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(84) ミスのひみつ

  ( 84 ) ミ ス の 秘 密   
 
  前回の安全管理 #82では「エラーのひみつ」をお話しました。エラーとは“うまく回避されておもてに出なかったミス”のことでした。

♣ そもそも「広義の失敗」を取り扱った「ハインリッヒの法則」は1930年代という時代背景があり、主に自動車事故を念頭に置いた保険統計から出たものです。近年の医療・看護・介護における「失敗」は主に「サービス」を背景にしますから、「失敗」の中身を再定義するのが適当でしょう。

♣ パールでは「ヒヤリハット・レポート」を綴じるときのハインリッヒ分類を、まず三つにわけます。真中に「おもてに出た失敗」を置き、それを「ミス」と名付けます。その左に“うまく回避されて表に出なかったミス」を置き、「エラー」となづけます(別名 ヒヤリハット)。「ミス」の右側に「おもてに出た失敗で、かつ補償を念頭するもの」を置きましょう、これが「事故」です。つまり、軽さ→重さ順に「エラー」「ミス」「事故」と並びます。具体的には「医療エラー、医療ミス、医療事故」などです。

♣ たとえば、皆さん方はワープロで文章を打つとき、「同音・異語漢字の拾いミスを起こしますね。それを訂正できればエラー、訂正しなかったらミス、こう考えます。また、電球の寿命が 1000時間±10時間という場合、“1000時間”の部分が大きく変われば“製造ミス”かも知れませんし、“±”の部分は想定範囲内であれば“許容エラー”として理解されるのでしょう。つまりエラーとミスの境界は ある意味では重複しうるものです。しかしながら、そもそも入力をミスし、かつその文字を訂正しなかったら、これがアクシデントです(例:. . . よって、田中太郎君を2階級の降格とする→昇格の間違い→重大な報道事故となる)。

♣ 人は誰もミスをしようとしてミスを起こすのではありません。いくら気をつけていても、人と仕事の接点が存在する以上、ある確率でミスは発生するのです。この場合、システム全体をミスの原因と捉えるべきでしょう。失敗の分類に血道をあげるより、改善できる道を探しましょう

♣ 介護の事故の発生場所を考えると、① 介護職員、② 介護する場、③ 介護システムそのもの、の三つでしょう。もし失敗が、ある特定の人に集中するのなら ① が問われ、在宅とか特養に集中するのなら ② が問題でしょう。しかし一般に、ヒヤリハット報告書を見聞きすると「同じような失敗の繰り返しが多く、あまり改善・進歩の様子が見えてこない」と言われます。このことは、失敗に対して正常なフィードバックがなされていない事を示しており、問題が ③ のシステムにあると思われてなりません。お年寄りを預かれば、転倒事故がないはずがない;お皿を洗えば、いつかは破損する;これらはシステムの持つ確率に依存するようです。システムにはシステム・エンジニアリングという分野があり、“どうすれば失敗が減るか?”をテーマとして研究します。

♣ そこで、皆さんに提案;失敗のうち、おもてに出た「ミス」を中心課題にして、みんなの経験と知恵を結集し、ミスが発生しない方法を工夫して、広く発表しましょう。

職員の声

 声1: エラーとミスの違いを理解しました;私は「二度と同じミスをしない」と誓いますが、緊張のあまり、またミスをすることがあります(係り:昔、学校の先生は ミスをした子に 水の入ったバケツを持たせ 立たせました)。

声2: 「以後 気をつけます」では いつまでたっても解決はありません(係り:だから昔は“水バケツ”を使ったのでしょう)。

声3: システムの持つ確率と言われてもよく分かりません(係り:年寄りはコケる、皿は割れる、車は衝突する、飛行機は落ちる . . . のように、幾つかの選択肢がある場合、なぜか人は必ず一番悪い選択肢を選ぶ、という冗談めいた指摘があります、マーフィーの法則として知られています)

声4: 私は「鬼」と言われようとも、ミスを見かけた都度、口で声掛けするのが有効だと思っています;私も同時に復唱します(係り:昔の軍隊には“鬼軍曹”という人が必ずいて、それで部隊がキチンとまとまっていた、と言います)。

声5: ヒヤリハット・レポートは他人事ではありません;私は我が事と思い、発表を聞いています;でも、ご利用者側のミスもあるのではないでしょうか?(係り:おおいにあります、これについては パールの安全管理 # 62:過失と責任、特に骨折について、の考察を参考にして下さい)。 
     参考:パールの安全管理 # 86:想 定 外 ! 
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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