(654) 痛み止めの常識

    (654) 痛 み 止 め の 常 識  
  
  医療のそもそもの始まりは 「痛みを止めること」 だったそうである。

♣ 近年 人は長命になって「痛み」、特に「関節痛と神経・筋肉痛」を訴えるお年寄りがいっぱいになった。パールの症例では「変形性腰椎症・膝関節症」の方が圧倒的に多い。従来の飲み薬の鎮痛剤では「胃がやられる」ことも多く、“関節も胃も痛む” という難儀な目にあう方が困っておられる。

♣ 痛み止めは多かれ少なかれ有効であるが、同時に「習慣性」「依存性」の点でも多くの問題を抱えている。今日はパールの整形外科嘱託医・Y 先生のご意見を伺って、痛み止め薬の選び方の要領を伺った。

♣ <Y 先生> 昔の鎮痛剤は、百年以上も前から愛用されている “ アスピリン系 ” が有名だった。現在の鎮痛剤を次の三群に分けて理解する。 ①:エヌ・サイズ(非ステロイド性・抗炎症薬)(N-SAIDs : Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs … 頭文字を用いた略語) とは、抗炎症作用、鎮痛作用、解熱作用を有する薬剤の総称で、広義には “ステロイド ではない抗炎症薬すべて ” を含む——バファリン・ボルタレン・ロキソニンなど市販薬が 100 種類以上ある。

痛 み 止 め の 常 識

♣  ②:オピオイド(アヘン類似性鎮痛薬)——アヘン類似薬で かなり使用制限付きのペンタジン、トラマール、オキシコドンなど()。 ③: オピウム(アヘン、オピスタンなどの麻薬)= (麻薬免許保持者・施設でなければ処方できない)。

♣ 一般の人は、「なぜ 一番よく効く薬が常用されないのか?」 と不思議がるかも知れない。事故または戦傷による傷の痛み止めは人類の歴史と同じほど古く、国や地域によって「特効薬」が用いられてきたが、いずれも「効かない」か、もし効けば「習慣性」と「依存性」で問題が長引いた。したがって、現在でも 鎮痛薬は ① ② ③ の順番で用いられ、その順に監視の目が厳しくなる。

注意 (1): 日常生活の中での痛み止めは 「エヌ・サイズ」 でこと足りる;というか、足らすべきである。なぜなら、痛みは身体の異常を知らせる警戒警報の役目を担っているからである。

♣ 心理的な痛みが疑われる場合なら、心理鎮静の対応をする(プラセボなど 1, 2)) 。老人の腰痛・肩痛などの痛みなら、その原因を推定しながらエヌ・サイズを用いる。製剤は「飲み薬、注射、座薬、貼り薬」など、いろいろある。頻用される薬であるけれど、エヌ・サイズは痛みの根本を治す薬ではないし、人によっては種々の副作用があり、十分気をつけて用いる必要がある(例:過敏症、悪心、嘔吐、胃痛、眠気、転倒など)。

注意(2): オピオイドとオピウムは、主として病院処方で用いられる。これらは鎮痛作用が強いけれど、副作用としての「依存性中毒」のコントロールが難しいので、一般薬としての使用はできない。よく社会問題が発生するが、それは 地下に潜って取引される ② ③ の薬物である。

♣ 老人は ギックリ腰・シクシク肩 などの痛みを強く訴えることがある。我慢すれば一週間程度で自然に収まる場合もあるが、痛みが長く続く場合は医師に相談しよう。なるべくオピオイドを使わないようにし、常に薬の副作用を念頭に置く。

注意(3): 癌末期に用いられるオピウム(麻薬)は、欧米では日本の10倍以上の用量が普通であるが、日本では その用量が少なく、次の(イ)と(ロ)の選択のうち(イ)が選ばれるようだ:(イ)―― 痛みは残るが 長生きしたあとで死ぬ;(ロ)―― 痛みは消えるが 麻薬中毒になって早めに死ぬ … どちらを選ぶかは社会的な意見で決まる。1478字

要約:  痛み止めは3種類に分けられる:――(A) 非ステロイド性・抗炎症薬く(エヌ・サイズ)、(B) オピオイド(アヘン類似性鎮痛薬)、(C) オピウム(阿片などの麻薬)。  鎮痛効果は (A) < (B) < (C) ; しかし胃腸症・習慣性・依存性などの副作用も (A) < (B) < (C)。市中での利用は主に (A)であり,(B)・(C)は病院での処方となる。 よく用いられる (A) は多種類が販売され、自分にとって効果が優れ、副作用の少ない物を見つけて納得することが大事である。

職員の声

声1: 薬を飲むと副作用...それを抑えるために別の薬が追加され... 効かなくなるとまた別の薬...どこまで続くのか?(答: 薬の効果は試行錯誤の繰り返しだ、だからむしろ発想の転換をしようーーもし江戸時代に生まれていたら、効く薬なんて無かった)。

声2: 私は 「痛み止め」は飲まない方が良いと思っているのですが.... (答: 問題は ”副作用の有無” であり、妥協点を見つけましょう...人間の老年期は 50 年もあるので使わない訳にはいきますまい)。

声3: 痛みは病気の 「警戒警報」 であるから、痛みを抑えるだけに注意を向けず、痛みの原因は何か?を常に考えたい(答: 痛み止めは原因治療ではないことをよく理解しておこう)。

声4: 昔使われた 「ヒロポン」 とは?(答: シャブの一種で 疲労がポンととれる覚せい剤...、その強い習慣性・依存性のために人生が終わってしまう...特攻隊が敵の銃撃を怖がらないようにするために用いられた)。
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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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