(123) 一期一会 (いちごいちえ)

  (123) 一期一会(いちごいちえ)
    
   先日、NHKのテレビで「ジェロ」という名前の黒人男性27歳が流暢な日本語で歌謡曲を歌っていました。ふと聞いていると、祖父は黒人のアメリカ人、祖母は日本人女性、5歳の頃から日米を行き来し、日本の歌謡曲が好き。そのうえ「紅白歌合戦」に出場した経験もあると言う(私は知らなかった)。なぜ歌うのか?と尋ねられると「一期一会(いちごいちえ)」、人との出会いを大切にしたいから と、のたまう。私は黒人歌手から「一期一会」を教わるとは思いませんでした。

♣「一期」(いちご)とは、仏教用語で、人が生まれて死ぬまでの間、つまり「一生」を意味します。「一会」(いちえ)も仏教用語で、「一度の出会い」という思いを込めて会うという意味です。四文字合わせた「一期一会」は「一生に一度しかない出会い」 = 「人と人との出会いは一度限りの大切なものである」ことを意味します。元々は「茶の湯」の教えを説いた言葉で、茶会は毎回、人生に一度きりの出会いと心得て、相手に対して精一杯の誠意をつくさなければならない、といった意味で用いられる言葉だそうです。仏教から出てきた言葉にしては、カッコいいですね。

♣ 出会いといえば「ご縁」を思い出します。親子の縁、兄弟姉妹・夫婦の縁、職場の . . . と続き、ご利用者との縁も無縁ではありません。パールの三理念 にまでつながって来ます(文末で再掲)。

♣ ネットで調べると、あらあらビックリ、一期一会という言葉は普遍的な分野で語られています:主なものは、茶会・歌や詩・料理や酒・旅行・絵や写真・音楽、そして極め付きは「認知症一期一会」でした。

♣ 後者の中で印象的だった一つのブロッグを、要訳して紹介しましょう。投稿者は Mikiさん 50歳。認知症の母親に寄り添う介護の生活です。「お母さんは娘(私)がいるからいいのよ、私には子供がいないんだから」→(母)「今から産め!」。/ 父は老健に住み、母はデイ・ショートを利用しながらの在宅介護。この事をいくら説明しても納得してもらえず、(母)「一緒に死のう」とのたまう。/ もし私が認知症を発症したら「後は野となれ山となれ」になるのかなー? ある教授に相談したら「いつ、あなたが痴呆になるかは、神のみぞ知る。誰かが助けてくれるだろう。さあ、痴呆の神よ、いつでも取り付け! 」と笑う。/ そうこうしているうちに「一緒に死のう」と言った母が、気分を変えて「あんたは先に逝くな!」と言い始めた。つまり「私が生き残る」ということが最優先であることが分かった。母の命を支える密度の濃い時間を母と共有できる、このことは私自身の誇りになっている。私がいつ認知症になっても怖くない時代が到来しますように! 

♣ 投稿者の Mikiさんと彼女の母親は一期一会の喜びを感じておられるのですね。

♣ 今年も春になり、新しく着任された職員もおられます。そこでパールの三理念を復習しましょう:① その方の人権を尊重する、② その方の個性を尊重する、③ 相互のぬくもり を大事にする。これを別な見方で言えば「一期一会」、相互の間で精一杯の誠意を尽くすことにつながります。私はジェロという名の黒人からこのことを再学習しました。

♣ 一期一会って、いい言葉ですね。

職員の声

声1: 介護は「ゴールの見えないマラソン」のような気がします;必ず誰かの助けが必要です(係り:Mikiさんの投稿話を聞く限り、認知症のお母様がMikiさんを助けておられるようですね)。

声2: 相互の間で誠意を尽くす こと、これは「パールの三理念」でもあります(係り:血の繋がった母娘の介護には、他人にわからない「ぬくもり」が感じられ、思わず微笑みます)

声3:一期一会 イコール 認知症、一期一会 イコール パールの三理念、人間一人ではいけない、他者と心の共有・配慮が必要です(係り:プロの教育と経験を重ねられたワーカーは、皆、この結論に達しておられます)。

声4: 認知症の方は体験したことを覚えておられないことが多いです;つまり日々フレッシュです;一期一会かも知れません;でも「ぬくもり」だけは伝わると思っています**

声5: 「一期一会」という言葉はよく耳にします;私はその日その時を大切に生きるということをモットーとしています。

 参考: パールの安全管理 # 100: 赤の他人の介護。**パールの安全管理 # 30 : 時・所・人
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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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