(496) 平均寿命 ーーー 3つの驚き 2015年

   (496) 平均寿命 ―― 3ツ の驚き 2015年

  昔は 「驚き・桃ノ木・山椒の木」 とふざけて、「たいそう驚いた ! 」 ことを表現した。今回は、この 「驚き」 を三つの図で示してみたい。

♣ 歳を取らない生命はありえない ! つまり、“加齢現象” は進行の途中で逆さ戻りはしない 1) 。そこで 当然 ‘命の終わり’ = 「寿命」 が存在する。私は 一年前 の安全管理で 「各国寿命: 5つ のハテナ? 」 について述べた 2)

♣ 参考のために そのサマリーを挙げておくと:―― 世界の平均年齢は 男女差は歴然としている。 延寿は 戦後 1年 ごとに 2ヶ月 ずつ 右肩あがり で増加してきたが、日本は 3 ヶ月 ずつあがり、 世界最大であった。 日本では 2000年 に介護保険が実施され、より明瞭な延寿が期待されたが、その影響は全く見られずなぜか むしろ鈍化した。 2006年 以降日本婦人の平均年齢は 86歳± に留まり、延びは止まった。この延寿停止現象は フランス・イタリア・アイスランドなど でも観察される。平均年齢が 6.5歳 低い日本男性およびその他の外国人は まだ年齢の延びが増加中である。
平均寿命  三つの驚き

♣ 一年後 の今年、今回発表された 図 1 は昨年のものの継続であるが、日本婦人の平均年齢が 86歳± であることが今年も確認され、これで 延寿の停止は 8年 続いた → 日本は老人介護を本格的にスタートしたにも関わらず、従来観察されていた 「1年 ごとの 3 ヶ月 の延寿」 が鈍化・停止している; この延寿停止はナゼか? 介護保険の策定以前に はたして 予想されていたのだろうか?

♣ これの原因を推測すると、同じ現象が フランス・イタリア・アイスランドなど の女性でも見られる (図 1) ことから、人間の平均天寿86歳± である事が暗示される。つまり、86歳 に届くまで、環境好転の効果などで 平均年齢は延びて行けたけれど “ホモ・サピエンス” 遺伝子の限界寿命 ( = 86歳 )を越えることはできなかったのではないか? ちょうど、犬や猫の寿命が近年倍加した ( 7歳 → 15歳 )けれど、いまだ 20歳 の犬 ・ 猫 が観察されないのと同じ理屈である。つまり、伝説上のアダムが 930歳 の神寿まで生きたと言われるのは 所詮 「希望的念願」 にすぎなかったのだ。

♣ 皆さん方は 薄々ご存知だろうが、寿命 86歳 と聞いてもそれは平均値であって、このあと最大寿命までには 36年 のバラツキがある。すなわち 死亡年齢は 「正規分布」 する性質があるので、すべてのヒトが最大寿命( = 122歳 )に達することは決してなく、 その手前でパラパラと亡くなるのだ !

♣ 参考までに 人口ピラミッド (図 2 ) を示す。左図 は中国のピラミッド、これは 50年前 の日本のピラミッド(1970年) 3) とそっくりである。中央図は日本のピラミッドであるが、子供の「尻窄まり (すぼまり) の将来が危ぶまれる ! 右図 はスエーデンの図、70歳 までは堂々と直方体で、70歳 から先は後輩に命を譲る ―― 我々の憧れる見本は 延寿型より むしろスエーデン型ではないか?
平均寿命 三つの驚き
♣ 次の 図 3 は 「国民一人あたりの所得 」 であるが、なんと日本は “ビケ ! ” 。そんな日本が世界一 レベルの予算を注ぎ込んで 老人優遇政策を取っているが (福祉費の配分は 老人 70% vs 子供 4% ) 、老人は いずれ逝くし、子供は ”尻窄まり” (すぼまり) という 将来に 本気で手を打たなくて大丈夫だろうか?
平均寿命 三つの驚き
結論: = 「三つの驚き」:ーー  日本女性の場合、平均年齢の延びは 86歳 で 8年間 停止しており、フランス・イタリ・アイスランドなど も同様である。 中国のピラミッドは 50年前 の日本ピラミッドとそっくりであり、日本は追い上げられている が、こんな少子化で はたして 彼らに対応できるか? 日本の個人所得は世界一レベルと思われていたが、現実は 図 3 で見るごとく ‘ビケ ! ’ ビケの日本が お金の掛かる 老人優遇の介護保険を実施したが、期待された延寿は不成功で、「たいそう驚いた結果」 となった ! 問題は どこ にあるのだろう?

参考: 1) 新谷冨士雄・弘子、「最大寿命と平均寿命」:福祉における安全管理 # 434, 2015. 2) 新谷、「各国寿命: 5つのハテナ?」:ibido #439, 2015. 3) 新谷、「みんなで百歳まで生きよう」: ibido # 486 , 2015.

職員の声

声1 : 介護保険に大金を注いだのに( 3 兆円 → 10兆円 )、2006年 で 平均寿命が 86歳 で停止したと知り ビックリだ; 敬老は大事だが、子供の数を増やすほうが “第一順位” ではないか?(係り: 大抵の人がそう言うが、政治家にとって老人票は貴重で 身動きできないとのこと)。

声2: 日本に限らず、ナゼ 86歳 前後で人の命は頭打ち になるのか?(係り: 理想的な環境に住む王侯貴族であっても、寿命は長くない ―― 庭で飼っていた を 人と一緒のベット上で飼っても 寿命は 7歳 → 15歳 が限度だ . . . 寿命はネズミで 3歳 ~ で 60歳 、それ以上は稀だ . . . ヒトでも ここで ’ヒトの限度’ が見えてきた のだ ~~ ただし勘違いしないで欲しい . . . 86歳 は平均値であって、このあと 最大寿命までに 36年 の 個人的 なバラツキがある ーー 末尾の ”参照” を見よ)。

声3: しかし 100歳寿 が 5万人 を越えるご時勢だから、ヒトの寿命も時間とともに延びるのではないか?(係り: 100歳寿 のパーセントを計算すると、日本人口 1億2千万人 のうち 0.04% に過ぎず、{へ} のような数だ:その上、ヒトの最大寿命は 122歳 であって1 ) 、この 120年間 誰もこれを越えた者はいない ―― つまり ’ヒト種族の寿命’ は平均値 88 右端の特殊な最大値が 122 と見ても大きな間違いではないだろう)。

声4: 寿命が延びても ‘病気で長生き’ ならば価値がない(係り: 日本は平均寿命 86歳 で世界一、すぐれた介護のお陰で 介護を受ける期間は 13年間 、これも世界一 . . . 嬉しいか?悩むか?)。

声5: いくらお金をかけても延寿は頭打ち、その上 子は少ない ―― 日本はお金のかけ方を 老人優先から “子育て支援” に向けなければ ジリ貧の国になってしまう(係り: 従来、お金をかければ長生き できる、と人々は信じてきたが、それも 人生 50年 が人生 86年 までが限度で、そこで打ち止め、と分かった以上 今後は ムリな延寿を諦め “育児の重要性” に目が醒める だろう)。

声6: 老人が長生き すれば 子供に使うお金が減るので 現在の少子化は当たり前 のことだ; 老人の延寿が止まれば お金が子供に向かい 少子化は改善される . . . 今更それを言っても もう遅いか? 係り: いや 遅くない、言って欲しい; もし老人の寿命がこれ以上 延びるようなら 子供が もう生まれて来る余裕はなくなるかもね)。

声7: 「養老と育児の経費バランス」 を国民が真面目に考えるべきだ(係り: 親は大切だし 子も大事; つまり 卵を産まなくなった鶏 と、これから 卵を産むヒヨコ の処遇を あなたは どんな知恵で報いたいのか? )。

声8: スエーデンのように、70歳 までは堂々と直立の人口構成 に学ぶべきだ(係り: いったん生まれたら 70歳 までは死なない、プラス、70歳 を越えたら 老醜 (ろうしゅう)を長く晒さない ―― 素晴らしい生き様だ)。

声9: の人は “子のため、子孫のため” に社会の ‘在りかた’ を熟慮した と聞くけれど、の老人たちは 大きな社会問題である少子化には興味を示さず、もっぱらご自分たちが受ける 優遇 だけに関心 があるのか?(係り: 「老人」 と一括りにしては問題が解決されない ―― の老人は 60歳前後 で 認知症もなく 正しい将来が見えた . . . ところが 多くの老人は 90歳前後 で 「認知症の中核症状」 に犯され、将来が見えず 自己中心の判断しかできない; だから若い国民が政治家を動かし、正しい将来像に向かって社会を導かなければならないだろう)。

追加参照: 新谷 : 「気迫で生きる」、福祉における安全管理、# 462、2014.

 記録された最長寿命は 人の夢の証しであるから 誰もの関心を引く。しかし、その夢の人が何人いたか、については尋ねようとする人は少ない ~~ だけど、介護の立場では その人数こそが 最大の問題となる。下の図を参照あれ ーー 夢の百寿者が 今後 何人増えようとも、日本の総人口における比率は{へ}でしかない。介護の目標を「延寿」 に求めることが いかにムダであるかが 如実に読み取れるだろう。
気迫で生きる


プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
安全管理 ふじひろのページ

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