(139) 一億総中流と今

(139) 一億総中流と今  

  昔の話をします。第二次世界大戦が終わったのは1945年、私は中学校1年生でした。その頃の日本の人口は約1億人 でした。しかし、英米を相手に戦うのは質量とも苦しく、その頃の標語として「欲しがりません、勝つまでは」とか「一億一心」が流行しました。「欲しがりません . . . 」は“贅沢(ぜいたく)なものを欲しがりません”という意味で、衣食住ともに極端に質素を重んじ、戦費を賄うために、あたかも縄文時代の生活をするかの如く でした。「一億一心」は“戦う心と体の訓練を、国民一億が あたかも一人の人間の心のように ぶれず たゆまず 努力する、というもので、体制の批判や非協力は厳重に罰 せられました。私どもは、何の不思議さも感じず、その環境に適応してきました。

真珠湾しんじゅわん)で始まり原爆で終わった戦争のあとも、苦難の日々が続きましたが、「空から爆弾が落ちてくることは決してない」ということは何と安心だったことでしょう!! 日本人は一生懸命働き、運命にも恵まれ、著しい経済成長を迎えました。その鼻息は荒く、東京の土地を時価で売れば アメリカ全部を買うことができる、というほどでした。戦後 日本の人口は6,000万人から再出発し、「団塊の世代」という人口爆発があり、景気の向上とともに「一億総中流という標語」が流行しました。自分の社会的位置がどのくらいですか?という問いに対して、答えは、ふつう「上・中・下」と返されるものですが、30年まえ、日本人の77パーセントが「中の上~中の中」と答えた のです。国民の大半が中流意識を持ち、いま振り返ってみれば、日本は均質感と幸せの絶頂にあったのでしょう。なにしろ高度成長のすばらしさは、「他の国と違って、社会格差を広げずに成長をなしとげた」ところにあります。ところが、1989年、ベルリンの壁が崩され、米ロの緊張緩和とともに、日本のバブルがはじけ、それ以後の物語については、皆さま方がご承知のとおりです。

♣ 日本には、「大事なもの三つ」を表す言葉として「三種の神器」が使われます。本物の神器は「剣・鏡・玉」ですが、戦後の「欲しがりません 勝つまでは」だった庶民の神器は、まず「トースター、アイロン、ミシン」でスタートしました。時代の推移とともに、最終的には「土地、持ち家、車」となったのですが、不思議なことに、この20年、日本の若者たちは「モノ」を欲しがらなくなりました。「モノ」が売れなくなると、税金は減り、国家予算はきつくなり、いまや日本は、不景気の真っただ中です。貧困層は15%前後、非雇用率は5.7%の記録を示し、正規雇用と非正規雇用の問題で社会は揺れ動いています。しかし そんな中でも「一億総中流」の意識は 2008年のリーマンショックまで続いていた、と言われます。

♣ そして なんと 驚くべきことに、こんな不景気の構造の中、2000年には「介護保険がスタート」したのです。介護保険は若者が欲しがったシロモノでしょうか? そうではありませんね。健康保険・介護保険の始まりは昭和17年(1942年)、厚生省の発案だそうです。その頃の政治家と官僚は偉いではないでしょうか !!! それから69年、いま、私たちは経済的に大変な時期を生きていますが、「一億総中流感」を失った代わりに「介護保険」を得ています。ちなみに、あの大国アメリカは、喉から手が出るほど欲しい健康保険も介護保険も持っていません。戦勝国のアメリカ、戦敗国の日本、象徴的に違いますね。

♣ 私が思うに、「世界はどの国も苦しい」のでしょう。大事なことは、いままでに得た 貴重な社会体験、とくに一億総中流の意識を介護保険に反映して、それを立派に育て続けることではないでしょうか?

職員の声

声1:
 もし一億の民が総中流で均等であるなら、それはロボットの集団のようで、薄気味悪いです;共産主義のようではありませんか?(係り:共産主義の原本は均等・平等を念じたものだったでしょうが、現実のソ連は少数支配者が反対者を総括し、民を支配した制度で、70年の経過で終わりました;日本は近所・隣組(となりぐみ)の和を求め、差別を排する平和な社会です)。

声2: 「隣の庭の芝は青い」というように、他国のことは良くみえますが、実際にはどの国も「苦しい」と思います;今ある日本をより良いものに育てたいです。

声3: バブルのむなしさを知った人々は今、原点に戻り、「モノ信仰が全てではなかった」ことを感じるでしょう。

声4: 今の日本では“ここがダメ”などと欠点ばかりが報道されます;健康保険・介護保険を持つ日本は 世界の中で もっと自信を持って社会を発展させたいです(係り: マスコミは社会を 明るくも暗くもします

声5: 66年続いた戦後の日本の心も、今回の3.11事件で腰が折れたように感じます;今こそ一億一心が必要でしょうに(係り:日本は大変な事態に陥り、スリーマイル事故の“レベル4”以下の評価を チェルノブイリ事故と同等の“ レベル7 ”に格上げしました!!ミッドウェイ海戦の日本大敗を 嘘で固めた「大本営発表」を思い出します が、当局の発表は、現在の時代においてさえ、透明性に欠け、対応も戦時中の「B29爆撃機に竹槍」という感じ です;でも 日本はきっと全体の方向性を見通す 立派な指導者が出て 解決なさることでしょう)。
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Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

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