(127) 電動車椅子?

  (127) 電動車椅子?   

  皆様方は「電動車椅子」をご覧になったことがあるでしょう。楽チンそうに見えますね。でも最近 事故の報告が少なくありませんので、少し考えてみましょう。

♣ まず紹介された今年の事故のあらまし:① 降りた とたん椅子が動きだし転倒(重傷)。② 橋の上から転落(重傷)。③ 土手の坂道から転落(重傷)。④ 交差点で車と衝突(死亡)。⑤ 踏切で列車にはねられ(死亡)。⑥ 田んぼのあぜ道で転落(死亡)。これらに共通な点は「屋外走行であること」「運転者の判断力に問題があること」でしょう。これらのことの対し、経産省はハンドル型電動車椅子を 消費生活用製品安全法に基づく「特定製品」に指定し、「電動車椅子」の改善を提案しています。たとえば、アクセルは手動レバー、速度スイッチは回転式つまみ構造;速度と安全性の細かい規定を日本工業規格(JIS)に乗せようとしています。

私の個人的利用者の例(A.S氏 74M、10年 まえ脳梗塞 要介護1→現在 要介護3)を説明しましょう。氏はさっそうと電動車椅子を運転しておられました。現在は施設特養に入所され、電動車椅子は利用されていません。

♣ 電動車椅子を「機械」の点で見ると、改良すべき問題点が多いようです。たとえば、転倒しないようにするため、幅を広げる;スリップしないようにタイヤを広くする;スピードは6km / 毎時 以上にならないようにする、などなど。しかし、改善すればするほど、現在の価格約40万円より高くなり、重くなり、事故のとき運転者が押しつぶされる、と想定されます。他方、電動車椅子を危険視すると、老人から生活の足を奪いかねない、という声もあります。別の案として、普通の高齢者が使う「大型」だけを特定製品に指定して制限し、障害者が使う「小型」を指定から外すなど、何らかの解決策が考えられています。

♣ 私が思うに、大型の電動車椅子は、言ってみれば、老人が「歩いて徘徊」する代わりに「機械を使って徘徊」するようなものではないでしょうか? ご自分の足で徘徊するのは禁止・制限することはできませんが、認知症の老人が電動車椅子で戸外を徘徊するなど、自分・他人とも危険この上ないと思います。もし車椅子がスリップしたり、転倒した場合に、事態を理解して助けを求めることができるでしょうか? 皆さん方は、普通の歩道で自転車に乗った人がチンチンとベルを鳴らしながら あなたに突っ込んでくる例を経験しておられるでしょう。危ないですね ! もし、電動車椅子が歩行者や子供に追突したら、それは「動く凶器」にさえなってしまいます。さらに、こういう事情をケアマネがどれくらい認識してケース対応をしているか、心配です。

♣ 昨今は「オール電化時代」、テレビで電動車がさかんに広告されています。私の考えでは、電動車椅子は「健常な体力と正常な視力・認知力を持つ人だけ が使うべき」と思います。そうでない方ならば、その使用場所は、ゴルフ場・野球場・デイズニーランドなどに制限すべきでしょう。公共の広い屋内での使用は遠慮して頂きたいです。残念ながら、自転車より危険な電動車椅子は、福祉用品としての将来性には疑問符がつくのではないでしょうか?

職員の声

声1: 電動であっても なくても、自走車椅子が一般道路を走っては よくないです(係り:その場合、健常な人に押してもらいましょう)。

声2: 細い道、斜めの坂、それを 一人で 車椅子で登るお年寄り;私はいつも不安を抱いています。

声3: 認知力低下のお年寄りには「電池切れ」が理解できない場合もあり、転んだら、当然 押しつぶされます;私は老人には向かないと思っています。

声4: 現実には、電動車椅子をこなせる高齢者は ほとんどいません;たとえこなせるとしても、いつ やめるのかのタイミング が大事となります(係り:車の免許証と類似した問題ですね、屋外に出ない、という条件で使うのも一つの手です)。

声5: 自動車の免許証には「認知症のチェック」が入るよう改正されました;皮肉なことに 電動椅子には認知症のチェックがありません(係り:人の手間がロボット化されるのは歴史の必然ですが、認知症の手にボタンやアクセルをまかせる前に、まず認知症を治す必要があります——ロボット製作会社の設計家に 今の実態を知って欲しいですね)。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
安全管理 ふじひろのページ

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