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(133) 中福祉 中負担

 (133) 中福祉・中負担   

  政治家の多くは しきりに「中負担だから中福祉で勘弁願いたい」 とおっしゃいます。つまり、今の日本の福祉は「中福祉・中負担」だと認識しましょう。この問題を理解するために、私たちの視野を広げてみます。

♣ まず「高福祉・高負担」。その典型は「北欧4国」(フィンランド・スエーデン・ノールウェイ・デンマーク)です。先日、パールのロビーで放映された「シッコ」(Sicko :マイケル・ムーア監督)では これらの国に加えて、イギリス・フランス・カナダが紹介されており、驚いたことに「高福祉・無負担」のキューバも輝いていました。

♣ これに対して 真反対の「無福祉・無負担」:これは現在の開発途上国の実情であり、「無い袖は振れない」という国々です。歴史的にみれば、日本も 縄文時代の昔から戦前まで、組織的な「福祉」などは存在しませんでした。日本は戦後、「低福祉・低負担」の道を選び、徐々に現在の「中福祉・中負担」にたどりついたのです。どこの国民も「負担」を嫌います。当たり前です。

♣ では「高福祉・無負担」という天国のような国があるでしょうか? さきほど述べた「キューバ」が そうであると、マイケル・ムーアは言います。つまり、フリー・ランチ(無料の食事)ですね。「タダ」については 以前「安全管理」で申し上げました。その時のパールの職員の声がすべてを語ります:「タダはダメです、利用者・家族・職員ともに感謝の心がなくなります;労働・技術・知識に対する支払は必要です」。でも 私は頭をかしげます:タダで福祉をする国があるのなら、それをナゼ日本でできないのか?

♣ 負担金を考えます。日本では40歳以上の人々から「介護保険金」が徴収されます。地域によって金額は異なりますが、渋谷区では収入・家族数などに応じて11段階に分かれ、全国の平均値はおよそ毎月7千円程度。同じ額を国が負担し、「中福祉」を実行します。ところが、今の「中福祉」は評判がイマイチですね。目標とする「福祉」は達成されているとしても、従業職員の給与への配慮が足りません。これを十分にするためには、「介護保険金」を増やすか、国の負担分を増やすか、です。いずれも 国民の大嫌いな「負担増」ですね。あなたがもし総理大臣だったら、どう決断しますか?

♣ 次に、今の福祉は十分でしょうか? 一人の職員が、特養では夜間 一人で20人を看ます。デイでも、目を離したとたん 絨毯に足をからませ、転倒する始末です。「高福祉」の理想はどうでしょうか?仮にご利用者お一人に職員一人を張り付けると仮定します。何人必要かを計算すると、一週は24×7 = 168時間;これを一週40時間の職員労働時間で割ると(168÷40 )= 4.2つまり、ご利用者お一人につき最低4人を付けねばなりません。休日・祭日・有給休暇・深夜代休などの労働条件を考慮にいれれば、お一人に最低5人の職員が必要です。ワーオ !!! パールの特養のご利用者は60人、この計算だと5×60 = 300人の職員が必要となるでしょう(実際は25人)。ことほど左様に、「高福祉」の負担は 日本の現状では非実現的です。でもスエーデンなどは、軍隊の経費負担を含めて、それに近い職員数でやっています。日本もがんばれないハズはないでしょう。

♣ ただし、人間には「利己的な生存欲の塊」という部分があり、「コスト意識欠如の問題」があります。「高福祉」と言って、なんでもしてあげれば、「あの夜空の星を取ってきて下さい」と頼まれるかも知れません。中庸が大事ですね。

   参考: パールの安全管理 # 21 : タダの混乱、# 87 : タダのひみつ。

職員の声

声1: 福祉職員の待遇はかなり悪いです、経営困難 → サービス不全の悪循環となり、厚労省の机上プランだけでは うまく行かない;理事長がおっしゃるように「利用者も従業者もみんなが幸せ」となるようなプランが必要です(係り:納税者も幸せ”を付け足しましょう)。

声2:
現代は感謝する心の少ないモンスターだらけ、高福祉・無負担はとんでもありません。

声3: 今の政府のように、効果の知れないバラマキ予算・若い世代への高負担はイヤです;私は、感謝の気持ちが根付き、「ほどほど」の温かさのある社会を望みます。

声4: ものごとをタダにすると、人々は感謝する心を失います;“向上する”という気持ちさえなくなるでしょう。

声5:行き届いたサービス”というのは、一時的なものなら“有難い”、しかし 人間はすぐ“横着”になります;心の我がまま が出る寸前に、うまく手綱をさばくコツが大事です。

声6: 高齢者福祉の行きつくところは 高齢者の「苦しまなくさせて下さい」の一言で決まるでしょう;その満足と、用意された予算の折り合いは、結局“中福祉・中負担”ではないでしょうか?
 
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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