(110) 2013年の危機

  (110) 2013年の危機   

  最近の世情は アジア・カップを獲得したサッカーの「明るいもの」から、日本の国富がおびやかされる社会環境まで 色々です。社会福祉は世情の産物とも言える部分があるので、少し世の中を見てみましょう。

♣ 先回 お話しした「貯金と翁・嫗1) の続きをします。私たちの貯金は、銀行を経て 多くは政府に貸され、政府は借金証文として債券を発行します。銀行に残っているものは債券、政府は政策のため(道路建設・教育や医療福祉など)にお金を使ってしまうので 手元に現金はありません。もし あなたがお金をおろそうとすると、政府は現金を印刷し(債券発行)、銀行を経てあなたに払い戻します。だから政府は現金の払い戻しを歓迎せず、一時、1,000万円の払い戻し制限を設けたほどです(ペイオフ)。貯金の現金価値は毎年 4.3%ずつ低下しますから、政府は得しますね。

♣ さて、みなさん 「ギリシャ破綻」をご存知ですか? ギリシャ政府は赤字を債券発行でまかない、その債券の多くはドイツ・フランス・イギリスが買っていました。ギリシャ人は陽気な地中海民族で、明るくほがらか、公務員の数も給料も多く、脱税に寛容;このため とうとう破綻しかけました。もし破綻が本当なら、ギリシャ政府発行の債券は紙屑同然の無価値になり、ドイツなどは大損を食らいます。つまり、破綻させられない。苦しいですね。

♣ ところで、報道ステーションの古館さん先月28日、次のように話しました:日本の債券の国債格付けはAA+からAAマイナスに下げられました。つまり 日本の債券の価値は何割か低下した わけで、それは「国富」の何割かの喪失に他なりません。ギリシャと異なり、日本は借金先が日本国民です。つまり国民は政府に借金の取り立てをしない から、国は破綻しません。ところが、見て下さい。日本の国民総資産は約1,000兆円、政府が国民から借金した額は いま約800兆円。従来の流れからみて、2013年には もう国民から借金はできなくなります → 2013年の危機 !!! 。以後はギリシャのように、外国から借金すること、つまり破綻に陥ります。

♣ 話 替わって、日本社会の特徴は、戦後、エコノーミック・アニマルと欧米に揶揄(やゆ)されながらも、日本は世界第二位の富の生産量を誇るようになりました。しかし バブルの崩壊後、経済は停滞し、人心はさもしく成り下がった ようです。高度経済成長の反動として「ゆとり教育」「悪平等の徹底」「自己否定」「万年謝罪国家」「モンスター・ペアレンツ」などの自虐じぎゃく)に浸っています。お金万能、欧米的な訴訟せにゃ損主義が蔓延(まんえん)しています。それでいいのでしょうか?

♣ 私がフト不思議に感じたことが一つあります。それは「イレッサの和解勧告拒否」です。イレッサは肺癌の治療薬;国民の強い要望によって、3年かかる「二重盲検テスト」を、半年に短縮して市場に出た薬です。抗癌剤といえば、副作用として食欲低下・髪の毛の脱落など悪評高いしろものです。イレッサも所詮 抗癌剤に過ぎませんでした。死者が800人を越え、その家族は国・医療家に賠償金を求めて提訴しました。しかし厚生省・ガンセンター・医師会は これを拒否しました。薬、とくに抗癌剤は、十分なインフォームド・コンセントをした上で、注意と納得の上で用いられます。結果が悪かったから「賠償せよ!」、それはないでしょう。そのムリを容認すれば、今後、インフォームド・コンセントは一切無意味となります。それは社会に大混乱をもたらすでしょう。

♣ 私が感じたことは、無気力・無抵抗主義の日本政府が ここで筋を通す姿勢になったことです。「泣く子と地頭には勝てない」という姿勢で事件を曖昧に処理するのではなく、国がキチンとした論理で毅然(きぜん)とした態度をとった、という点が良かった。日本は第二次大戦を乗り越えて繁栄の道を歩み、アジア諸外国にはない「介護保険」を実現しました。日本人は本来 優秀です。バブル後の20年を混乱の中で過ごしましたが、 「2013年の危機」を きっと日本は うまく乗り切るだろうと私は思います。皆さんも 一緒に頑張りましょう !!

職員の声

声1: 民主党は政権を取ったのだから、左翼系の政党に共通な政策、つまり大きな政府・バラマキ主義で進むのは当たり前でしょう(係り:大きな政府を期待した国民の負託を実行しているに過ぎませんよね;でも、国民の貯金を流用するまえに、独自の財源を探して欲しい です;ペイゴー2) を考えて下さい)。

声2: 政府が国民から借金する額は、もう 200兆円しか残っていません、民間会社でいえば「倒産」です(係り:総理の釈明を聞けば「僕はそのことについて “疎いので(うとい) . . . ”とおっしゃる;私は自分の耳を疑い、震えました」。

声3: 日本人は確かに「貯金好き」です;でも 政府が赤字国債を発行して 国民の貯金を流用し、その額は2013年には国民の貯金額を越えるだろうと聞けば、 「大きな政府」の存在意義を疑います係り:40年前に 今の日本とそっくりの「イギリス病」というのがありました;サッチャー首相がそれを片付けました;日本の政府は歴史に学んでいませんね)。

声4: 日本がギリシャのように破綻したら、私の老後はどうなるのでしょうか?(係り:外国人の債権者はあなたの存在を無視するでしょう)。

声5: 肺癌治療薬イレッサについて、政府が和解案を拒否したのは「筋」が通っています、政府の珍しいクリーンヒットでした。

声6: 財源をもっている国を揺すぶれば、なにがしかの“おこぼれ”が取れるだろう、と思う原告たちの気持ちが卑しいです;インフォームド・コンセント3) の意義を破棄するような行為は許せません。

  参考: 1) 福祉における安全管理 # 104 : 翁オキナ・嫗オウナと貯金。2) 安全管理 # 107 : ペイゴー。 3) 安全管理 # 102~103 : インフォームド・コンセント。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
安全管理 ふじひろのページ

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