(414) 釜中 (ふちゅう)の魚

  (414) 釜中 (ふちゅう )の魚  

 「釜中(ふちゅう)の魚」という言葉がある。釜の水が しばらく後に熱くなり、中で煮られることを知らずに泳ぐ魚は、将来の危機に気付かず 能天気である。中国古代の史書「資治通鑑 (しじ つうがん) の中で、述べられている。身を守るための憲法改正論議を怠ってきた 日本の政治も十分「釜中の魚」かもしれない。

♣ さて「資治通鑑」 (しじ つうがん) と言うからには、もう千年以上も昔の格言である。安全管理 #169「茹で蛙」の寓話でも すでに述べたが、これは欧米での警句 =「蛙を暑いお湯のなかに放り込めば、ビックリして飛びだすが、水の中に蛙をいれ 下から弱火でジワジワと暖めて行った場合、蛙は暑さに気付くことなく、やがて茹であがってしまう」と似ている。

♣ 「茹で蛙」の寓話は歴史的に新しい;「資治通鑑」は歴史的に古い;つまり人間は この問題に千年の昔から直面しているのに 優柔不断が常で 煮え切らない対応しかできなかった、という故事を表わす。「まー、エエだろう;誰か他の人がやるさ ! 」と決断を持ち越すのは「楽チン」であるが 危険この上もないことである。

♣ 私がここで問題にする「まー、エーだろう」は 「老人の人口問題」 である。今のペースで“多老少子”が進めば、老人一人を養うのに 若者一人の力が取られる。若者の数は減って行き、やがて日本の人口は8000万人に減じ、その時の平均年齢は「90歳を越える ! 」のだ。こんな老齢の国を軍事的に征服するのは 近隣の国でなくても、お安いご用であろう。

♣ そう、老人は大切に扱わねばいけない ―― 事実、若者からの献血の大半(85%)は老人医療に使われている が、だからと言って 手厚い介護で 老人人口を 野放しにしてもいけない のだ ! そのためには 若者に「寄生」することを前提にした現今の老人福祉制度は見直されるべきだし、同時に 若い子孫・赤ちゃんの数は増えて貰わねばなぬ。

♣ これを達成するためには、老人が若者に「厚かましいキリギリスの願いをする習慣を 改めるべきなのだ ! 老人福祉を援護するご仁たち、老人を「至れり尽くせりで 手厚くもてなす」プランを 頻繁に 提案される心は素晴らしいが、「釜中 (ふちゅう) の魚」「茹で蛙」の寓話を頭に入れているだろうか?

♣ 釜の中の温度が 上がりつつある昨今、今まで通り「お年寄りを大切に致しましょう」の 能天気な掛け声だけで良いのだろうか?―― その論調は、危機感をあおり “世の中、老人が増え過ぎて 若者がつぶされる ! ” とするが、じゃ 具体的に 老人の数を調節できるの? という視点が まるでナイ ! そこを私は心配するのだ: 老人延寿が推進され、その結果 平均寿命が90歳を越え、国防体制が弱体化し、その揚句 年寄り日本が他国の餌食にされてしまう将来は 困るだろう?

♣ 私は思う:多くの老人たちは 無理な延寿ではなく 適正で「安心・幸せ感」を求めている のと違うだろうか?確かに 延寿は 国の生産性に余力があってこそ可能なのだ。若者から社会生産性を奪う政策、老人の数のみを増やす延寿政策を このまま推進すれば、「釜中 (ふちゅう) の魚」「茹で蛙」の 悲惨を目の前にすることになる。私は心からそれを心配している。

♣ つまり、福祉実現のため、① 「入るを図る ! 」――税制や給付の適正化、 ならびに ② 「出ずるを制す ! 」――対象者 (老人) の臨床像を限定すること が現在の眼目ではないか?

♣ 「釜中の魚の愚」は避けたい。老人問題の解釈には 自分の背中に矢が当たらない 「建前の論議」だけでは不十分 だ。つまり 格好良しの「建前論」はいい加減にして、「本音の解決」を語るようにしなければ いけない。

 * 参考:冬に向かって 寒さに困ったキリギリス;“蟻さん、ボクに餌と寝場所を下さい”――“キリギリスさんの1 ~ 2匹ならOK ! でも10匹も来られては 僕はパンク !

職員の声 

声1: 私は優柔不断で「まー、エーだろう」と思うことがしばしばだ;釜中の魚にならないように心掛けたい。

声2: 老人は 無理な長寿ではなく、適正な「安心感・幸せ」を求めているのではないか との お言葉に「ハッと」させられた係り: 年寄りと聞けば “丈夫で長生き” と来たものだ ―― その実態は“病気で長生きであり、今時のお年寄りは 家族が言うほど “長生き” に固執していない)。

声3: 今 介護の世界で一番問題なのは「多老少子であり、まさに「釜中の魚」の喩え (たとえ) そのものである;老人が増えると言っても チビチビ増えるから「多老」の気分は少ない;そこが問題なのだ(係り:今 増えた老人を減らす訳にはいかないが、これから増える “ジワコロ”の老人 を減らすことなら できる → 今、胃瘻・透析で 4兆円かかっている)。

声4: パールでは65歳以上で正規就労の方々が15% 程度 働いておられ 、これが来月の「厚労省のパール表彰」の理由だと聞く―― 世間一般でも65歳以上の就労を心がけて頂くと 世の中は明るくなる。

声5: 社会保障の考え方は時代と共に変化する;お金が乏しくなった政府は 人々を消費者 → 社会参加者へと導く(係り:昔 “年寄りは楽 (らく) して下さい”が合言葉だったが、それは無限の寄生虫を意味する ―― 今は「生涯現役」が目標となった)。

声6: 高齢者の活躍は望ましいが、高額給与者が上につかえると、下のウダツが上がらない; 高齢者は低い給与額の社会参加をして欲しい(係り:テレビで 現在の「東電」や「北海道鉄道」の年寄り社長らのやり取りを見ていると、幕末の志士・吉田松陰 (29歳で打ち首になった) 以下の 知恵のない答弁しかしていない ―― 老人の跋扈 ( ばっこ ) そのものだ、若者を登用せよ ! )。

声7: 介護保険の 自己負担が 一割 → 二割に増える とのこと(係り:当事者にとってみれば”心細い“ことだろうが、「多老少子」)という環境は乗り切らねばならないし)。

声8: 要支援 」を給付から外す、但し 財源は介護保険のまま ―― これ中途半端だ、もっとバッサリ行くべし。

声9: 日本に生まれて良かった、と思えるようになって欲しい(係り:英・米・独・仏と日本を比較する優劣論は多いが、たとえば アフリカ・中近東・中央アジアの多数の国々に比べれば、日本は天国 だと思うよ。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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