(122) 「死」と「不死」

  (122) 「死」と「不死」

 私たちはナゼこの世に生まれて来たのでしょう? また、ナゼこの世を去るのでしょうか? サルは こんなことを不思議に思いません。しかしヒトは昔から このことを不思議に思っていました。ヒトが、「どうして あなたは死んだの?」という、この不思議を考えた 一番古い史跡は 去年9月 この安全管理で お話ししました、6万年前の「シャニダールの花粉1) です。

♣ 人類は1万年前に「狩猟・採集」の生活から「農耕・飼育」の生活に移ったと言われます。そこで はぐくまれた「死」の不思議を物語る遺跡は あのエジプトのピラミッド群 です;その中に6000年の「死の歴史」が埋まっています。エジプトでは ヒトは「死にたくない」のではなく、「一時的に逝くけれど、また 戻ってくるゆえ、その時に入る体を残しておく」という思想でした。それが「ミイラ」の文化です。2000年前の「秦の始皇帝」、彼の「兵馬俑」(へいばよう)は見る者を圧倒します;その壮観は 私たちを「死と不死の不思議さ」の中に いざないます。

♣ ところで 科学の世界での「死と不死」は 面白い展開を示しています。今日は まず 「死」とは何?から始めましょう2) 。ヒトの死は ① 体の部分死と ② 体全体の死に分けて考えましょう。体の部分死については「ヘイフリックの回数券」が面白いです3) 。ヒトの体を構成する細胞は一生の間 同じものではなく、約50回ほど部分的に死んで入れ替わります。皮膚細胞・胃腸の上皮細胞・肝細胞・骨細胞などの古いものは 毎日 何億個も死に、新しい細胞に入れ替わりますが、入れ替わりの回数は有限です。他方、ヒトの体のうち、「神経細胞と筋肉細胞」は長生きな細胞であり、その細胞は一生入れ替わりません。つまりその有効期限は「定期券」のように、ずっーと先、しかし一回ポッキリで限度(死)に達します4) 体の部分によって、その死が「回数券」と「定期券」で比喩的に異なって表わされるとは なんと面白いですね

♣ でも、細胞の死に方については、参考になる「 二つの手掛かり」があります。その ①として外因死があります; つまり、外傷・飢餓・病気などの 本人に責任がない死です(壊死 えし)。昔はこれで死ぬのが主流でしたね。いまでは 多くの外因死が防がれています。その②として内因死があります:これは「定期券死」を説明しようとするもので、私は神様の名代(みょうだい)の発言をするに過ぎません。以前 お伝えしましたように5) 、細胞は 遺伝子の指令によって死ぬことがあり、「アポトーシス」とよばれます。ギリシャ語で「葉や花が散る」という意味です。例によく挙げられるのが「オタマジャクシの尻尾」や「指の間の組織」です。尻尾は消えてなくなるけれど、それが生命の前進に繋がるのです。もう一つの細胞死は「寿命がつきる」という意味の「アポビオーシス」です 。これは、細胞が ひたすら ちぢんで消え去り、生命の終焉(しゅうえん)につながる、と言うもので、二つの重要臓器(脳細胞と筋肉細胞)の死を説明します。この説明は「死を司る遺伝子を想定」しますが、「まだ そんなものは発見されていない」という報告6) と矛盾し、論争のあるところです。

♣ 人々が求める「不死」のうち、「外因死」は もう防がれていますよね。残る「内因死」に関しても、「アポトーシス」は生命の延長に基づくものだから問題外、「アポビオーシス」だけが問題なのだと分かったのですが、アラ残念 !! 神様は去って行かれました。神様の名代の私の身分では、これ以上の説明ができなくて ごめんなさい。

  参考 : 1) 安全管理 #23 : シャニダールと福祉。2) 安全管理 #99 : 人はナゼ死ぬか? 3) 安全管理 #92 : ヘイフリックの回数券。4) 田沼靖一:「死」と「不死」のサイエンス: Newton 4 : 74~83, 2011。5) 安全管理 #109 : 長寿とアポトーシス。6) 安全管理 #53 : 1000歳時代の安全管理。

職員の声

声1: 部分死 vs 全体死、内因死 vs 全体死、を初めて聞きます;「死」と言えば「死んだ人の“死”」しか思い浮かべませんでしたが、実際には 私たちの生きた体の中に、細胞の部分死や内因死がいっぱいあるんだってことを学びました(係り:小さな部分死や内因死が重なりあって全体死につながります)。

声2: 内因死は、組織が遺伝子の命令によって死ぬことですが、これは人間の不思議、神秘的な部分です;外因死は“事故や怪我など”によるものだから、理解しやすいです。

声3: アポトーシスは遺伝子の命令で消えて行く細胞の死、でもこれは体全体の発展に寄与する死です;アポビオーシスは細胞の寿命が尽きて、小さく縮んで消える死です、これが本当の全体死に流れて行きます。

声4: 寿命が尽きる、つまりアポビオーシスに逆らう必然はないと考えます(係り:もし人々がこれに納得すれば 福祉経費はうんと節約できます が、どうでしょうか?)。

声5: 私が死ぬころ、福祉はどうなっているでしょうか?(係り: 1対4の介護は亡くなっており、ロボットが採用されているでしょう7) )。

声6: 私たちの体は 毎日 少しずつ死んでいる のでね;一枚一枚ページをめくるように生きているのだから、毎日を大切にしないといけない、と思いました。

   参考 :  7) 安全管理 # 119 :お一人を4 人で守る。 
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
安全管理 ふじひろのページ

最新記事
全ての記事一覧
月別アーカイブ
カテゴリ
リンク
QRコード
QR