(93) ヒト と がん のひみつ

  (93) ヒト と がん のひみつ   

  私は、たまたま神田・学士会の「がんのひみつ」という 素人向きのお話を聞き、ヒトについて役に立つと思われる勉強をしたので、それを要約し 今日のお話としてお伝えします。一部は私の「安全管理」で、すでにお話した内容と重複するところがありますので、ご容赦ください。

♣ ① 一人のヒトの出発点はケシの実より小さい直径200ミクロンの受精卵一個、それが大人になると60兆個の細胞に増えます(いま個人差を考慮外)。もっとすごいのは、60兆個を越えて それ以上には増えないことです。ヒトの遺伝子DNAが「全部で60兆個たるべしと指定」するからです(癌細胞はこの指定を無視します)。多食の人は体重が大きいですが、細胞数は変わりません:その理由は「脂肪細胞の態度」にあります。類推で言いますと、空気の入っていない風船10個は片手で握られますが、空気を吹き込んだ後なら、机の上いっぱいに広がりますね。空気の代わりに 脂肪を吹き込むと、脂肪は重量をもっているので、体はずっしりと重くなります。

♣ ② 体を構成する細胞一個一個の寿命は1日から100年まで 様々です。食事をすると歯と歯肉の隙間から外敵の細菌が体内に入りますが、これと闘う白血球はわずか1日で寿命を終えます。他方、子供の頃に罹った麻疹(はしか)ウイルスの抗体を所有する白血球の寿命は100年です。女性の生理を考えると、子宮内膜の寿命は約28日です。腎臓は左右にありますが、その仕事は血液のお掃除です;300万個ある「糸毬体」は血液をフィルターにかけ、血液中の不要物を捨てます。この糸毬体は、毎日60個程度、使い捨てで壊れ、年間2万個ほど減ります(あなたの尿を顕微鏡で見ると 壊れた糸毬体の残骸が見えます)。糸毬体は再生しませんので、人生50年なら まだ腎機能の余裕たっぷりですが、人生100年なら 寿命が危ぶまれます。肝臓や胃腸の細胞は2年に一回ていど新旧の細胞が入れ替わり、50回ほどが限度ですから、100年持ちます。私どもの体は若いころからずっと変わらない、と思いがちですが、実は数カ月で体の細胞は全部入れ替わります。日本銀行は一つですが、職員は年中入れ替わる のと同じ です。ただし、一生 入れ替わらない例外があります:それは「脳と筋肉、軟骨と角膜」です。

♣ ③ 赤血球は120日の寿命で、古くなると脾臓で壊され、肝臓から胆汁として腸に流され、排便の黄色となります。新しい赤血球は骨髄の中の「幹細胞」(かんさいぼう)から補充されます。/ 一般に、幹細胞はDNAの指令に従って、不足分の細胞を産みますが、その幹細胞は、生後20年~30年以上たつと、DNAの指令に従わず、癌化することがあります。実は、体細胞の1%にあたる6千億個の細胞が毎日寿命で死に、その死んだ分は幹細胞の細胞分裂によって補充されますが、そのさい、癌化した幹細胞はミスコピーした癌細胞を毎日5千匹 ほど産みます。でも、元気な免疫白血球がパトロールし、これらを完全に駆除します。しかし、何年かの間に 駆除の失敗が1匹でもあると、その癌細胞はDNAの指令には従わないまま、20年かけて小指の先程度に育ち、発見できる大きさになります → 検診の必要性が理解されます。癌細胞は増えるばかりですから、結局 宿主を倒してしまいます。

♣ ④ 癌死亡が男性に多い理由は、女性に比べて癌ができやすいからではなく、喫煙飲酒などの「生活態度」が悪いからです。タバコがなくなれば癌の3割がなくなります。タバコの場合、吸う人はフィルターで守られますが、吸わない傍の人はフィルターを通さない「副流煙」を吸いますから、かなりの人が肺癌を起こします。

♣ ⑤ 癌の原因は、タバコが3割、生活習慣が3割、残りの4割は「運」です。「運」とは、ご先祖からの遺伝子、長生きし過ぎ、食生活の欧米化、保健衛生の不徹底などです。

⑥ 日本では胃癌が癌の代表であったため、治療法として一番人気のあるものは「手術」です;しかし、世界的に見てそれは間違い、外科を受診せず、腫瘍内科に行くべき時代です。

♣ ⑦ 癌の痛みを和らげる薬は、日本が一番遅れています;なぜなら痛みを我慢しないと命が縮んでしまう、という変な武士道魂が残っているからです。

♣ ⑧ 人間の体は遺伝子にとっては、単なる「乗り物」に過ぎず「消耗品」です;女性は50歳が更年期で、以後、子を産みませんね。よってDNAは女性に50年の命しか保証しません;つまり 50歳以上の女性は 遺伝子の「乗り物」として不適格なのです。男性も同じです。だから、余生を長くしたい人は、生活態度を改めるしかなく、また、それでも50年を越えれば、DNAの保護は 年々期待薄になる、との認識が必要です。

♣ 長寿とは、全く目が覚めるような「ひみつ」だらけですね。 

  参考:中川惠一、 東大緩和ケア診療部長:学士会報 880 2010-I:106~118.

職員の声

声1: 「人体の細胞は数ヶ月で入れ替わる」なんて意識したことがありません(係り:細胞が入れ替わるときに 癌が紛れ込むのです;また不潔な生活で肺癌・肝癌・子宮癌などが発生します)。

声2: ヒトの体の細胞数が60兆個、それ以上でも以下でもなく、もし以上になれば、すなわち“癌”、とはとても分かりやすい(係り:ヒトの遺伝子は体の細胞数まで規定します;その遺伝子は30億年以上 生き続けていますが、ヒトの体に せいぜい一回につき100年程度 乗っている にすぎません ——もし その人が子をもうければ、DNAは新しい命のほうへ乗り継ぎます)。

声3: 私は癌になったらどうなるのか、一家の主婦として困ります(係り:癌の原因は①タバコ3割、②生活態度3割、あとの4割は③「運」でしたね、いずれも気配りで何とかなるでしょう。

声4: 私は生活習慣を見直し、体をいたわるつもりです(係り:生活習慣ではなく「生活態度」ですよ;食べ過ぎ肥満・タバコを吸いながらの深酒・睡眠を犠牲にした夜遊び・自主性のない過労、などが含まれます)。

声5: 人間はこれら①②③と闘い続けてきました、将来 癌はなくなるでしょうか?(係り:癌は昔、長生きする王侯貴族の病気でした;癌をなくするためには 昔のように人生を50年にすれば ただちに可能です。

声6: DNAの仕組みにより、人生は50年と知り、目の覚める思いです;生活態度を改めるって、私は飲酒が大好きだから 改められません;でも私の母は乳癌手術後11年ですが、まだ存命中です(係り:上記の③に「運」という項目があります;あなたがたには、ただ今「運」が付いているのでしょう)。
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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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