても、社会の全員が同じことをすると 結果は逆になります。 浪費は悪徳 —— もし浪費を減らして節約に励めば 有効需要が減るし、不況が深刻化するから 節約は良くない;むしろ浪費がお奨めでしょう?つまり 不況時には「浪費は悪徳ではなく 美徳」であり、またもや 逆の結末となります。現在の“モノ余りデフレ” は まさに このことを言い当てています。

♣ 「合成の錯誤」は 福祉の世界でも 堂々と成り立っています。例を挙げます: 老後が心配 —— 不況だから お金を銀行に預ける —— でも国は不景気防止のために消費して欲しい —— 日銀は預金防止のために金利を0% に下げたが 人々は更に貯蓄を増やす —— 諸銀行は借り手が少ないから、そのお金を政府に貸す、しかし政府は借金を支出するだけで利益を生まず、物価は上がる。だから40年後に使う預貯金の価値は低下するばかり 老後の安心は確保できない。かくして景気の「失われた20年」は これから「失われる40年」になる怖れがある —— これがデフレ・スパイラルの構造ですが、どこかで この悪循環を断たねばならないよね。

元気で長生き —— これは「完全な合成の錯誤」です。あなたは 長生きしたいけれど、もし みんなが元気で122歳 2) になったら日本は大混乱 になるでしょうが —— ほどよく逝って下さい、が真実ですか?

♣ 結局 私が言いたい事は:—— 「合成の過誤」を知っている人は ごく少数の あなたがただけ だから、他人が何と言おうと ① ~ ⑦ のような「真実」を選んで しかも 一人で実行する事をお奨めします。マスコミの雑音を気にしてはダメ !!

参考: 1) “合成の錯誤”は Fallacy of Composition の訳語。Fallacy = 錯誤・誤った推論(誤謬);Composition = 言葉や物の合成・混成。  2) ギネス・ブックの最長寿者:ジャンヌ・カルマン さんは フランス人女性、122歳で 1999年没。

職員の声

声1: 「真実」が たくさん重なり合うと「真実ではなくなって 錯誤になる」、と説明を受けました;紹介事例は「なるほど ! 」と思いました(係り:「お年寄りは元気で長生きが良い」と合言葉のように言われますが、みんなが122歳にはなれないだろう し、もし なれてもきっと病気でしょう;つまり この合言葉は“錯誤”で終わりますね)。

声2: “錯誤”とは 半分 “嘘っぽい願望”のことですか?(係り錯誤は「嘘」ではありません —— この合言葉を言う前でも、言ったあとでも「真実」であることには変わりないからです。社会現象は このように矛盾に満ちたものだ、と学びましょう -- ひところ小学校の運動会で流行した”みんなが手を繋いで一等賞”有り得ない のです)。

声3: 私は若い頃から「貯蓄は美徳」、「浪費は悪徳」と習い、今でもそう信じています;この常識は通用しないのですか?(係り:これこそ典型的な「合成の錯誤です:みんなが貯蓄してモノを買わなければ 需要が減って 社会も あなたもデフレで苦しむ;また浪費をやめて貯蓄にお金を回せば、おなじくデフレで苦しむ —— 昨今の日本の状況ですね。つまり、貯蓄も浪費も ほどほどが良い、ということを教えます)。

声4: 貯蓄しても “預貯金の資産価値は下がるから 程よく使いなさい”なのでしょうが、老後のために貯蓄しないと 不安です係り:価値の低下を防ぐ方法として「金やダイヤモンドの購入」を勧める人もありますが、一番 頼れる方法は「隠退せず 歳をとっても 現役で働くこと」でしょう —— これなら“合成の錯誤”になりません)。

声5: 八代将軍「吉宗」の時代、江戸は「節約令」、名古屋は「浪費令」;どちらが正しかったのか知りませんが、けっきょく江戸幕府は倒れました:マツダ自動車の会長が言っていた座右の言葉を思い出します = ムダを省いて ゼイタクをせよ係りムダもゼイタクも両方 必要、そのバランスを取れ、ということですね)。

声6: 常識や当然と思うことを疑いステレオタイプの情報を鵜呑み( うのみ )にせず、よく考えて行動し、自分の哲学を持つ —— これは難しいことですが、私の理想とするところです(係り:今日の安全管理を締めくくるような とても良い ご意見です、有難う)。
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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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