(61) 最 も 短 い 言 葉

(61) 最 も 短 い 言 葉  
 
  皆さん、空を眺めて 一番目立つモノ に名前をつけるとすれば、何があるだろうか? 当然、太陽・ 月・ 雲・ 雨・ 風などだろう。太古の日本人は、これらの言葉を、きっと、一番 短い言葉 (文字) で表したに違いない。この中で 「タイヨー」 は一番大事なモノなのに、一番長い言葉 である。大事なものは短く表すのが能率というものではないだろうか?

♣ いや、その通りだ、昔の日本人は太陽を 「ヒ」 と呼んでいた。しかし、「日」 は 「火」 と紛らわしい。ところが、日本語には韻 (イン) がある。たとえば 「箸」 と 「橋」 。「ヒが昇る」 は 「日が昇る」 であり、決して 「火が昇る」 と間違うことはない。だが、一言で 「ヒ」 と言えば、やはり紛らわしい。そこで、文明開化の 明治の人 は、「ヒ」 の代わりに 「太陽」 という言葉を新しく発明した。これで、西洋の言葉 「サン (英) ゾンネ (独) ソレーユ (仏) ソル (ラ)」 などのように、紛らわしさのない、独立した言葉 になった。

♣ ちなみに、明治時代には、西洋語に対応させるために、沢山の日本語が発明された。たとえば、社会・ 会社・ 哲学・ 食事・ 栄養・ 教育・ 遺伝・ 福祉など 無数 にある。たいてい、二文字用語だ。その多くは 中国・ 韓国に輸出され、定着しており、誇らしいことではないか。
最も短い言葉
♣ さて、日本人は長い言葉を短く表現するのも得意である。小学唱歌で アメリカ民謡の “Old Black Joe” に、こんな歌詞がある:Gone are the days when my heart was young and gay . . . (私の心が若くて 華やいでいた日々、それは もう過ぎ去ってしまった);これを、なんと 大正時代 の訳者は 「若き日、はや夢と過ぎぬ」 とした。文字数が 四分の一 に減らされ、しかも美しい。すごいことだ ! 私らが友達や教師に付ける “あだな” も、たいてい短めであって 記憶に残る … たとえば、カッパ・ ネズ公・ スマなど。

♣ 逆に、日本人は敬うときに、長々しくすること も得意である。たとえば : 「はりまの いなびの おお いらつめ」 とか「ふたじの いりひめの ひめみこ 」 って分かるだろうか? 大和武尊 (やまと・ たける: 景行天皇の皇子) の 「母 と 妃 の名前」 である。現在でも 「官庁用語」 は長々しいのが特徴だ。尊敬しているから、そうなるのだろうか?

♣ 大事なものだけれど、長くて覚えにくい代表は 「住所」 だ。ところが インターネット の時代になると グーグル・ アース で簡単に場所を見つけることができるようになった。さて、ここからが今日の特番だ: グーグルは 2007 年 に、Google Street View と言うものを始めた。つまり、場所を 二次元 (地図) で見るだけでなく、その場所に人が立っているとした 三次元の景色 を見せてくれる。

♣ あなたがパールの前の バス・ ストップ に立っているのと同じ景色がパソコンの画面に出てくる。パールの門 や 建物・ 車はもちろん、周辺全部が見える。プライバシーの点で問題もあるだろうが、長々しい 「東京都渋谷区鉢山町3-27 パール代官山」 がボタン一つで目に見える ! これは 「最も短い言葉」 と言えるだろう。とても感動的だと思うが?! 1 )

♣ 私は、皆さん方の介護事例の紹介で、発表に要する ”長い” 時間を問題にする。原稿の読み上げなら 「1 分」 で済むものを、原稿にしてない場合なら 発表が 「 5 分」 程度に長引くことが多い。‘発表の持ち時間’ は 10 分 程度であるから、それは時間の ‘無駄使い’ であり、会議時間の ‘間延び’ に繋がる。

♣ 意志の疎通は 「簡単・ 明瞭・ 美」 を旨とする 2 ) 。自分の ‘癖 (くせ) ’ を振り返って、「最も短い言葉」 で伝える習慣を学びたいものである。

参考: 1 )  Sharon Weinberger: “ No Place to Hide” ; Discover , August: 30~37, 2008). 2) 新谷:「言語化して 煮詰める」;福祉の安全管理 # 25, 2010.

職員の声

声1: 仕事は「早く・ 正しく」行うことが第一、続いて「簡・ 明・ 美」に進む(係り: デイ・サービス主任として立派な標語を頂いた)。

声2: 本人が「意図することが分かる文章」、それを短い言葉で表現する (係り: これはヒヤリハット・ レポートの神髄である)。

声3: 意志の疎通を「簡・ 明・ 美」で表現することはとても大事であり、“何度も繰り返し練習すること” が肝要だ(係り: 書きっ放しで二度読みをしないクセを直すこと … たったそれだけで ずいぶん進歩する)。

声4: 会話や発表の内容をしっかりと自分のものにしていれば、分かりやすく伝わりやすい言葉がみつかると思う(係り: 慣れないうちは原稿を読み上げるだけで精一杯 … しかし、読み終わった後 聴衆を見渡し、 自分の言葉で「つまり、こういう事を述べました」と伝えよう)。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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