FC2ブログ

(104) 翁オキナ・塸オウナ と 貯金

  (104) 翁オキナ・嫗オウナ と 貯金    

 皆さん方は たぶん あまり貯金をすべきかどうか 考えずに貯金をしていますよね。それは勤勉の証であり、安心の基であり、かつ 得になる と思うからでしょう。そこで 私が驚いた経験の一端を紹介しましょう。

♣ 8年まえ、私はオーストラリアの福祉事情を学ぶためにシドニー市を訪れました。目的の仕事はさておき、 私の泊まったホテルの広場で とても珍しい現象を観察したのです。そこはかなり広くて、500人くらいの人が集まっても十分な広さがありました。案内人が ニコニコしてこう言います:「今日は金曜日、この宵 この広場は若者で埋めつくされるでしょう」——私:コンサートか何かあるのですか?——案内人:「まあ見てごらんなさい」。夕暮れで窓の電灯が付き始める時間になると、なるほど二十歳代の若い男女たちがパラパラと集まり始め、30分もたつと 窓の下の広場は彼らの立ち姿でぎっしりになりました。どんな集団か分かりませんが、とにかく男女のガヤガヤと会話のにぎやかなこと!何のために彼らは集まったのでしょうか?

♣ しかし15分後に窓の下を見ると、もう彼らは誰もいません。どこに行ったのかな? 案内人が楽しそうに説明してくれます——「オーストラリアでは 毎週金曜日の宵、どこでも このような光景がみられます;彼らは 広場に集まって、一週間の労働の疲れを吹き飛ばすために、遊びに出掛ける習慣があるのです。集まったのは、ガヤガヤおしゃべりをして気の合う相手を見つけるためなのです。男女ペアで、グループで、思い思いの群れで街に出かけ楽しむのです。オーストラリアは国が広いし、福祉制度が発達しているので、人々は遊ぶのが好き、それも宵越しのお金を残しません。つまり ほとんどが週給なので 彼らは金曜日の宵に お金を使い切ってしまうのです。貯金の習慣はありません」。

♣ 国も人も違うし、私はビックリしたものの、“私なら 少しは貯金するな”と思いました。ところが考えて見ると、日本は貯金の利子がほとんど“雀の涙”、ナイと言っても過言ではありません。「箪笥預金」なら泥棒の危険があるから 銀行に預ける、そんなものです。さて ここからお金の事を考えます。100万円を箪笥預金の場合、何年たっても100万円ですね。ところが、日本の政府は「消費者物価」をコントロールし、毎年、消費者物価指数を 4.3% 上げる仕組みです(1940~2000年までの平均値)。ネットで見ると、2010年の指数は 4.4% であったとのこと;それ 知っていましたか?(ちなみに世界銀行が発表した数値では 2010年の世界平均が 3.9% だったそうです)。計算すると( 1.044のx乗を計算:xは年)、100万円の箪笥預金の価値は 10年後に67万円に、40年後には わずか20万円になります。これは世界のどこに住もうとも、わずかな差で ほぼ同じです。

♣ これを防ぎたいのなら、4.4%の利子を付けてくれる預金をせねばなりません(今の日本ではムリ)。それとも 時代による価値があまり変わらない“金(きん)”でも買いますか。これも手数料や保存場所の問題がありますね。現実は さらに厳しいです。私たちは消費者物価の影響だけでなく、生活レベルの向上や勤続年数による給与加算の期待の中で生活しているので、箪笥預金の100万円の価値は みるみる落ちてしまいます。

♣ さて、そこで 翁(おきな)と嫗(おうな)の登場です。翁とは“歳とった男性”、嫗は“歳とった女性”の意味で、何歳から という定義はないそうです。たぶん 能楽(のうがく)で使う言葉でしょう。日本の翁も嫗も、若いころから“老後に備えて”貯金するのが慣わしでした。でも あなたたちがケアに入っている翁や嫗は貯金を取り崩して生活していると思いますか?上記の計算で分かるとおり、それはムリですね。つまり、こう言うことです;若い時の預金は ひどく目減りする ので、介護保険は「現時点の若者が現時点の翁と嫗を養う」以外には方法がないのです。常に働いて稼ぐことの重要性がここにあります。

職員の声

声1: 過去60年、日本の物価指数は毎年4.3%ずつ上がってきた;だから貯金しても額面価値は下がる一方だとは知りませんでした;でも私は貯金が必要だと思っています係り:財源が確保されたうえで実施される福祉なら貯金は不要です)。

声2: 100万円貯めても40年後には20万円の価値に下がるのですか?(係り:私が学生だった50年前、かけそば・電車初乗り・バスは各10円でした;いま250円ほどです(25倍);世界物価も昨年は3.9%アップです)。

声3: 一生懸命働くのは「自分のため」であって「見ず知らずのお年寄り」のためではありません;労働と世代間分担との関係をはっきりさせたいです(係り:いまの翁・嫗が明治・大正を過ごされたころ、年金・健康保険などの積立金はゼロだったでしょう;でも要介護5の嫗が20人で1年1億円かかりますが、それは敬老精神の現れでもあります)。

声4: 箪笥預金はダメ、銀行は潰れる;私はどうすれば良いのですか?今の社会は老人が大得、私の理想は子供が大得する社会です(係り:子供をスポイルするのは簡単です;好きなものをみな買ってあげることです;その後 親と年寄りは必ず不幸になります)。

声5: 生活保護の総額が3兆円を越えました(係り:日本の国債評価がAAA+から一段下のAAAマイナス に落とされました;財源のない福祉は「絵に描いた餅の苦しみ」を味わいます)。

声6: 私は働きます から、自分の老後は安定し、介護保険が充実していることを願います(係り:必ずそうなるでしょう——でも、100歳で十分だと言ってね;120歳を希望されると、超超大高齢化と少少少子化の問題 が新たに発生しますので)。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
安全管理 ふじひろのページ

最新記事
全ての記事一覧
月別アーカイブ
カテゴリ
リンク
QRコード
QR