(11) 入浴時の洗い方

 皆様方は「福祉介護」という専門性を持っておいでです。一般に専門家というものは「井戸」にたとえられます。つまり、「深くて狭い」。隣の井戸については、ほとんど無関心です。近年は、専門性が尊重されるあまりに、一般教養(リベラル・アーツ、Liberal Arts)が不足しています。今日のお話は「専門家の入浴教育」ではなく、リベラル・アーツとしての入浴談義をします。

♣ 入浴で「洗い過ぎ」は危険です。むしろ洗えば「汚くなる」のです

♣ 正常なしっとりした肌は、皮膚の表面に皮膚常在菌というバイ菌がいて、これが皮膚の脂肪酸を餌にして、脂肪酸の酸性膜をつくり、アレルゲンや悪いバイ菌をはねのけています。脂肪酸があると、水分は抜けないので、しっとりした肌です。洗えばきれいになると思うでしょうが、洗うと皮膚常在菌が洗い流されて、角質がバラバラになる。アレルゲンが入って、アトピーになるし、水分が抜けるからドライスキンです。今の日本人でドライスキンが非常に多いのは、洗い過ぎによります。

20代・50代の人で実験:入浴・固形石鹸で一度洗いのあと調べると、皮膚常在菌は90%消失しました。残った10%の菌が元にもどるのに、20代の人では12時間、50代の人では24時間かかりました。この成績なら、毎日入浴もOKですね。ところが、強力なボディーシャンプーのような合成洗剤で洗うと、もうダメです。皮膚常在菌はほとんど抜けてしまいました。年をとってくると、なおさら回復が遅れます。

♣ お風呂に入るのは毎日でもかまいませんが、石鹸で洗うのは二日に一度とか、三日に一度とか、永久に洗わないとか、そっちのほうが、皮膚には優しいのです。砂漠の民は一生入浴せずでも元気ですね。日本でも、私の若い頃は、石鹸ではなく「米ぬか」を使いました。

♣ 高齢者の入浴でも、同じ原理が通用します。化学洗剤で洗うより、お湯で不潔物を優しく取り除く程度が良いのです。正常なしっとりした肌を維持するのには、皮膚常在菌を少し残すくらいの洗い方を勉強しましょう。ただし、石頭のご家族教育も必要となります。(参考:学士会報 #851:94 ‘05 藤田紘一郎)。

職員の声

声1: ゴシゴシこすってもらわないと、洗ってもらった気がしない、とおっしゃるご利用者もあります(答え:軽石や“へちま”でこする 野蛮な習慣もありましたしね)。

声2: 私はボディーシャンプーを石鹸に切り替えたところ、自分の乾燥肌が改善されました。

声3:強く洗うことは、ロウソクの芯を掻き立てるようなもので、限りある皮膚細胞は早く衰えるのですね(答え:無理に細胞をこさぎ取ると、残った細胞は減り、薄くなり、皮膚表面はキラキラ輝きます;私どもの皮膚細胞は無限に再生するのではなく、“ヘイフリックの制限”により、再生回数券は一生で50枚であることを自覚しましょう)。

声4:多少のアカが残るくらいが天然だと知りました—— 化粧品会社の宣伝には もうだまされません。
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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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