(113) 他人の二倍 生きたい

(113) 他人の2倍 生きたい

若い お年寄りに訊きますと、“私は人の倍 生きたい” という声をよく聞きます。つまり 寿命100歳では足らず 200歳ということでしょうか?“なるほど なるほど、そのお気持ちはよく分かります ”と私は肯定します。でも その前に、ちょっと いろいろ復習してみませんか? 

♣ 日本は鎖国を敷いていましたので、明治時代までカロリーの輸入はできず、人口はずっと3000万人で頭打ち、その上 平均寿命は32歳 程度でした。明治維新とともに、諸外国との貿易を始め、「産めよ、増やせよ」・「富国強兵」の号令のもと カロリーを輸入し、人口は倍増、6000万人に達しました。第二次大戦の頃には、朝鮮・台湾・樺太を含め 1億人に増え、「一億一心」で戦争を勝ち抜こうとしました。でも 敗戦とともに領地を失い、人口は元の6000万人に戻り、平均寿命は43歳 程度で推移しました。食糧難に加え、結核の猛威が人々の生命を奪いました。1950年、朝鮮戦争の勃発とともに「朝鮮特需」というのが発生し、日本は以後40年間、平和の下で 経済発展とバブルに酔い、1990年のバブル破綻で目が覚める思いをしています。この間、1952年には 念願の平均寿命“50歳”を達成しました !!

♣ 戦後15年間の特徴は「赤ちゃんの出生が増え、しかも乳幼児死亡が激減したこと」です。戦後15年以後、第二の特徴は「年寄りが死ににくくなったこと」です。おかげで 国は繁栄し 人口は1億2千万人に達して安定しました。平均寿命は毎年上昇し、50歳から ほとんど2倍に近い 90歳 になりました。従来は、年寄りが程よく死に、0歳の赤ちゃんが同じ数だけ補充されて 低い安定人口を構成していました。ところが 年寄りが死ななくなるということは、それだけで平均年齢は上がりますよね。これが約50年も続きました。でも年寄りが死なないのは、死亡年齢が50歳から100歳になる間の50年間だけのことです。

♣ 100歳になってしまうと、もう死にます。すると、人口は、生まれる人・死ぬ人の差し引きだけで決まります。それが2008年に起こりました。つまり以後は生まれる数107万 < 死ぬ数108万などとなり、死者が生まれる数を追い越しました;そしてマスコミは「死の影」を強調し始めたのです。でも それは おかしいです。人は所詮 生まれた数だけ死ぬのです。寿命延長により この50年間だけ死ぬ時期が猶予されただけの話であり、以後は“生まれただけ死ぬ”という 普通のサイクルに戻ったに過ぎません。マスコミの大騒ぎは迷惑千番です。おまけに「少子高齢化」などのキャッチフレーズまでこしらえ、危機感を煽ります。少子高齢化などは、年寄りが死ななくなった50年前から その兆しがあったわけで、この50年間こそ 日本人が長く求めていた桃源境(とうげんきょう)だったのです。

♣ さて、現在は終戦時の2倍ほど長命になっている訳ですが、さらに また「人の倍 生きたい」という願いを聞き(合わせて4倍)、私はこう尋ねます:今の寿命のうち、どの部分を長くしたいですか?と。たとえば青春時代を2倍に、とか、定年後の時間を2倍に、とかの希望を訊きます。うーん . . . と、なかなか答えられない人には、漠然と2倍ですか?と尋ねます。後者を選ぶ人が多いです。そこで 解説をつけ加えます:漠然と2倍 生きたいのなら、小学校は12年生で卒業、中・高も12年、成人式は40歳、結婚適齢期は58歳で、女性の更年期は100歳、つまり99歳まで出産があります。定年は130~150歳、そのあとの50年が自由な老境となります、それが ご希望の内容でしょうか? たいていの人は目を回します:なに? 成人式が40歳だと? 女性は99歳まで出産があるんだって?そりゃかなわんわ !! つまり、他人の2倍生きたいと言っても、その各論を持ち出すと ほとんどの人はたじろぐのです。

♣ 20年前、「第二次・緑の革命というのがあり、世界の食物の収穫量は約2倍になりました。そのメカニズムは「遺伝子改良」でした。私たちは今、その恩恵を受けた多量の食糧に恵まれているのです。だから「他人の2倍 生きたい」と言う願いは いずれ可能となるでしょう。たぶん 「×2 遺伝子」がヒトに導入されると予想されます —— つまり 女性は強く、出産は99歳まで あるのです !! まあ、今から その日のことに気に病んでも しようがありません。きっと 明日には明日の風が吹くことでしょう。

     参考 安全管理 #108 : クオ・ワディスの矛盾。

職員の声

声1: 少子高齢化が問題となっています;これからは生命の長さが2倍と言うよりも、老人を支える若者側の効率性が求められます(係り:今と同じ人口比率で「老:若」が期待されるとすれば、50年後に「若」が「老」になるとき、対応する「若」の人口は今の2~3倍でなければならず、つまり日本の人口は3~4億となりましょう;それは不可能ですよね;そこで、現在の「少子高齢化」は健全かつ熟した社会現象であり「少子」は持続すべき、ということを知ります)。

声2: 200歳まで生きてバースデイ・ケーキを食べて パタッと死ねたら嬉しい;さらに誰かのために役立てたらもっと嬉しい;でも遺伝子改良はお断り です(係り:20年ほど前に、ムギ・トウモロコシなどは遺伝子改良(緑の革命)で収穫量が2倍になり、おかげで私たちは幸せになっています)。

声3: 99歳まで出産可能 !?とは、生まれて来る子供に対して無責任です(係り:そのお子さんが40歳で成人式を挙げるとき、あなたは140歳で、あなたの仕事の定年まで まだ20~30年もあるのですよ、嬉しくありませんか?)。

声4: 私は江戸時代の3倍、明治の2倍生きています(寿命 33歳→43歳として);その頃の人は生存していませんが、私を“理想の人”と呼んで下さるのでしょうか?その頃の女性は15歳で嫁いでいたのだから、2倍も濃厚な人生だったのですね(係り:江戸時代なら女性は25歳で年増としま)と言われ、御殿を降ろされていました;今の25歳なら まだ平均結婚年齢(= 27歳)にさえ達していません)。

声5:  私の周囲では更年期で苦しんでいる人がいます;人生が2倍になると 更年期の苦しみも2倍でしょう?考えちゃいます(係り:江戸時代のご婦人は更年期を知る前に死んだ方が多数だった訳で、現在の100歳も厄年と言わねばなりません)。

声6: 人間は120歳まで生きられると聞きました;最近は“生きた長さ”より“生きた質”が問われています;つまり“質”とは何か?という哲学問答こそ生きる目的でしょう?(係り:遺伝子を放置のままなら120歳、遺伝子を改良すれば200歳まで行くでしょう;あなた、濃い人生なら短くても良いって本心ですか?)。

声7: 「長さ」より「質」が大切と思います;全員が200歳で、99歳のお産も普通となれば、今と何も変わりません;時計や地球の自転を2倍に速めればすむことでしょう;時空の世界を変えるより、現状で十分だと思います(係り:ナポレオンは200年前にセントヘレナ島で死にました(51歳);介護5で彼を200年生かすとすれば10億円の出費ですが、彼は有名な死に方をしたので、毎年何千億円もの利益をフランスにもたらしています)。

声8: “他者に迷惑をかけない”という遺伝子改良があるのなら してもらいたいです(係り:現在の高齢者問題をつぶさに見ていると、 「高齢=他者迷惑」の実態ですものね;高齢者は私たちの先輩だから あからさまに言えませんが、全世界で大問題になっています;特にお隣の中国では)。

 結論寿命100歳を200歳にする必要なし、でした。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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