(445) 言語化 と 数量化

  (445) 言語化と数量化

 お年寄りは ある意味でギリギリの限界で生きている。

♣ その限界とは何か? それは、観察によってのみ得られる新事実から導かれるものだ。だからヒトをよく観察することが大事となる。あなたが観察すればするほど、真実はあなたに近づいて来るだろう。そして、私たちはその結果に基づき「予測」を立てねばならない。

♣ 私たちは「介護」の世界に住んでいる。この世界には圧倒的に多い「情報」が満ち溢れている。情報はまず「言語化」しなければならないし、同時に「数量化」する必要がある。職員によって、得手・不得意はあるだろうが、物事の「言語化・数量化の大事さ」をしっかり学び、現実の介護に活かして行きたいものである。以下、いくつかの例で勉強しよう:――

♣ ① レポートで「普通 !」という記載をしてはいけない。きちんと観察した内容を伝えるべきである。あなたの普通が私の普通ではない からだ。

♣ ② 研修会で「良かった ! 」とは、「どこが・どのように良かったのか」を明確にすること。「勉強になった」もダメだ;どこが・どう勉強になったのか?

♣ ③ ご利用者を観察していて、「へんだな?」という「虫の知らせ」に耳を傾けよう。

♣ ④ ヒヤリハット・レポートは 長くダラダラ書いてはいけない、「簡単・明瞭・美しさ」を旨とすること――昔のケアは善意の行動がありさえすればOKだったが、今の介護は「観察と行為の言語化」が強く求められる; カン・メイ・ビ」 と 「ゲンゴカ」 と唱えてください。

♣ ⑤ 他人の報告を 「鵜呑み」にせず 、また、立て込んだ話なら 一応疑ってみる姿勢が「真実」に近づく道である。"

♣ ⑥ 「すぐ来てください、大変です ! は正しい電話連絡ではない ! 「○○さんの意識レベルが100です . . . 」が 言語化し、数量化した正しいコール 」なのである。

* 意識レベルの呼び方

一桁 二桁 三桁
自分で覚醒 刺激で覚醒 無覚醒
1 今ひとつ 10 呼名開眼 100 指曲げ 払いのけ
2 人の名が分からぬ 20 揺さぶり開眼 200 指曲げ 顔しかめ
3 自分の名が分からぬ 30 つねりで開眼 300 無反応

♣ そこで今日は「意識レベルの3・3・9度」について 説明する。これは日本で主に使用される意識障害の深度(意識レベル)分類である。元来は意識障害の急性期変化を叙述するものであるが、施設介護・在宅介護でも便利に応用され、あなたが 頭の柔らかい若い時期にマスターすれば、一生 役立つ知識となる。

♣ 意識は その覚醒度に応じて、 (a)自分で覚醒、(b)刺激で覚醒、(c)無覚醒、の3段階に分けられる。皆さん方は 今 (a 一桁)である;夜 寝てしまえば(b 二桁)となる;叩いても起きなければ(c 三桁) であろう。健康な人の意識レベルをこれで測るのは邪道だが、まあ 身近な類似として覚える手立てにはなる。同じ「一桁」でも、1、2、3を分ける ―― その順にレベルが低下する。「二桁」「三桁」についても同様である。

♣ 特養に入所するご利用者は「一桁」の人が多いが、これは意識レベルの低下と言わず、認知能力の低下である。しかし、状態が急変すれば「二桁~三桁」は この表の通りに理解できるだろう。九つの升目(ますめ)は覚えられない、という人は3段階だけを覚えるとよい。上の表をコピーして 定期券入れ または胸ポケットに入れておく のも一法である。多様な介護事情に 今日から役立つこと 請け合いである。

結論: オロオロしながら、取りとめもない報告書を書くと、言語化・数量化の不足したレポートになる。書く時の要点A・B・Cは:――(A):問題を三つ以内に絞り、(B):言語は「カン・メイ・ビ」と唱え、(C):必要なら数量化のデータを揃える ―― すると、あなたは100点を貰える「レポーター」になれるだろう。

  職員の声

声1: 先日、ヒヤリハット・レポートを丁寧に書いていたところ、パソコンから “よく分かりましたが、短く ! ” とメッセージが返ってきた ―― 私は目が覚めた ! ‘カン・メイ・ビ’(簡単・明瞭・美しさ)が大切だった(係り:井戸端会議なら‘長い’ことが特徴だが、レポートなら‘短い’のが尊ばれる)。

声2: 私は言語化がニガテ ! そのうえカン・メイ・ビと注文されると かなわない ―― しかし‘デイ活動’では、ホウレンソウ(報告・連絡・相談)がしっかり行われているので頑張る。

声3: レポートを書き直すとグチャグチャになり、カン・メイ・ビから遠ざかる ―― 小保方さんもこうだったのだろうか?(係り:昔の新聞記者は‘鉛筆と消しゴム’で勝負した―― 今はパソコンで自由自在に推敲( すいこう )できる時代だ ―― 頑張って下さい)。

声4: 毎年4月になると今日のような問題が討議される ―― 救急隊員は必ずこれを応用しており、「凄い ! 」と思うほどだ(係り:訓練から学ぶ、という姿勢があれば あなたも救急隊員と同じように優れてくる)。

声5: 「言語化」の訓練は観察力・思考力を育て、ケア遂行上 重要だ;私は「3-3-9度」の表を早速ネームプレートに貼り付けた(係り幼稚園児は 大声で長々と説明するが中学生になると コンパクトな表現をするようになる ―― その進歩の有様を学んで欲しい)。

声6: アクシデントに遭遇すると 思わず頭に血が上り パニックになる自分の未熟さを反省する(係り:人は誰でも、一歩一歩登って行くものだ)。

声7: 言われるほどに言語化は簡単でない ! 私は119番電話で3-3-9度を伝える自信がない(係り:場数を踏んだ一年後には 誰でもアッと驚くほど立派になれる)。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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