(87) タダのひみつ

  (87) タダのひみつ     

  その昔の昔、人類の祖先は 主として狩猟・採集の時代であり、自分たちが食べるだけを取る、つまり、①「空腹に応じて働き、空腹に応じて取る」という時代でして、取るものはタダでした。今のゴリラやチンパンジーと同じレベルですね。日本では「古縄文時代」が これに対応するでしょう。

次の時代は ずっと人間らしくなり、狩猟・採集から定住・農耕の時代に移りました。人間は食べる量よりも多くを生産することができたので、直接農耕に従事しなくても生きて行ける人が発生し、敵から自分たちを守ることを職とする王様や天候を祈る神職等ができました。つまり 社会は ②「(人々は)命令に応じて働き、(王は)力に応じて取る」時代に変わったのです。人類の大部分の歴史はこの基準で働きました。命令者は太り、取られる側は痩せてきました。

♣ 数千年の歴史を経て、より合理的なシステムが工夫されました。それが ③「能力に応じて働き、労働に応じて取る」という近代社会であり、日本では 士農工商が廃止されて以後 まだ150年ほどの歴史です。これは良いシステムだとして受け入れられています。しかし、別な国では政治革命がおこり、その結果 ④「能力に応じて働き、必要に応じて取る」というシステムも起こりました。このシステムは「必要」をどうのように解釈するかに問題があり、しばしば「タダが当然」となり、コスト意識も希薄になります。

♣ 19世紀から20世紀にかけての欧米の植民地政策では他国からモノをタダ取りました。結局、この搾取システムはコケました。また、このシステムで70年間政治をしたある大国は1990年にコケて崩壊しました。日本でも1973年、老人医療をタダにして、混乱と禍根(かこん)を残した例があります。「タダほど有難いものはない」は誰しも思いますが、「労働」「生産コスト」のこと考えず、 「分配」の方法ばっかりを考えると、社会がコケてしまいます。つまり「タダほど高いモノはない」となります。

♣ さて、ここからが私どもの大事な「ひみつ」です。「高齢者が長生きする原理」は諸生命の歴史に中で、人間だけにあります。上記の①~④で共通に まず大事なことは“働く”ですね。でも、多くの超高齢者は働く体力がありません。どうして「取り」ましょう?「空腹に応じて?」、「必要に応じて?」、どれがあなたに一番しっくり来ますか? 私どもが知っている諺(ことわざ)は「働かざるもの 食うべからず」です;つまり“空腹に応じてタダ取りする”ことは 市場原理において問題があります。

♣ すると、お年よりは「必要に応じて取る」しか選択肢がないのかな? でも高齢者の場合、単純な「タダ」ではありません、人にもよるけれど、長年に至る納税を果たしています。そして なにせ高齢者の保護は、国民一人ひとりの「人間性の尊重の情」が基本にあるからではないでしょうか?その“ひみつ”は「丈夫で長生き」という人々の願望にも 表れており、市場原理にも一致するものだと思います。「蟻とキリギリスの問題」とは一線を画して違うと 私は思うのです。

  * 参考 パール安全管理 #80: 蟻とキリギリス

職員の声

声1: 「能力に応じて働き、その労働において取る」、もっともだと思います(係り:これだけだと、高齢者には厳しいですね)。

声2: 「空腹に応じて働き、必要に応じて取る」が 今のゴリラやチンパンジーと同じレベルなら、それと同じレベルの人間は沢山いるような気がします(係り:働かずに保護を求める人たちは、確かに少なからずありますよね----良く言えば社会保障、別な言葉では“甘えとタカリ” そのほか “横着者”)。

声3: 働く意思のない人をサポートして行くのが社会正義なのか、悩ましいです(係り:ゴリラの場合なら、飢え死にです)。

声4: 私ら現役が働き、乳幼児・高齢者を養いたいです;でもタダの饅頭を見つけて食べる人があれば、責任の所在が不明になります。

声5: 所得の公平な「分配」って、どんな分配なら「公平」と言えるのでしょうか?(係り:良い分配とは耳に心地良い言葉ですが、実態は死に物狂いの「闘い」です)。

声6: もしタダを実現させるなら、そのタダは、しょせん、誰かが負担する訳ですから、腐敗・混乱が発生するのは必定です(係り:タダと腐敗は対句になります)。

声7: でも 死に行く人を有料にするのは忍びがたいです(係り:同感 ! ただし、平均寿命の延び(50歳→90歳)全部を無料にはできません;タダにするためには、みんなの知恵が必要です)。
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Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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