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(759) なぜヒトだけ「長い老後」があるのか?

 (759) なぜヒトだけ「長い老後」があるのか?

  猿や熊などの話が出て気付くことは、彼らには小猿や丈夫な熊などは居るが、テレビで見る限り、やつれた猿・ 弱い熊などの老いた動物を見ることがない。

♣ 言われてみると なるほど野生の動物には年寄りが居なくて不思議なことだと感じる。つまり ヒトだけが、生殖年齢 50 歳を超えても、ずっと長く老いて生きているようである。只今、日本の老人 (65 歳以上) は人口の約 3 割で 70 歳になるまで人口はほとんど減らず、そこからは 100 歳に向かって直線的に毎年 3.3 % ずつ減っていく――しかも、このパターンは 「先進国」 に 皆 共通である 1 ) 。だからと言って ヒトには 「長い老後」 が 「常にある」 と言えるだろうか? 

なぜヒトだけ「長い老後」があるのか?

図 1 を見て欲しい 2 ) 。これは 30 年おきの 爺 (婆)・ 親・ ワタシ 三世代の人々 (それぞれ昭和 22年・ 55 年・ 平成 24 年)における 「老後」 の有様を観察するものである。

♣ 上の 3 段・ 男の説明をすると、昭和 22 年 (戦後 2 年目) の (爺)の時代では、子育て後の男性には 「老後」 はほとんど無かった。昔は 皆 同じ、特殊な例外の人のみが{老後」 になれたのだ。ところがヒトの寿命が延びて (親) の時代になると (昭和 55 年)、環境が好転した結果 「老後期間」 が図のように長く発生したのである。女性の場合も同様であるが、女性は 男性よりも更に長い老後期間が発生している。

♣ つまり、現在では 「長い老後」 の有無が由々しき問題となっているが、庶民の 「老後」 というものは 「戦前には ほぼ なかった」 のである。ご存知か、動物一般でも 「老後」 は、そもそも存在しない (動物は繁殖期間を過ぎるとみな世を去る)

♣ 要するに戦後ヒトの寿命が延びたのは、それは 「繁殖寿命」 が延びたからではなく、繁殖後の 「老後寿命」 が延びただけのことである。

図 2 を参照あれ。明治・ 大正時代平均寿命は 43 歳だ ! と言うことは「43 歳前後」 になれば立派な 「老後」 と言うことになるが、今の感覚でみれば 「老後」 というイメージからはほど遠い。

なぜヒトだけ「長い老後」があるのか?

図 2 をよく見ると、戦後 寿命が著しく延びている。とくに戦後の数年間に著しかったが、それは小児死亡がびっくりするほど減少したことの 「揺れ戻し」 だからである。更に、戦後も 20 年ほど経過すると、寿命は諸外国と同じペースで延びてきた。

♣ 「更年期] は万国共通の 50 歳前後であるから、延長した寿命はすべて 「老後」 であって、この傾向は先進国すべてに共通である。つまり 「ヒトには長い老後がある」 と言えるだろう。でも、もしそうであるのなら ナゼ昔の庶民に老後が無かったのか? 栄養が悪かったからか?

♣ ここに栄養も環境も抜群であったハズの 二つの例 を紹介しよう。第一の例:―― 昔 と言っても、あんまり昔の寿命なんて信頼性に乏しいから、私は信頼性のある 1600 年以後の 「天皇・ 徳川将軍」 について調べてみた 3 )

♣ 天皇・ 将軍 ともに対象世代は 15 人、平均寿命は天皇の場合 49.4 歳 (22 ~85 歳)、徳川将軍の場合 51.5 歳 (8~77歳) であった。つまり過去 3 世紀の間の平均寿命は 50 歳前後 … それも最高の待遇を受けた 身分の高い人たちの寿命であった。一般庶民はとてもこれに及ばなかった。 これに反して 現在の庶民は 天皇・ 将軍 の待遇には 遥かに及ばないけれど、楽々と 90 歳になれる ! これはどうしたことか?

♣ そこで第二の例:―― 突飛なようだが、「猫と犬」 の老後寿命を参考にしてみた。私は昔 猫・ 犬 を飼っていたが、猫の寿命は普通 5 ~ 8 年だ。ところが今時代の飼い猫は倍の 12 年から 16 年ほど生きる 図 3 ) 。犬も飼っていたが、普通 6 ~ 9 年のところ、今は延びて 13 ~ 18 年程の寿命になった。

なぜヒトだけ「長い老後」があるのか?

♣ その原因は何か?図 3 を見ると犬・ 猫が生きた環境が 「自然か・ 飼育されたか・ 過保護されたか」 の違いによって寿命が著しく変わることが分かる。図にはないが 犬の場合も全く同様である。

♣ 犬・ 猫がヒトに似ているのは寿命だけではない ! ヒトは 65 歳を越えると年齢に沿って 「認知症」 が増えるが、 … びっくりながら、犬猫も自然寿命を越えて 13 歳ころになると、認知症に陥る。その症状もヒトの場合と似ていて、たとえば 「飼い主に無関心、 失禁、 徘徊、 無気力、歩行障害」 など。そのあと やがて栄養失調によって世を去る。つまり、「老後」 は人だけにあるのではなく、犬・ 猫、さらに生活環境の好転する飼育動物一般にも観察される現象なのである。

♣ しかし、上記した 天皇と将軍 は最恵 (さいけい) の生活環境だったのに平均寿命は 50 歳と長くはなかったのはナゼ? それはきっと 「生活環境」 の違いだけでなく 「社会環境」 の相違も関与していたのではないか? … つまり 暖冷房・ 衛生栄養・ 医療・ 介護環境 などの違いは昔と今では 「天と地」 ほど違う。今時分、寄生虫感染で命を縮めた、なんて聞くことはない !

♣ 長い 「前置き」 になってしまったが、今日の表題 「なぜヒトだけに長い老後があるのか?」 の答はほぼ これで定まった感がある。つまり、「長い老後」 はヒトや 犬・ 猫だけでなく飼育動物一般にも見られ、認知症の発生までもがヒトに似ているのである。その根底には天然寿命のほかに 「生活環境」 と 「社会環境」 までの関与があると推定されるのだ。 1968字  

要約: 世間では、ヒトだけに 「長い老後」 があるのはナゼか?と問われる。 そんなことはない… 昔だって長い老後のヒトは存在していたが、庶民は短命、またその時代の生活環境が優れていた 「天皇・ 将軍たち」 の平均寿命も決して長くはなかった。 ところが現在では、ヒトに飼育される 犬・ 猫 までも 天然寿命を越えて 2 倍の寿命になるまで生存するし、認知症に陥ることまでもヒトに似ている。よって、「老後」 は明らかに 「生活・ 社会環境」 により延長されることが理解できる。

参考: 1 ) 新谷: 「屈折年齢と福祉」; 福祉における安全管理 #579, 2016. 2 ) 「波平の年齢と老後の誕生」 ; 「こころみ」 ― 著者名も雑誌名は不明 、2013.11.20. 3 ) 新谷:「命の歩幅」、福祉における安全管理 # 620, 2017.

職員の声

声1: 「記憶 (きおく) 」 は 「記録 (きろく) 」 によって補強される (答: 齢を取ると復習を面倒がって片端から忘れてしまうのは残念なことだ)。

声2: 最近、一度忘れると二度目にも忘れるようになった ….年齢との関係は無いのか?(答: 関係ある ! 年をとると復習を サボル 傾向があり、その結果 忘れ易くなる)。

声3: 復習の有無だけが関与するのか?(答: 人にもよるが、いま、覚えるべきことを 25 歳・ 50 歳・ 75 歳で比べれば、復習無しの条件なら ほとんど変わらない;復習が関与すると年寄りほど覚えていない)。

声4: 脳外科の Dr. が 「一度覚えたら 30 回ほど復唱 (ふくしょう) しなさい」 と教えてくれ、それを実行すると覚えられるから不思議なことです ….脳に刻み込むのでしょうか?(答: 記憶には大きく 2 種類ある ―― 短期記憶= 海馬の中に保存される液体記憶、大量に可能だが 、やがて揮発する  長期記憶= 海馬から大脳へ引っ越し保存される固体記憶、少量だが揮発せず いつまでも残っている ….. 脳外科 Dr .の復唱は に属する)。
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Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

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