(6) 地域球のひみつ

 前回の「安全管理 (5)」は「長生きのひみつ」でした。つまり、人は50歳になるまでは、遺伝子がその人を守ってくれるから 何をしても、または しなくても 生きていられる;問題は 遺伝子が人を守るのをやめてしまう 50歳以後の心がけにある、というものでした。またNewton誌の4月号を引用し、長生きのひみつ①②③④をお伝えしました。さらに「ルー (Roux)」の方針も確認しました。

♣ ところが事情がその後 変化したのです。私どもは「地球」(Earth) の上に住んでいます。新しい考え* によると、それは幻影にすぎない、私どもは「地域球」(Eaarth) の上に住んでいる、と言うものです。「目からうろこ」です!!! では「地域球」(Eaarth)って何ですか?

♣ 現在の「地球」(Earth) は「産業革命」がイギリスで起こって250年、せいぜい15世代の人間が、「経済成長」を求めて努力し続けてきたものです。そこでは「多いほど良い」( more is better )という原理があり、農業・産業・人口・年齢の爆発的増大が当たり前と信じられてきました。ご存知のように、近年は「環境問題」(エコ、ecology) が問題視されています。現在の「地球」は この環境問題に押しつぶされ、放置しておくと、あらゆる資源は枯渇し、人類の環境は「地球」から 地域エゴの「地域球」になってしまうと報告されています。「地域」が環境を守らないからです。

♣ 欧州では「腎臓病」を患う人たちの寿命を「65歳」と認定するそうです。治療は腎移植。移植する腎臓は すぐには得られないので、「透析で時間待ち」をします。うまく体に合った腎臓があれば「腎移植」をします。もし体に合った腎臓が得られなければ、時間待ちの透析を65歳で中止し、イエス様の御許に行く のだそうです。本人も世間も、この考えに異論は無いようです。これによって、地域や国が「医療費倒れ」から守られます。透析も「環境」なのですね。でも、仏教や神道の日本人には「了解不能」な方針でしょう。

♣ 聞くところによると、東京のある区の介護認定会議では、認定者の1/3から1/4の方々が「一人暮らし」だそうです。こんな例があります:① 55歳男性 脳出血 右麻痺 失語 高血圧 糖尿病 体重75kg → 要介護3と認定:中年のメタボの生活態度が目に見えます。② 65歳男性 COPD 酸素を毎分3リットル使わなければ呼吸困難が続く タバコはやめられない → 要介護2。③ 78歳男性 肺癌の脳転移で左麻痺 タバコはやめられない → 要介護3。②と③はタバコの問題でしょうが、日本では年齢の制限などはなく、おおらかに認定が許容されます。

♣ 日本の人々は「人類愛」を枕詞にしながら 深い人生議論をしない傾向があります。たとえば、10歳の子が50歳になるために社会が全力を尽くすのは、誰が見ても美しいし、理にかなっている;しかし50歳の人が100歳になるために資源の乱用を社会に甘えて求めるのは 一体どうしたことなのでしょうか? 

♣ 結論的に述べますと、環境問題は「無機質な炭素」(石炭・ガソリン)だけでなく、「有機質な炭素」(ヒトの命)までを問題にすべきなのでしょう。ただ ひたすら感傷的に「ヒトは長生きするのがベスト」である、とは 地域のエゴ ( 地域球 ) なのかな?と考えるこの頃です。 * (参考:Bill McKibben: Breaking the Growth Habit. Scientific American 4:61, 2010).
 
職員の声

声1: 欧州は腎疾患の寿命を65歳と定めたのですか? 国によって死生観がちがうのですね、僕は桜の花ようにパッと散りたい。

声2: 「地域・球」とは初めて聞く言葉です;宗教が透析の年齢を制限しているのですか?(答え:宗教だけでなく、天然の合理的精神が社会的に年齢制限で合意しているのでしょう;日本でも「楢山節」という習慣がありました)。

声3: 欧州が65歳と設定したのは 日本では了解不能、日本がマグロや鯨を食べるのは欧州では了解不能、いろいろです。

声4: 日本では 若い頃 酒・タバコ・過労など好き勝手をし、歳とって社会の福祉構造に甘えているのは、本当の長寿とは言えません。

声5: 問題は「元気でないのに長生き」を どうサポートするか?ですよね。

声6: 日本はお金と力量があるので、年々増える高齢者の骨折を手術することができます、しかし他の国ではできません(係り:リハビリを含めて約300万円かかります)。

*楢山節考{ならやまぶし こう}:むかし鎖国時代の日本では食糧を輸入できず、「働かざる者 食うべからず」でした;楢山という信州の村では、70歳を越えたお年寄りは、息子の背中にしょわれて、山の奥に捨てられました;そうしなければ、村の全員が餓死してしまうからです)。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
安全管理 ふじひろのページ

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