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(700) 不 老 長 寿 の 達 成

(700) 不 老 長 寿 の 達 成 ?  

パールでは 毎週 火曜の研修会議で “リベラル・アーツ” (一般教養) の講義がなされる。話題は介護にまつわる一般教養が話され、範囲は介護に関するどの分野にも及び、出席者は研修記録を提出する。

♣ ある時の職員の記録が私の心に残った。それは: ―― 「介護の目的は、お年寄りがお元気で末永くお過ごしになることです。医療は、たった数十年で大きな躍進を遂げて来ましたが、「ヒトの不老不死」の分野にだけは踏み込めずにいます . . . 私は 医療・福祉がそれに取り掛かって下さることを切に希望します」 ―― と結んであった。そこで 私は まず 「不老不死」 よりも現実味が有りそうな 「不老長寿」 について考えてみた。

♣ 現在、死の原因を次の 四つ にまとめてみると:―― (イ) = 病気、(ロ) = 飢餓 (きが)、 (ハ) = 捕食 (戦争)、 (ニ) = 事故 であろうか。さて、ここでは老人が問題になるからは、(イ)の病気以外の原因は除外してよいと見られる。

♣ そこで (イ): 病気の内容を日本人の主要な死亡順位で分析してみると:―― ① ガン心臓病脳卒中、 ④ 肺炎、⑤ 老衰 である。不老長寿を願うほどの高齢老者だから、① ② ③ には問題がない元気な人だとみよう。

♣ 難関は ④ と ⑤ ではないか。④ の肺炎は、戦前では 小児の感染性肺炎 であったが、近年はたいてい 誤嚥性肺炎 であり、末期老人が陥る状態であって、同じ 「肺炎」 という文字を使うが、近年の肺炎は 「老衰」 の別名として使われているに過ぎない。テレビ・新聞の訃報 (ふほう) で見る超長寿の死因はたいてい 老衰= 誤嚥性肺炎 である。
不老長寿の達成

♣ そこで、未解決の ⑤ 老衰について考えよう。老衰とは 「使い過ぎてもう後が無くなった状態」 であり、それを説明する 「ヘイフリックの限界」が有名である(図1)。

♣ レオナルド ・ ヘイフリック は解剖学者の名前、先日のテレビ会見ではご高齢ながらまだお元気で体操をしておられた。彼は人体の細胞が一生のあいだ 分裂できる回数が 55 回程度 であることを観察し、その回数は遺伝子の末端に位置する テロメア が 調節をしていることを突き止めた(図2)。

不老長寿の達成

♣ テロメアは遺伝子情報を保護する役目をする。人体にある 数十兆の細胞は、絶えず分裂活動をすることで人間の生命を維持しているが、細胞が分裂する際、テロメア も分裂一回 ごとに短くなってしまう。この点で 「回数券の切符」 に似ている。細胞分裂が 55 回程度 に達するとテロメアは消耗され、細胞分裂は終わってしまう ―― この 「55回」 を ヘイフリック限界という。

♣ 一回の細胞分裂で減って行くテロメアの細胞寿命が平均 2 年 の場合、ヒトのヘイフリック限界はおよそ 110 歳 に相当し、これが その人の寿命となる。ナゼ 55 回程度でお仕舞になるのは未解決の問題である。ただし、ヒトの体内に存在する 「幹 (みき) 細胞、生殖細胞、ガン細胞」 の 3 つ に付属するテロメアは短くならない。

♣ つまり、長寿希望なら全身のテロメアの構造を長命型の 「ガン細胞型」 に改良すれば長命となる可能性がある。しかし全身にある 60 兆個もの細胞を一個ずつ改良するのには時間が掛かる。仮に一秒に 100 個ずつ改良するとしても、全身細胞の改良にはおよそ 1 万年以上掛かり、その達成はムリである。つまり、ヒトが大人になったあと遺伝子改良することは不可能なのだ。

♣ もし確実に遺伝子改良したいのなら、ヒトがたった一個 の受精卵であって、母親の体内にいる時なら一回 の改良操作で完了する。あなたが たった一個 の受精卵であったその昔、ご両親の同意を得てその卵を顕微鏡の下に置き、どんな魔法を掛ければ改良できるのだろうか?もし失敗して奇形児が産まれたら、その責任は誰が取るのだろうか? 第一、まだ あなたがゼロ歳 の時に 200 歳まで生きたいと思うのをどうしたら判るのか?

♣ さて、仮に万事うまく行き、あなたが 100 歳になった時を考えよう。それほどの科学万能の長寿時代になったのだから、あなたの先輩には 130 歳のご両親 が、その上には 160 歳の祖父母夫妻が、さらにその上の 190 歳の曽祖父母夫妻がご健在であっても不思議ではない。あなたはご自分の介護を子や孫にしてもらうつもりだろうが、その前にまずあなたが率先してご先祖の介護をキチンとなさるのが正しい順番ではないか?

♣ 親の長生きを願う人は案外に “利己的” であって、「親の介護は誰か他の若者がしてくれて当然だ、まさか年取った自分が苦労して親の介護をするなんて ! 」 と身勝手に思うだろう。でも、そうしなければ、190 歳になった親やご先祖様の介護を他の誰が受け持つのか?

♣ つまり親の長生き人生を希望する人は、まず ご先祖代々の介護を率先してなさるのが筋である。そして、その実績が 世間に正しく見えてくれば、世の中は 「不老長寿」 の医療を推進する機運に包まれて来るのではないか。2037字  

結論:  医療・介護は人の不老不死を達成すべきだ、との願いが寄せられた。 ヘイフリックの寿命限界説によると人の細胞分裂はおよそ 55 回が限度であるという。仮に遺伝子治療が可能になり誰もが不老不死となれば、子供は親だけでなく、その上のご先祖代々の介護にも励まねばならないだろう。 もし親の不老長寿の達成という願いが可能になったら、社会全体の年齢バランス はどうなるか、を配慮する視野が欲しい所である。

職員の声

声1: 自分が 130 歳のとき祖父が 190 歳になるのか、それでは お国が潰れちゃうよ(答: パールの特養で、19 年間お世話した方が先日亡くなった … その懐を覗いて見ると、およそ 1 億円掛かっている … 国もご家族の負担も大変だ)。

声2: 不老不死を望めば、ご先祖だけでなく、子々孫々すべての介護と養育を担う予算が増え、著しい苦役となるのか(答: 自分だけが 楽 を望んで長生きするのではなく、他の一族全部だって長生きを望む訳だからね)。

声3: その昔、私は長生きを貴重なものと思っていたが、介護の仕事に取り組んでいると、「食べれない・歩けない・動けない …」になっても生きていたいとは思わなくなった(答: 人は病気であればあるほど生存欲が高まる … 矛盾するようだが誰でも長生きしたいのだ)。

声4: 遺伝子治療が世に問われている昨今だが、テロメア操作 の長生きはやはり 「神さま」 にお任せすべきでしょう(答: 遺伝子の異常で産まれてくる子供は実に多数 … それへの取り組みで精一杯 … ましてや寿命を越えた 長命のお年寄り が更に遺伝子延命に参加するのは 「非倫理的」 となるかもね)。


プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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