(393) ピンコロか? ジワコロか?

 (393) ピンコロか? ジワコロか? 

 介護施設で働く職員たちは 自分のピンコロ 1) を切実に願望します。ナゼでしょう?

♣ それは、お世話する ほとんどのお年寄り が 長患いで 痩せ細って 手当ての限りを求めて 淋しく逝ってしまわれるからです。病院で亡くなる場合でも、スパゲッティ状態で管理され 物も言えないまま 生命を終えるのを見ます。

♣ 2400年前、お釈迦様は「生老病死」とおっしゃって、「死」を人の悩みの中心に定められましたが、死への対応儀式は昔も今も大変です。だから 自分の場合は、死の直前まで ピンピン元気、そして何を考える暇もなく コロッと逝きたい;これは ごくごく自然の願望でしょう。

♣ 全国には「ポックリ寺1) ピンコロ地蔵」が沢山あって、その願いの信者で賑わっているそうです。で、今 現実にピンコロ願望は叶えられているでしょうか? 静かなデータで検討してみます。

♣ 日本では およそ生死の数は 110万人ずつ、ほぼ均衡状態です。死亡の約半数が病気で、残る半数は老衰です。病気のうちガン(約30万)、心不全(約20万)、重症脳発作(約10万)は「ピンコロ願望」の外ですね。事故死(6~7万:火・水・交通・自殺など)はピンコロ死ですけれど、願望する暇もありません。すると 残る死亡数の大部分が「老衰関連」 です。つまり、私たちは 願望によって「ピンコロ」に割り込む余地は ない よう です。

♣ いや、稀にはあります。パールの201例の観察で ピンコロ願望の一例;それは 90歳の女性;前の夜まで元気、翌日の朝「大動脈瘤破裂」で即死 ―― 大騒ぎでした。この病気によって 90歳代で破裂、とは珍しいことです。しかし、一般に "> 「高齢+ピンコロ」 両方の同時達成が叶うのは稀 です。

♣ では 死亡診断書の病名で多い 「老衰」の正体は何 なのでしょうか?長い「寝たきり」の後の診断書病名で多い「心不全」でさえも、それは果たして心臓の病気だったのかどうか、疑問が残ります。「呼吸不全」でも同じくです。実態の大多数は「誤嚥性肺炎」ですが 2) 、普通の人は 慢性の脳・心・肺の死亡を好まず、多くの人はパッと死にたいと言います。でも「ピンコロ死」なら、たぶん その人には主治医がいない だろうから、法定の死亡診断名は何 と決まるでしょうか? —— 犯罪の疑い? . . . なら司法解剖です ! ――でしょう?

♣ 他方、日本は世界一 平均寿命が長い ので有名ですが、その実態は3) 男: 健康寿命 70.4歳 + 病気寿命 9.1年女: 健康寿命 73.6歳 + 病気寿命 12.7年。つまり 日本の男女は 世界一長い「長寿+長患い」なのです。これでは 歴史に向かって誇れないし、 「ピンコロ願望」の真意さえ疑わし くなります。

♣ 「ワシは いつ逝ってもいいのだが、お迎えが なかなか来ないのじゃ」とおっしゃるお年寄り —— でも若者の肩には ずっしりと重い敬老の税金 が掛かります。

♣ ピンコロ願望はあっても、その達成は稀 ! ―― つまり「長生きとは こんなものだ ! 」なのです。“それで良し ! ”と思いませんか? 皆さん、よーく考えて、意見を述べて下さい。

参考:パールの安全管理  1) # 179 : 人気の続くポックリ病。 2) # 185 : 百歳寿の死因。 3) # 320 : 介護期間を短縮する。

職員の声

声1: ピンコロは哀れ ! 長患いは苦しみ ! です . . . 私は一週間くらいの病いで逝きたい係り:これは万人の理想です;それの達成には 老人の「自然死」が一番 苦しまない (らく)です ―― 点滴・胃瘻は 生き地獄 ! )。

声2: 特養での観察では、ピンコロなんてナイ ! 係り:戦後、人生50歳の頃は 認知症になる前に死んでいました;近年 認知症は激増、でも「愛とケア」により ピンコロは防がれています)。

声3: 日本人の統計では、死ぬ前の10年間をジワジワ‘病気で過ごしている’―― これでは「ピンコロ」どころか、「ジワコロ」だ ! (係り:言えてる ! みんな、 ‘ジワコロ’ を嫌うあまり‘ピンコロ願望’ に走るのかも)。

声4: 私も両親もピンコロが希望です;高齢の老人が 意に反して生かされているのは「考えもの」と感じます(係り:多くの人は 「ジワコロ」 (上記) を希望する訳ではないけど、長生き → 認知症 → ピンコロ希望だった自分を忘却 → 「ジワコロ」→ 若者の肩へずっしり負担、という流れ ですね)。

声5: 私は自分への介護が必要ないよう、健康な歳をとりたい(係り:昔は長男の嫁」がタダで世話 してくれました ―― だから男の子が生まれ 育つまで 働いて頑張りました:今は「介護保険」でラクチン、自分の子なんて関係なく幸せです)。

声6: 長生きと言っても 統計的に、生涯の終わりの12年は病気、その上 若者へ大きな負担 ! それでは悲しいナー ! . . . 私は最期まで病院に行かず頑張りたい ナー(係り:それは無茶でしょう . . . そもそも 福祉の発展は「病気で長生き」 (= ジワコロ) を目標にしますよね? だって、もし 高齢者が「元気で長生き」が目標だったら、少子化もあるので、地球は年寄りだらけになり、若者の居場所がなくなります)。

声7: 私の解決法は:―― 命の最期に「麻酔」を掛けて貰う . . . それが効いているうちに天命を終わらせる(係り:オランダ方式ですね:麻酔を掛ける医師は オランダでさえ「告発」され 「裁判」を受け 「判決」 . . . の道筋です;その医師は 二度目からは この筋道への協力を嫌がります)。

声8: 私はピンコロを望むけれど、私の両親は「苦しまないで 長生き」をして欲しい係り:あなたの心は美しいけれど、つまり ご両親をどうしたいのですか? ピンコロの実態 は「宝くじ」を想定すれば分かり易い → 一等賞(ピンコロ)を望んでも 当たる人は一人だけ で、残りの人は‘ジワコロ’ (上記) なのです ! . . . 要介護5で70歳から90歳まで生きれば  ‘一億円’掛かる ! . . . だからこそ‘ピンコロ’で逝けば 気兼ねがない という発想もあるのでしょうか?やはり、お金を使う人は 自分で蓄積しておかねばね ! ;それでこそ ピンコロ問題の解決 に 一歩近づけるのではないでしょうか?)。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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