(121) 固きこと骨の如し

  (121) 固きこと骨の如し  

  西洋の神様は、人間のことを「地に張り付くバッタの如し」と言われたそうです。そのバッタたちは、生まれ、働き、死んでゆきましたが、神の声「産めよ、殖やせよ、地に満てよ」にも応え、世にあふれてきました。人間が生を営む地面は「動かぬこと大地の如し」でした。

♣ しかし、この幸せも長くはもちませんでした。ポーランドの司祭コペルニクスは16世紀の半ばに「大地は動く」と発表したからです(地動説)。この考えは神の教えに著しく反します。ローマ法王は、コペルニクスを信じた司祭ジョルダーノ・ブルーノを「火あぶりの刑」で焼き殺してしまいました。

♣ その半世紀後、イタリアのガリレオ・ガリレイが、1609年、自作の望遠鏡を夜空に向け、いくつかの発見をしました:月には山や谷があり、月は聖書の教えるような完璧な円盤ではない;金星は月と同じく三日月や満月の相を見せる;木星は四つの月(衛星)を持つ;太陽には黒点があり、完璧な神の光体ではない、等々。びっくりした法王は彼をも火あぶり刑にしようとしましたが、ガリレオは自説を引っ込めました。法廷から出るとき「それでも地球は動く」とつぶやいた話は有名です。

♣ さて、私たち人間は自分の体を触って、一番固い物を「固きこと骨の如し、変わらぬもの骨の如し」と言います。骨は炭酸カルシウム・燐酸カルシウムで出来ているので、“固い”と言っても鉄にはかないません。また、“変わらぬ”と言っても石地蔵さんには及びません。皆さん、ご存知でしたか? 骨は一年の間に20~30% が入れ替わり、3~4年で新品になる のです:破骨細胞が今ある骨を鑿(のみ)で削るように壊します。その隣では造骨細胞が“コテ”で塗り上げるようにして新しい骨を作ります。

♣ 若いときは、100個壊せば100個造られます。その結果、骨は固くて、形も不変のように見えます。骨を成型する「破骨細胞と造骨細胞」は遺伝子の命令に従って仕事をするので、50歳を超えた人たち、とくに女性では、造骨細胞の機能が低下してきます(100個壊して 99個造る)。その結果、骨は形を保っているものの、中味はスカスカの状態になり、この状態は「骨粗鬆症」と呼ばれます。つい50年前まで、「固きこと骨の如し」だったものが、いまや「折れやすきこと骨の如し」となっちゃいます。何と言うことでしょう !! 今後、改善される望みはないのでしょうか?

♣ なくはないと思います。学問の発達した今日この頃、遺伝子工学に頼ればよいのです。遺伝子操作により、更年期を100歳に変更するように注文します(夢ではありません)。そうすれば、女性の生理は100歳まで続き、99歳でも子を産んで、少子化も解決でき、90歳の骨粗鬆症なんか消えてなくなっちゃうでしょう。遺伝子操作ができるのなら、ついでに「還暦歯」をお願いしたいです。今、人の歯は10歳頃に成人歯に生え替わりますが、それを還暦で今一度、と願うのです(これも夢ではありません)。これらを本当に達成する人はきっとノーベル賞に輝くでしょう。

職員の声

声1: 遺伝子の科学的制約を越えてムリな長生きをしたい人間、その将来像を危ぶみます係り:今、デイーサービスで、骨折が数か所あって、困り果てている79歳の女性があります;高齢者の骨折をとどめる手段のないのが現状です)。

声2: 骨粗鬆症の治療のために遺伝子操作を始めたら、生命・環境のバランスが崩れ、人類の絶滅が早まりませんか?(係り:骨粗鬆症の基本原因は「閉経」にあります;「閉経」は「もう子を産まない」という宣言です;遺伝子には「子を産まなくなった女性」の骨を守るプログラムがありません)。

声3: 骨が3~4年で新品に置き換わる、とは驚いた;科学は日々進歩するけれど、夢や希望を持ちたい。

声4: 90歳でも子が産めるって、子のお世話も必要だし、ムリのない年齢があると思います(係り:動物界では、子を産まなくなったら、その年齢の生命は存在理由がありません;よって80歳でも90歳でも子を産みましょう;そうすれば骨粗鬆症や認知症は寄り付きません)。

声5: ライフスタイルが変わって、晩婚化・少子化になっています;90歳はムリとしても、子供を産む期間が今より、もう少し長いと喜ぶ女性が増えるでしょう(係り:20年前、産科では「高齢初産」を30歳から35歳に引き上げました;今のまま さらに40歳に引き上げれば、もうそれは「終産」の年齢になります)。

声6: 自然のままで良かったものを、人工的に操作するから、長期的に見ると、何か「ひずみ」が出そうで怖いです(係り:自然のままなら、「人生33年 !」です;でも人間は「智恵の動物」ですから長生きします;その結果、あなたのおっしゃるように「ひずみ」、つまり「骨粗鬆症」「更年期」「認知症」などの流れが出ます;問題は「自然のままの固きこと骨の如しで短命」と、「人口操作による折れやすきこと骨の如しで長命」のバランスを どのようにとるかにあるのでしょうね)。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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