(486) みんなで 百歳 まで 生きよう

  (486) みんなで 百歳まで 生きよう   

まず 生活歴を3分割  して、成長期(~15歳) ・ 活動期 (~65歳) ・ 老人期  (66歳~) とする; 三つの代表年代ごとの ピラミッドを観察し、日本の社会で何が進行しているかを まず各自が理解しよう。耳で聞く実態よりも、目で読み取る “老人問題” のほうが はるかに説得力があることが分かるであろう。その後で “みんなで百歳になるまで 生きよう” には、どんな工夫が必要となるかを考える。

① 1970年 : わずか半世紀前の人口ピラミッドだ ―― 15歳以下を肉眼で取り除いて見れば、完全に ‘エジプト型のピラミッド’ であることが分かる。しかし、幼少人口が減り、日本が やっ ‘途上国型の人口パターン ’から抜け出た様子が見てとれる。1970年のピラミッドの特徴は この他、活動期人口が圧倒的に多く、成人 : 老人の比率が 8 : 1 程度であることだ。つまり 8人 の成人が一人の老人を養っていた、と解釈できる。しかもその老人は 90歳 で終わっている ではないか。同時に 1970年 は日本の福祉の将来を方向づ ける重要な年代でもあった ―― たとえば 年金 ・ 医療改革 は矢継ぎ早に打ち出され、介護問題を世に問うの “はしり” の 「恍惚の人」 の出版などがある。当時の指導者たちは 1970年 の この人口図を見て、今日の老人問題を予想することができたのであろうか?
みんなで百歳まで生きよう
② 2000年 : この年に介護保険が実施され始めた。1970年 の図と比較してみよ : まず驚くことは 成人の数がほとんど変わらないのに、老人の数が 2倍 に増え、しかも その年齢域が 100歳 にまで達した ことである。わずか 30年 の経過で、長寿の壽 ( ことぶき ) 予算の困難 が ダブルパンチ で訪れてきた。子供の数も減り 「多多老 ・ 少子」 の芽生えを表す。

③ 2015年 : これは今年の人口図であり、もはや 人口ピラミッドとは呼べない。65歳 以上の老人領域に “団塊の世代” が加わり始め、その分だけ成人が減り、成人 : 老人 の比率が 3 : 1 に近づいてきた。100歳 を越える老人も統計図に現れ、日本が世界一の超老人国であることを如実に示す。

④ 2040年 : これは 25年 先、パールの若い職員たちが 50歳 になった頃の人口予想図である。“団塊の世代の II 世” は老人域に入った事を示す。成人 : 老人の比率 は 2 : 1 に近く、子供の数は更に減り、この図は 「逆さピラミッド」 と言う べき有様である。 成人の収入で老人を養う従来型の社会秩序は果たして守られるであろうか、 心配になってしまう。特に 80歳代の女性の著しい増加 は その受け皿となる介護施設の悩みの種になるかも知れない。

♣ さて話題を ”百歳 まで 生きよう” に戻ろう。100歳 が上記の図に現れたのは 2015年 が ‘はしり’ だ。統計によると、100歳寿 は 1960年 に 100人 でスタートし、この数は年々増え、昨年には 55,000人 を越えた ―― 50年 で 500倍 に増えた !! のである。だが、上記のどの統計図を見ても、人の統計寿命が 100歳 に達したのは ごく最近であって、ほとんどの国民の命は 100歳 に届かない。計算してみれば分かることだが 1) 、日本全体での 100歳寿 の比率は 0.046% に過ぎない。みんなが 100歳 になるのはムリとしても、せめて半数の国民が 100歳 になるためには 今の百歳率を千倍 (46%) に上げる必要がある。それって 出来るだろうか?

♣ 振り返ってパールの特養入居者の記録を調べてみると、平均寿命は 1999年( = 86歳) 、 2014年( = 87歳) であって、この 15年 の間の変化は +1歳 増えた のみ 日本全体では 84歳 → 86歳 の +2歳 。100歳寿 のご利用者は常に 1~2人 ほど入居しておられるが、とても利用者の半数が 掛け声通りに100歳寿 になるなんて一体 いつのことになるだろう? 

♣ すでに発表したように、日本女性の平均寿命は世界一の 86歳 に達したが、最近の 7年 は伸び悩んでおり、フランスなど欧州諸国の事情も一様に同じ である 2) 。また大戦後の平均寿命は各国とも延びてきたものの、最大寿命に関しては この 120年 のあいだ、少しも延長していない ( 世界一が 122歳 、日本一が 116歳前後 ) 3) 。さらに、平均寿命ではなく、 「死亡時年齢」 の曲線を観察すると()、ほとんどの人々は 90歳~100歳 の間で逝っている ―― つまり、100歳 を越える壁は ものすごく高い ように見える 4)
みんなで百歳まで生きよう
♣ 動物一般の寿命は 「環境と遺伝」 によって定まり、大戦後のヒトの寿命は 主に 「社会環境」 の好転により延長その延長停止は 「ヒト遺伝子の本質」 による ものではないだろうか?だって 飼犬や飼猫の寿命は倍ほど延びてきたがどんなに大切に飼われても 彼らの寿命は 25歳 に届かないと みられているのだ !

結論: 「みんなで 100歳まで生きよう」 は、掛け声としては元気づけられるが、我々 介護に当たる職員としては、90歳代 での逝去が 「ヒト」 の本質寿命であることを しっかり噛み締めても良いのではないか。バラツキの小部分が 100歳 を越えるだけ なのであろう。

  参考: 1) 55,000人÷120,000,000人 = 0.046% 。 2) 新谷冨士雄・弘子、各国寿命:5つのハテナ、福祉における安全管理 #439、2014。 3) 新谷、日本女性の平均寿命は86歳か、ibido #466、2014. 4) 新谷、究極の寿命分布、ibido # 453、2014。

 職員の声

声1: みんなが 百歳 はムリであっても、自分だけは百歳 と願う のは図々しいのか?(係り: ヒト百歳 は イヌ 20歳 と似ていて 不可能な年齢ではないが、両者に共通なのは どちらも ほぼ認知症で 長寿の有り難みが分からないことだ)。

声2: お年寄りの会 (パール・ライフ) でお世話していると、こう励まされる = 「年寄りばかりが増える今時、若いあなたは沢山 子供を産んで下さいね」 、と (係り: 日本は長いあいだ 子沢山” で苦しんで 来た ―― 今、やっと子沢山を解決したら 今度は 老沢山” で苦しみ始めた ―― この世はままならないなー )。

声3: 25年後 に私は 70歳代 になる、人口図によると 「働き手が激減 ! 」 ―― 私は年金を貰えるだろうか? 係り: あなたの子はあなたを支えず、他人の子があなたを支える ―― そんな不合理な賦課型の年金制度はパンク し、以後は自己貯蓄型の年金しかなくなる言われる)。

声4: みんなが 百歳寿 になるための人口図ならば、図のテッペンの 百歳 の所を中心に 人口が 「逆さピラミッド」 になる必要がある ―― それって不可能でしょう?(係り: なるほど、 ”百歳を中心に逆さピラミッド” と言う発想は聞いたことがなかったが、おっしゃる通りだ ! )。

声5: そもそも 増えている老人を ‘間引き’ することや、減っている今の幼少児を 水増し することが我々の腕でできますか?(係り: 名言だ ! 政府は ‘老人を減らさない ことに熱心’ だし (医療・介護の推進)、 子供を増やさない こと’ にも熱心だ (子を産み育てにくい社会環境を推奨) ―― 偉い人たちは “言うこと成すこと真逆  だね)。

声6: 定年後 ボー としていても年金は貰える . . . そんな社会なら 逆さピラミッド人口型が転覆しちゃう ―― パールライフで活躍される書道の先生のように、歳をとっても社会との接点を持ちたいと思う(係り: 年金は黙っていても貰える 権利’ と、思われているが、いずれ その財源確保の 「義務」 が課されてくる―― だって無い金は配れない)。

声7: 人間、産んで貰っただけで有難いのに、欲張って 「百歳でもまだ足りない ! 」 と罰当たりを言う係り: だから人間は 争って戦争も喧嘩もするが、反面 福祉も慈愛もあり、これは人間の業 ( ごう ) なのだろう)。

声8: 願いは みんな 百歳、でもその壁は高い ―― 90歳代 なら望めている(係り: ケアに入ってみれば分かることだが、百歳 の人たちの体や動作・物腰は もう遺伝子寿命の限度を越えている ―― 百歳 を越える目標は結果的に悲しい)。

声9: 楽しい長生き なら 幸せだ、百歳 にこだわらない係り: 不思議なことに、超高齢者が 、高齢であるがゆえに、 「楽しい」 とか 「幸せ」 とかおっしゃることは ほとんどない ! ―― 歳をとると “長寿は幸福” という感覚が消える のかなー?それとも認知症で感覚が麻痺するのか?)。
 
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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