(682) 100 年 後 の 福 祉 を 展 望

(682)  100 年 後 の 福 祉 を 展 望
      
人は予言・予想を、するのも聞くのも大好きだ。今を去る 100 年前、報知新聞が 「二十世紀の予測 22 項目」 を発表した。

報知新聞 : 「二十世紀の予測」 1901 年 1 月 2 日(明治 34 年):順不動で―― ライオン等の野獣はもう滅亡している、 七日間で世界一周ができる、 蚊やノミが滅亡する、

♣  遠くの人と会話ができる、 写真電話で買い物をする、 電気が燃料になる、 機関車は大型化し列車が東京~神戸間を 2 時間半 で走る、 人間の身長が 180 センチ以上になる、 動物と会話ができるようになる、 犬が人間のお使いをする、 台風が1ヶ月以上前に予測されて、大砲で破壊できるようになる、など。

♣ なんと、その 7 割が当たった ! ⑯ の身長に関しては、縄文時代からごく最近まで 155 cm であったものが、戦後 10 年にして著しく伸び、予想の 180 cm には達しなかったが、プラス 15 cm は立派なものであろう。

♣ その頃の日本の人口は 4,400 万人(今の 1/3 で、今のスペイン並み)、平均寿命は 44 歳(今の半分 ! ) ―― つまり、小さな体・短い寿命・少ない人口 … 世界の中では “目立たない” 国であったのだろう。さて、そこで私は今から 100 年後の日本の福祉を 五つの点 で展望してみよう。

100年後の福祉を展望

(イ) 現在の日本では、男女とも平均の “初婚年齢” が著しく高齢になり、特に女性に至っては生理的な妊娠・出産の期間が短くなり、著しい少子化の原因となっている。図 1 をご覧になれば、過去の初婚年齢が ごく近年に 数年も遅くなった ことが分かる。その上、35歳を越える出産には「ダウン症」の赤ちゃんが増えるので、更にこのことが 少子化傾向に輪を掛けている。

( ロ) 残念ながら男女とも、出産確保のために現在の “更年期 50歳” を 60 歳程度に延長治療することは不可能である。これは人類そのものを変更する必要があるからだ。従って、‘多々老・少子’ (図 2)のアンバランスは、初婚年齢を元のように戻す以外の名案はないだろう。

100年後の福祉を展望

♣ 図の右端に示す様子は 「現在 20 歳代」 の人達が近い将来に遭遇する状態を展望するものである。どうか「自分の事」として、将来の ‘多々老少子’ の展望をしっかりイメージして欲しい。

(ハ)「自己摂食の尊厳」 が尊ばれた結果、ヨーロッパ社会のように「寝たきり老人」は一掃されるだろう。――ご存知かどうか、欧米では老人の延命食介をしない。その 第一の理由 は “人間の尊厳” を保持すること ! 彼らは食介とは 「猫や羊に餌をあげる」 ようなイメージ持つらしく、本能的にその有様を 「野蛮」 とみて嫌う。人間には猫や羊とは違い、尊厳を持って接するべきだ、と語る。日本は 「儒教思想」 の国であるが、“人間の尊厳” を将来 もっと深く考えるようになるかも知れない。

第二の理由 は “国家予算の安泰” ! つまり、延命食介が必要な人たちは要介護 4 ・ 5 に相当し、もし延命食介が無ければ、全介護予算のほぼ 1/ 2 が節約される。事実、スエーデンでは延命食介をしない歴史が既に 100 年以上もあって、「寝たきりがいない社会」という誇りを持っている――ただし、日本でそれを真似るのは時期尚早 (しょうそう) かも。日本ではやっと延命胃瘻 (いろう) の設置にブレーキが掛かり始めた社会段階だからだ。

(ニ) その結果、国民の平均寿命は日本よりやや短かめになっているが、延命食介の風習から離れ、高齢者一般の幸福はむしろ増進されている、と言われる。 (ホ) 欧米社会は 延命透析や延命胃瘻を “虐待医療” と理解しており、保険適応からは外されている(イギリス流) 。日本も 100 年後どころか、おそらく年余に して “善意の虐待” が是正されるのではないだろうか?

♣ 人類は一般動物のように 「早熟・早死」 の歴史を辿ってきたが、この半世紀、世界的に 「遅熟・遅死」 の時代に入った。それは人類の選択なのだから、とやかく言うべきことではなかろうが、一つ忘れてはならないことは 「更年期の存在は将来も不変」 であることだ。更年期を過ぎた後には子孫が出来ない。その上 高齢化に伴う「認知症」は社会の少子問題を遠くに押しやり、ひたすら社会は退化の道を歩んで行く。

図 2 を今一度ご覧頂けば納得されるが、「老人を大事にする」ことは人類の誇りでもある。だが同時に、生命は 「子孫を得る」 ことで進化と繁栄を確保することが出来るのだ … 私は 今も 100 年後も 「老人と子孫」 の両方が対等に尊重される方向に展望が開けることを祈り続けたい。1940 字  

要約:

  100 年前に報知新聞が示し「100 年後展望」の一部を紹介した。 同様に、現時点での 100 年後の福祉展望を 5 点ほど示した。 現在は 「老人隆盛」 の時期であるが、将来は 「老人と子孫」 の両方が対等に繁栄すると展望する。

職員の声

声1: 報知新聞の 100 年前の予想が 7 割も当たったのは、予想する人・その予想を実現した人、どちらもスゴイことだ(答: 19世紀に発見・発明された自然科学は主に20世紀で実用化されてきた――今後の将来展望は自然科学よりもむしろ “心の科学” の分野ではなかろか?)。

声2: 100 歳老人の身体生理を観察すれば、長命願望を数値で捉えるのではなく、“心の豊かさ” で報いるべきと思う(答: 人間 100 歳を越えると、願望が何であれ、数年以内に あらかた世を去っている現実を観察すべし)。

声3: 老人と暮らす仕事をしていると、若い人たちの活力が子孫繁栄にも役立つべきと思う(答: 今の日本は “老人の幸せ” が優先されるけれど、若い人たちの結婚や子育てなど、‘若者の幸せ’をもっと強調したい)。

声4: 理事長の「展望: (イ)~(ホ) 」が沢山 実現されるよう、僕らも頑張る(答: 「人」へのサービスは「人」 しか出来ない、将来とも機械や用具のロボット開発を活用するが、もっと「人」が中心になったサービスが優先されてくることだろう)。

プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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