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(762) エ ビ ン グ ハ ウ ス と 覚 え 方

 (762) エ ビ ン グ ハ ウ ス と 覚 え 方

  記憶というものは忘れやすい。これは誰も実感していることである。

♣ 一度学習して覚えたことをしばらく放置しておくと、すっかり忘れていたことを経験する人も少なくない。人間ってそういうものなのだ。そこで、記憶と忘却の関係を検討した有名な 「エビングハウスの忘却曲線」 を紹介する。

♣ これは、19 世紀後半に ドイツの心理学者である エビングハウス が、自らを被験者となって、時間の経過とともに記憶がどのように薄れていくかを示したものである。 エビングハウスは無意味な言葉のリストを暗記して、その後 時間の経過とともにどのくらい思い出すことができるかを計測した。その結果を 図 1 に示す。

♣ あなたが講習会や講義などを受けている時、講義の 20 分後には、図 によると、 聞いたことの 42 % を忘れているって本当か? 1 時間後にはその半分も覚えていないってどうなっているのか?このことは 「講義をする人への警告」 とも受け止められる… だって喋る演者は、まさか聴衆がそんな あやふやな記憶力 しかないなんて自覚していないだろう。

♣ 忘却のスピードは一定ではなく、一日後までは急激に忘れていき、それ以降の忘却スピードはかなり緩やかになる (短期記憶――この記憶は脳の 「海馬」 に保存される “液体” のようなもので、やがて蒸発して記憶は薄れる)。つまり逆に言えば、1 日経って覚えていられれば、その後も比較的に長期にわたって覚えていられるということだ。それくらいに人の記憶と言うものは 案外 当てにならず、講演などで 「いいお話を聴いた」 と思っても 放置しておくと記憶の内容は漠然とした記憶に落ち込むものである。

♣ しかし この エビングハウス の実験で大きく 二つのこと が分かる:――  記憶は時間という流れに逆らえず、一度学習して確実に覚えたつもりでも、そのままにしておけば時の流れに記憶は掻き消されてしまうということだ。

♣ 次に 忘却のスピードは一定ではなく、一日後までは 34 % まで急激に忘れていき、それ以降の忘却スピードはかなり緩やかになることである。つまり、逆に言えば 1 日経って覚えていられたものはその後も比較的に長期にわたって覚えていられるということである (長期記憶――この記憶は海馬から大脳へ移され “固体化” されるので持続性の記憶となる)。

♣ 私らは学生時代には覚えなきゃならないことがいっぱい、記憶の保持なんてゆっくり考える暇がないほど 次々に覚えまくった経験がある。若い頃だったからそれが可能だったと思うが、今でもいろんな 資格試験 や 講義を受講しながら 「長期記憶」 と戦う日々でいないだろうか。

♣ そこで問題になるのは、如何にして蒸発しやすい液体のような短期記憶を 固体のような長期記憶に置き換え、その記憶を身に付けることができるかである。図 2 をみよう。2 日後に 8 割ほど忘れた時期に復習を 10 分行うと ほぼ元に戻る。1 週後なら 5 分の復習で元に戻り、1 ヶ月後なら 3 分の復習で元に戻る。そこまで記憶のお世話をすると半永久的に記憶に残るという訳だ (液体記憶が固体記憶に変わって完成する)。

♣ なかなかそこまですることは面倒かも知れないが、2 ~ 3 回復習するだけで記憶が確かになる点 まことに うなづけることではないか。「若い内は記憶力が良く、それに比べて わたしゃ 齢とったから この頃は覚えにくくて…」 と思うこともあるが、なに、それは嘘だ。記憶力はあまり年齢に関係がない。関係が有るのは 「復習のズボラ加減」 である。

♣ というのは、若い頃は覚えることに執念があり思わず 熱心に復習する が、齢をとるとズボラになって 復習をネグレクトしがちになる。その結果 上記の 図 2 で理解されるように、長期記憶が身に付かないのだ。当たり前のことである。

♣ でもいっぺん聞いたらずっと覚えている “地獄耳” という人もある。あなたがそんな人であれば有難いが、エビングハウス でさえ図 1・ 2 の有様なのだ。我々は 無いものねだりをしても生産的ではない。そこで、短期記憶とは 液体が蒸発するように忘れ易いものなのだ、と理解しておこうではないか。エビングハウスが奨める記憶の方法は この揮発しやすい液体記憶を、ガッチリ した固体記憶に転換する方法でもある。

♣ 介護のご利用者から聞いたこと、体温や血圧の数値データなどは、早く記録 しておかないと 液体のように蒸発してしまってコロッと忘れる。復習する習慣が身に付いていないお年寄りは、ちょっと復習の手間をさぼっただけなのに、「記憶力が落ちた」 と誤解して諦 (あきら) める。中年になって記憶力が低下することはないのにね。

♣ 重ねて言うが、記憶力そのものは年齢にあまり関係がない。もし関係があるとすれば、歳をとると安易なズボラ気分で復習をサボッタから である。みなさん、頑張りましょうよ ! 1829字

要約: 学習したことは脳の 「海馬」 に保存され、液体のような 短期記憶 になる。その記憶期間は短く、一日後には記憶の半分程度が蒸発する。 その記憶を保存するためには、2 日後なら 10 分間の復習、1 週後なら 5 分間の、1 ヶ月後なら3 分間の復習でほぼ元の記憶状態に戻る。 短期記憶は海馬が受け持 つ 液体型の記憶 であって大量の新しい記憶を処理する。長期記憶は海馬から大脳へ移され 固体型の記憶 であって、ここで記憶は持続性となる。

職員の声

声1: 「記憶」 は 「記録」 によって補強される(答: 齢を取ると復習を面倒がって片端から忘れてしまうのは残念なことだ)。

声2: 最近、一度忘れると二度目にも忘れるようになった ….年齢との関係は無いのか?(答: 関係ある ! 年をとると 復習をサボル傾向 があり、その結果 忘れ易くなる)。

声3: 復習の有無だけが関与するのか?(答: 人にもよるが、いま、覚えるべきことを 20 歳・ 40 歳・ 60 歳で比べれば、復習に関係なければ ほとんど変わらない; 復習が関与すると年寄りほど 覚えが悪くなる)。

声4: 脳外科の Dr. が 「一度覚えたら 30 回ほど復唱 (ふくしょう) しなさい」 と教えてくれ、それを実行すると覚えられるから不思議なことです ….脳に刻み込むのでしょうか?(答: 記憶には大きく 2 種類ある ―― 短期記憶 = 海馬の中に保存される 液体記憶、大量に可能だが 、やがて揮発する   長期記憶 = 海馬から大脳へ引っ越し保存される 固体記憶、少量だが揮発せず いつまでも残っている ….. 脳外科 Dr. の復唱は に属する)。
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Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

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