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(88) 脳細胞のひみつ

  (88) 脳細胞のひみつ   

  ほぼ一年前 こんな新聞記事がありました:このたびアメリカ・スタンフォード大学で マウスの皮膚細胞を使って「神経細胞」を作成した;従来の人工多能幹細胞(iPS細胞)を使うと「ガン化」の恐れ があるけれど、この新しい方法であれば、できた神経細胞(iN細胞)がガンになる可能性は低い、と言います。全く時代は変わりつつあります。ヒトのことを「ホモ・サピエンス」と言いますが、サピエンスとは「賢い」という意味です。ほんとにヒトは賢くて、とうとう神経細胞を作ることができるようになりました。ヒトは神様の次に賢いのですね。

♣ でも、まだまだ! iN細胞が10匹や100匹できても、それらを教育して 使い物にするのは これからです。しかも、まだマウスのレベル。これを人間でやって、それを脳に挿入し、個人の記憶を教え込むまでには手間暇 がかかるでしょう。

♣ この新しい技術がどれほどのものかを知るためには、現状の脳細胞を理解しておく必要があります。ヒトの脳は動物の中で一番大きいと言われています。個人差を抜きにして数値を述べますと、生まれたての赤ちゃんの脳は400グラム、大人の脳は1,400グラム。つまり脳は1,000グラムほど成長するわけです。ところが、脳細胞の数は不変で、赤ちゃんも大人も、脳細胞の数は150億個 !! では、なぜ1,000グラムほど増えたのか? ここで比喩(ひゆ)を申し上げましょう。

脳細胞を本(book)にたとえます。私たちは、あなたも私も150億冊の本を持って生まれました。だけど、生まれたてでは、まだ本を開いて読んではいません。また本の内容別に分類されてもいません。赤ちゃんは 毎日いろんなことを覚えて本に記入します。さらに本を分類して読みやすいように整えます。つまり、本を「本箱」に整理整頓して置く わけです。この本箱に相当するものが、脳の基質(グリア)・血管網および多数の本どうしを繋ぐ結線などで、育つのは この本箱なのです。ヒトは育つにつれ、脳細胞に物事を教え込み、賢くなります。無秩序にあった脳細胞も、グリアという本箱や棚が増えることによって整頓・結線され、大人の脳になり、重さも1,000グラムほど増えます。これが脳の育つ仕組みです。現実の人間では、脳細胞と筋肉細胞は原則として、再生しません(幹細胞不在)。頭記のスタンフォード大学の実験は神経細胞を「再生」させたわけですから、ビッグ・ニュース ! いずれ新しい展開が見られるでしょうが、「再生しない」という現実にどれだけ挑戦できるかが問われます。

♣ 介護の職場では、アルツハイマーや脳血管性認知症が問題です。これらの病気で特徴的な共通項は「脳細胞の減少」ですね。減ったものは補えば良いではないか、と思うでしょう。それは「夢」ですね。頭に描いてください:本でぎっしり詰まった本箱、それがいつのまにか、あちこちの本がやぶけ、抜け去り、スカスカになっている状態、これが認知症です。抜けた本をうまく挿入できれば、マンセー !!

♣ 将来、きっとこれが可能になるでしょう。でも私は保守的なのか、心配でなりません。脳細胞が置き換えられるなら、目も耳も歯も、そして首から下全部が新しい細胞で置き換えられ、ヒトは秦の始皇帝が望んだように「不死身」になるでしょう。新しい赤ちゃんも恋も不要、いまあるだけで足りちゃいます。そうなると マンセー !! と言えるのでしょうか?

職員の声

声1: 脳全体を、「一つの脳細胞を一冊の本とみたて、本でいっぱいの本箱を脳と例える比喩」は分かりやすかったです。

声2: 脳細胞を「本」、本棚を「脳の支持組織」に例えると、私の脳は やぶけた本・よれよれの本でいっぱいの本箱、先が思いやられます(係り:そんなに卑下なさらないで下さい、脳細胞は有るか無いかよりも、脳の機能、つまりお互いの細胞がうまく連絡し合っているかどうか“結線”が鍵です;ボロ細胞であっても相互の連絡さえ良ければ、それは優秀な脳です——調教次第 ! )。

声3: つまり, iN細胞が実用されると、その細胞が一冊の「本」に相当するから、キチンと知識を読みこみ、教え込まねば、使い物にならない訳ですね係り: Yes! 他の臓器なら、移植したら すぐ機能します)。

声4: いっそ、他人の脳細胞を移植してもらったら . . . (係り:すると、あなたの記憶はその“他人”の記憶に置き換えられてしまいます)。

声5: 認知症の最終治療法として脳移植は決して望めない?(係り:もし移植されたら、人格も移植されます(→ 別人になる)。その前に、臓器移植は ドーナー側が「脳死」(大脳の機能喪失)状態でなければ認められませんから、そんな脳死した脳をもらっても、問題解決にはなりません;つまり 神経細胞のひみつは“結線・調教”にかかっている のです、マンセーになる日は まだ先になるでしょう)。
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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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