FC2ブログ

(135) 生きざま二態

  (135) 生きざま二態      

  パールで亡くなられた大川百代様 82歳(仮称)のお通夜が 今月2日、パール・ロビーで行われました。おいで下さった お坊様は浄土真宗、お話の始まりは お釈迦様がおっしゃった「生老病死」(しょうろう びょうし)についてでした。人は生まれ、歳を重ね、病気にかかり、やがて死んで行く;この理(ことわり)の中で人は生の営みを行う、という趣旨でした。そこで私は今日、思いつくまま 二つの「生きざま」について考えを巡らします。最初は ① 上生活者の調査、次は ② 癌と認知症です。

♣ まず ①: 路上生活者の6割以上が精神疾患と言われていました。毎日新聞によると、国立 久里浜アルコール症センターの森川 医師らが 池袋駅周辺1キロ圏内に寝泊まりする路上生活者100人に協力を求め、応じた80人を診察しました。それによると、うつ病が40%、アルコール依存症が15%、統合失調症など幻覚や妄想のあるケースが15%、その他 不安障害、PTSDなどを合わせると 63%が何らかの精神疾患を抱えていました。失業してうつ病になったり、疾患が原因で職に就けないなどの理由が考えられています。実際の疾患頻度は これより多いと推定されます。いったん精神疾患を抱えると、悪循環が重なり、なかなか路上生活から抜け出すのが困難になります。現在 日本の失業率は6%に迫る勢いであり、これから路上生活者は増えるかもしれず、国の支援対策の見直しが必要だ、と言います。また、路上生活者を減らすためには、ケースワーカーが繰り返し当事者に接触し、必要に応じて医療につなげるシステムづくりが不可欠だと新聞は言っています。

♣ 私は 新宿福祉事務所に勤務していた頃の記憶がありますが、この問題について自分なりの見解を持っていますのでご披露しましょう。まあ結果論ですが、彼らを補導・援助しても なかなか一筋縄には行かず、また、もとの路上に戻ってしまう例が少なくありませんでした。 「医療につなげても」 解決するとは限りません。近年の酒井法子の麻薬事件でもご存知のように、事はとても複雑です。医療費の問題もあり、自治体は倒れてしまうでしょう。

♣ ② の話題に行きます。これは「福岡県医報 No1393」 1) に乗っていたお話で、短い全文を綴ります:私(投稿者医師)は認知症の早期診断を主目的に「物忘れ外来の枠」を設けている。受診者は60代から80代がほとんどである。過日、80歳の女性が受診された。1年前から物忘れ が出現し だんだんひどくなってきた、という病歴であった。既往歴を聞いて唖然(あぜん)とした。49歳で乳癌、65歳時 胃癌、72歳時 甲状腺癌、79歳時 肝癌に罹患、いずれも手術を受け、その後問題なく経過しているとのこと。「物忘れ外来」の受診者は高齢者が多いので、1つや2つの癌を既往歴として持つ方はあるが、この受診者のように4つという方は初めてであった1)。「神様は癌くらいでは死なない人に、最後には認知症を下さるのか . . . 」と考えさせられた。

♣ パールの特養でも偶然癌の方は2年に1例 程度 ありますが、それでも圧倒的多数の経過は 認知症 → 誤嚥性肺炎 → B.M.I. 低下 → 死亡 の流れです。なお、誤嚥性肺炎は「胃瘻」であっても、純粋の「I.V.H.点滴」であっても発生します2)

人の死亡率は100%です;つまり、人は 必ず なにかの理由で死にますが、たぶん、認知症 → 誤嚥性肺炎 → 死亡 の流れが「一番 穏やかで 幸せな 生きざま」と言えるのでしょうか。これを昔の言葉で言えば「老衰」です。昔の老衰は60歳、今の老衰は100歳です。100歳以上の人生は「望まない !」と述べる方は少なくありません3)

  参考: 1) 六つの独立癌を発見、という事例も報告されています。2)パールの安全管理:# 76:胃瘻のメリット・デメリット。3)パールの安全管理 # 113 : 他人の二倍生きたい。

職員の声

声1: 私は 子供の頃 裏庭でセミの抜け殻を よく集めました;また、秋には死んだセミが畑に転がっていたのを覚えています;あっけなく、しかし一生懸命生きた証なんだな、と思いました。

声2: 私は 葬儀でお坊様のおっしゃる「生病老死」という言葉を初めて聞きました;パールで亡くなった大川百代様は 前日まで前向きで苦しみを克服されていました;その姿から「本当の強さ」を感じました。

声3: 路上生活者の6割以上が精神疾患者であるとはビックリです;単なる落ちこぼれではないのですね。

声4: 精神疾患の方は自立が難しく、どのような援助が良いのか、悩みます(係り:古今東西、精神疾患は人口ごとに ある比率で存在し、無くなることはありません;昔からの統合失調症の寿命は50歳から90歳へと高齢化し、認知症が新たに社会へ加わったうえ高齢化し、福祉を求める社会人構成が変わりつつあります)。

声5: 老齢または病で倒れる方々を温かく見守るのは私たちの仕事;しかし人手や経費のことを思うと おのずと限度もあるような気がします(係り:弾の降り注ぐ戦場で人が一人倒れたら、傍の二人が倒れた人を抱え護送します;つまり一人倒れたら三人のマンパワーが失われます;100人が100人の前進をするわけではありません;人の生きざまって 昔から そんなもの なのですよね:社会人の 1/4 は子供・病人・老人、という比率は 今後も不変と見ておきましょう)。

プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
安全管理 ふじひろのページ

最新記事
全ての記事一覧
月別アーカイブ
カテゴリ
リンク
QRコード
QR