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(156) 福祉を考える

  (156) 福祉を考える

  今日は「福祉」という、聞きなれた言葉の意味を考えましょう。

福祉という言葉は、江戸時代や明治時代にはありませんでした。その後、英語の welfare の翻訳語として「福祉」が生まれたのです。私が中学時代、pension (ペンジョン)という英語を辞書で調べてみたら「年金」と出ていたのを覚えていますが、60年まえには「年金」という実態が日本になかったので、文字はあっても意味不明でした。福祉も同じく、でした。

♣ ついでに言うと、「介護」という言葉は、昭和50年前後に、「介助」と「看護」から一文字ずつ取って、日本でこしらえられた造語です。昭和48年の辞書には記載がなく、昭和53年には出ていました。元の言葉は 英語の Care(ケア)。Care を辞書でひくと「注意・配慮・保護・管理 . . . 」と無限に翻訳文字が並びます。「ケア」は簡単な文字ですから、「ケア」ですませば良いのでしょうが、日本人は明治以後 翻訳の名手ですから「介護」としました。

♣ (これは私の「つぶやき」ですが、戦後、学校は「學校」と書きました。医師は「醫師」と書きました。書くたびに「めんどう」でしたが、その後、略字の普及のおかげで 楽になりました。ところが、看護の「護」には泣きます;何度も書くから 今でも介護の「護」には泣きます。影響の「響」には いらだちます。いい略字が世に出回らないものでしょうか?)

♣ この流れで「福祉」(Welfare)をみると、well(うまく行っている)、fare(旅路、暮らし)となります。「良い暮らし向き」ということでしょう。ところが、今の英語で welfare というと social security(社会保障)を意味し、これは政府のお役目ですね。米語では「生活保護」という意味だそうで、本来の福祉とは 少々離れ、かなり法律的な匂いです。また welfareは「依存福祉」、workfareは「労働福祉」など、意味合いが少々違う使い方もあります。

♣ このところ、軽い介護度の「要支援 2 と 要介護 1」が介護度認定で問題として取り上げられています。「右のものを左に移すことさえしない 大旦那さま、大奥さま」のケアをすることは、かえって残存機能を衰えさせる、とも言われています 1) 。介護保険料は40歳以上の人々から等しく徴収するのだから、手間を取らせない元気な老人から不服の申し立て がないようにと、なにがしかの手当てをしてあげなければ、という「親切心」は分かりますが、ここは「福祉」の意味の解釈に意見が分かれるところ ですね。健康保険の過去も そうでしたが、病気でない中年の人々に「ビタミン剤や家庭救急箱」などを配給して ご機嫌を取った事情などを思い出します。「福祉の意味」に戸惑いがあったから なのでしょうか。ドイツでは、要介護 3, 4, 5 しか ありません。

♣ 昨今の国情を伺いますと、厚労省の財政は特に逼迫(ひっぱく)しているようで、「ない袖は振れない」と申します。医療費の抑制は もう 30年このかた語り継がれて来ましたが、福祉介護費についても 厳しいようです。現状から推計すると 2) 、今世紀末の日本人の平均寿命は、今よりも およそ10歳増えて96歳に達するとのこと 3) 、それ自身は大変 おめでたいことですが、 「振れる袖」も準備 せねばなりません。お年寄りだけでなく、私たちケア・ワーカーも末永く健康で元気に働き、しっかり税金を納めねばなりませんね

  参考: 1) パールの安全管理 # 151 : 残存機能の保持。 2) # 152 : 親知らず と 親孝行。 3) # 155 : 想定内 と 想定外。

職員の声

声1:確かに「介護」という言葉は昔にはなかったです;福祉を英語で読み替えると、色々な意味が含まれていることが分かります(係り:語源を知ると、時代背景が感じられますね)。

声2:介護の名称が30年ほどの歴史であると聞き、社会と福祉の流れを理解できました(係り:戦後20年間は、福祉 = 救貧 の時代でした;だって平均寿命が50歳そこそこでしたものね)。

声3:福祉も介護も歴史の浅い言葉 だと知り驚きましたが、それだけに今後の発展が期待されます。

声4:昔は「福祉とは 嫁がやるもの」だったようです(係り:昔はみんな貧乏で、三世代が同居;今とは格段と社会構造が違いました)。

声5:今でも、私たちは家政婦ではないのに、ご家族によっては、自分でできることを私に指示されます(係り:今のお年寄りは明治の末~大正の初め生まれ です;意識改革には 今少し時間がかかるでしょう)。

声6:私は 自分が生まれたころから日本経済成長が停滞し、過去のバブルの話を聞いても実感がありません;少子高齢化の波が押し寄せていますが、現在の幸せな介護保険が続くことを期待しています(係り:アジアの中で、日本はずば抜けて優良ですよね、その点では国民も政府も立派な資質を持っていると思います)。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
安全管理 ふじひろのページ

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