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(155) 想定内 と 想定外

 (155) 想定内 と 想定外   

  ひところ お金儲けの達人である ホリエモンという方があり、大人気でした。時の寵児(ちょうじ)と言うべきだったのでしょうか、総理大臣と肩を組み、飛ぶ鳥を落とさんばかりの勢いでした。メディアの記者たちに質問攻めです:石油価格の高騰がありましたが? ——株式価格の変動の想定内です:新卒就職戦線に異変があります?——職員配置に織り込み済み です:今期利益は2割落ちるとの噂ですが?——それ 想定内です . . .

♣ それをテレビでみる日本の多くの人々は「さすがに偉いなー、30歳代半ばで 社長になって、何百億円の利益をあげ、堂々とした株式界の若きプリンスだ !!」と ほめそやしました。同時に彼の口から出て来る「想定内」という言葉は流行語にさえなりました。「偉いもんだ、先行きの苦境を“想定”して、あらかじめ“対処済み”なのだ !!」、頭が良く、成功している人は“さすがに違う ! ”と感心したものです。

でも上手の手から水が漏れました。彼は今年の4月、最高裁によって 証券取引法違反により懲役2年6ヵ月の判決を受けました。でも、本人は極めて明るく、「その期間、本を読んで しっかり勉強をしておくよ」との報道。私は悪いことをした故の懲役だから、「本など読む暇のない“労働罰だ”」と思っていたので、拍子抜けでした。彼は懲役さえも「想定内」だったのですね、さすがに スゴイ !!

♣ これとは まったく逆の「想定外」という言葉も、この3ヵ月間、世間を騒がせました。ご存知 福島原発事故です。25年前のチェルノブイリ事故と同じ「レベル7」の大事故ですが、当事者の「東電・保安院・政府」は「地震・津波という“想定外”の原因による事故」である、と開き直り、シレッとしています。あきれ返った国民は「政治家や原発担当者が“想定外”と言って 責任回避をするのは卑怯だ !」と反発し、いまや 5月末、「世界原子力委員会」の介入によって 黒白(こくびゃく)が判定されようとしています。政府は安全の基準をゆるめ、放射線の強さ上限を(世界= 1ミリシーベルトを日本=20ミリに)、一秒の核分裂回数の上限を(世界= 1ベクレルを300ベクレルへ)変更;この変更なら政治はしやすくなるでしょうが、世界の識者は目を三角にして驚いています

♣ がんらい 大人は子供を守るために命をかけて行動するのが生命本来の姿です;ところが 日本では 楽な政治をするために 大人が子供たちの将来の健康を犠牲にするようです。これは とんでもない「想定外」だと思いませんか?

♣ 考えてみれば、日本の借金の総額は毎年増え、いま900兆円を越えます。そのすべては将来の子供が支払う借金です。今の大人が将来の子供たちにそんな借金を負わせて良いのでしょうか?まったく大人の行動は「想定外」です。

♣ 医療も同じような矛盾に満ちています。50年まえから 病気の治療がうまく行くようになり、寿命がうんと延びました。その結果、みんなが高齢になり、年金・医療・介護の費用は莫大な負担を次の世代に負わせています。医療がうまく行けば こうなることは 分かり切っていたはず。これも「想定外」と言うのでしょうか?なんだか、私たちは 善意であるけれど「場当たり的な生活」をしているみたいですね。

♣ でも、ユーモラスな「想定外」もあります。それは「マーフィーの法則」です 1) 2) 。これを 正確に言えば、「失敗する余地があるなら、人は失敗する」という「マサカ?の法則」です。起こる可能性のあるものは、いつか起こる;うまく行かなくなる幾つかの方法があるとき、そのうちで最悪のものが起こる;まさか 誰もしない、と思うことを、誰かがしてしまう . . . などです。そう言えば、髪をセットした日に限って 強い風が吹きますよね。

♣ 結局 私たちが学ぶことは、何事によらず、「想定内」の網を張り巡らせて不時に備え、「想定外」のことだって起こり得るのだから、「将来をしっかり見据えた目標設定」をすることだ、と思いました。

    参考: 1) パールの安全管理 # 86 : 想定外 ! 2) パールの安全管理 # 78 : 人類愛。 

職員の声

声1: ホリエモン氏の場合、ご自分の「儲け」を妨害する あらゆるものを「想定内」として、対処していました;最高裁の2年半懲役の有罪判決さえも「本を読んで勉強するチャンス」として「想定内」の対処をするようです——ある意味ではリッパです:これに比べて、東京電力の「津波は想定外」発言は あまりにもオソマツです(係り:ホリエモンは“頼れるものは自分だけ”の姿勢、 東電は “ 国へオンブにダッコ”の甘え があるのでしょう)。

声2: 大きな権力を持つ組織には 大きな責任があると思う;どんなことも「想定内」に置かねばなりません。

声3: ある事件を「想定内」とするか「想定外」とするかは、その組織内だけに通用する約束であって、外部の人たちに対する責任は そんな事情で薄まるものではありません。

声4: まあ、加害者組織は あの手この手で すべてを「手抜き・ルーズ・無策」つまり「見なかった、聞かなかった、知らなかった」として、誠意を見せないのでしょう。

声5: マーフィーの法則で言うと、“うまく行かなくなる幾つかの方法があるとき、そのうち最悪のものが起こる”、に該当するのではないか?(係り:60年も以前に世界中に知れ渡ったマーフィーの法則を あの大組織の物理学者たちは無視していたのでしょうか?)。

声6: 私は やはり会社にとって「想定外」だったと思います;だって もし「想定内」として発表したならば、高さ6メートルの堤防を 実際の津波の高さの16メートル以上にしておかねばならず、その工事により 電気料金を上げざるを得なかった、などなど、大問題が発生しただろうからです。

声7: 人と自然の関係で観ると、「想定内」は ほんの少々、大部分は「想定外」とみなして 将来予測をする姿勢が大切ではないでしょうか——ヒトは 威張れるほどに有能ではありません;想定内であろうと、想定外であろうと、 「責任」に関しては「誠実」であるべき です。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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