(421) 転倒 と 疲労骨折

  (421) 転倒 と 疲労骨折 の お話  

 89歳のショート・ステイ入所女性(要介護3)、深夜0時のトイレ誘導時には歩行正常;ベットで睡眠後 朝一番のトイレ誘導で右鼠径部が痛むと言う。この間、ベットから出た形跡はない。

♣ 特養では正確な診断が出来なかったが、状況から「右大腿骨骨頭骨折」を疑い、まずご家庭へ電話連絡 ―― 連絡がつかず、本人を病院へのご案内が遅れた。その後の 病院受診で「右大腿骨骨頭骨折」が確診されたが、ご家族は骨折?の連絡が不十分、転倒なくして骨折の説明は? 」と迫られた。誠意を持って話し合いを行った結果、円満な解決に到達することが出来た。

♣ 私たちは 高齢女性の入所時には「骨折のお話」という自作のパンフレットと共に、骨折のリスクについて 話し合いをするのが常である。パンフレットを再点検すると、骨折の誘因の項目が不足ぎみだったことが判明、その個所(わずかな動作)を補強し「疲労骨折」の名称も入れて作成し直した。これをご家族に読んで貰って勉強して頂き、現場で働く職員たちの参考にも資するため、ブロッグでご紹介する。以下は 本文:――

人は 高齢になるにつれ 骨粗鬆症 ( こつ そしょう しょう )を患います。骨粗鬆症とは「骨からカルシウムが抜け出て、骨の強度が落ちる状態」です。加齢現象により、私たちは 誰も これから逃れることはできません。その結果、しばしば「骨折」が発生します。この問題は、とくに 高齢の女性では深刻な問題となっています。

骨折を防ぐためには、まず 日常生活で 転倒(ころぶ、つまずく、滑り落ちる、膝抜けする . . . など)を防ぐ必要があり、この他 わずかな動作(オムツ取り替え、自らの寝返り、くしゃみ や 咳 . . .など)が誘因となります。認知症のご本人の注意意識には限度があるので、周囲の人が気をつけるしかありません。もし 注意の程度を強めると、それは「身体の拘束」に繋がり、ご本人の「生活の質」を落とします。また介護保険は 可能な限り「拘束の禁止」を謳っていますので、ここに相互矛盾があります。

人の骨は 絶えず「破骨作用と造骨作用」によって作り換えられており、数年で新品の骨になります。その際 年齢に応じて、新品の骨は 外形は同じなのに、含まれているカルシウムは年々減少、強度は落ち、骨の中はスカスカになります = 骨粗鬆症 。その結果、痛みのない「微細骨折( びさい こっせつ )が 重なって発生していきます。この微細骨折は年齢現象だから生活の場に関係なく現れ、「疲労骨折」を招きます。

また、高齢者は何十年にもわたって二足歩行を重ねるので 転倒を防ぐことが 困難になります。つまり、人の体は 長年使っているうちに ガタがくる のです。「お皿を洗っていれば いつかは 割れる、自動車や飛行機でも メンテを続けてさえ いずれは使えなくなる」と同じ因果関係です —— どんなに注意をしていても、「万年目の亀」は 訪れて来ます

言ってみれば、高齢者ご婦人の骨は「コワレモノ」です。コワレモノは 預ける人・お預かりする人、両方に責任があります。しかし、責任を重んじる余りに、体を「大事にし過ぎて」動かさないでいると、骨はますますスカスカになります。また、転倒を防止するためには、高度な身体拘束が有効かもしれませんが、ここで「生活行動上の自由」 対 「骨折の危険」の矛盾が発生します。

私たちは、行動の自由」を できるだけ優先した生活こそ、介護の有るべき姿だと考えます。骨折を怖れるあまり 身体拘束を強めるのは 介護保険の自立支援の趣旨にも反していると思われます。

つまり、骨粗鬆症の状態になると やがて身体拘束の有無にかかわらず、一寸した力が掛かっただけで骨折を起こすこともあります;このことを 皆で理解していきましょう。


. . . 社会福祉法人 パール 理事長 . . . . . . 新谷 弘子 . . .印
. . . 説明者          
. . . 20xx . . 年 . . 月 . . 日  
         
. . . . . 私は、上記のように説明を受け、その内容を理解しました。その上で、納得し、同意します。

. . . . . . 氏名 . . . . . . 印 . . 続柄    

. . . . . . 氏名 . . . . . . 印 . . 続柄   

2013.10.27 第四版
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「ふじ」=新谷冨士雄
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