(158) 本音(ほんね) と 建前(たてまえ)

 (158) 本音(ほんね) と 建前(たてまえ 

  今回の「民主党 総理大臣殿」の交代劇?は 当事者たちにとってさえ 口から泡が吹き出るほどの「茶番劇」、国民一般は「アレヨ ! アレヨ !」と 声も出ません。「負け犬」だった人が、あっという間に「勝ち犬」に変わって、笑顔いっぱいになりました。これは「話し合い」だったのか、「だまし討ち」だったのか、皆様方は どう お感じでしたか? 今日は あれから五日目、様子が また 変わっているかもしれませんが、事の本質に横たわるものは「本音と建前」の問題ではないでしょうか?

♣ お茶漬けのことを 京都弁では「ぶぶ漬け」とも言うそうです。京都で他人の家を訪問したときに「ぶぶ漬けでもいかがどすか?」と勧められたり 出されたりした場合、それは たいていの場合、 「暗に帰宅を催促するしるし」です。勧められた場合は 丁重に断って帰宅するか、実際に出された場合には 食べ終わったら すぐ退散することが望ましいとされます。後者の場合は お変わりを要求したりはしないのが無難であり、また常識とされます。「ぶぶ漬け」は、食事の〆(しめ)のひとつである茶漬け を出すことで、「終わり」(長居の終わりや会話の終わり)を暗示するものです。

♣ でも、この京都の「しきたり」を無視して、長居を続ける人があっても、家のご主人は怒ることもできますまい。だって、これは「本音と建前」を、わざと取り違えるテクニックでしょうから。

♣「本音と建前」は 皆さん方、みな知っているでしょう? 「建前」については、日本では「忠・孝・仁・義・礼」などがそうです;200年前には フランス革命で「自由・平等・友愛」がそうでした。2000年前には「右の頬を打たれたら、左の頬も出しなさい」という教えがありました。建前は美しいけれど、実行は しばしば困難です。日本の建前は窮屈ですよね。フランスの建前は「フランス国民の間にだけ通用する」と理解されます。宗教の教えは 信心深い信徒でも守りきれません——ふつうは「歯には歯を ! 」です。それゆえ、建前は 表向きの外交・商売上の言葉となりやすい。これに反して、「本音」は「本心」と言い換えても良く、自分に対する「ウソ」がありません。したがって、私たちは「内づら」と「外づら」(本音と建前)をうまく使い分けています。しかし、この「使い分け」は、文化が同類であると認識され、礼儀ある社会内だけで通用するものであり、たとえば、外国人や利害の対立のある人たちの間では通用が困難で、しばしば相互不信の源になります。今回の総理大臣交代劇は その典型でしたね。

♣ さて、私は 「総理」や「ぶぶ漬け」 の話をしながら、同時に「医療・福祉」の事を考えています。「元気で長生き」という、まっとうな標語をイメージしています。つまり、私にとっての「テーマ」は「元気であれば、長生きしても良いのか ? 」というテーマです。でも、これは福祉の建前にそむく 重大な疑問です。しかし、日本の厚労省は あえてこのところ 本音を漏らす始末なのです。「え? 元気であっても、長生きは ほどほど ですって? 」、私は反芻(はんすう)します。でも、その理由は? 「もう 振る袖が底を尽いた ! 」が答えです。

♣ 3000年前の話ですが、ユダヤの大王「ソロモン」は 寿命が尽きても長生きを望みました。しかし だんだん下がってくる自分の体温ばかりは どうしようもありません。そこで彼は、二人の若い女性をヌードにして自分の両脇にはべらせ、体温を移してもらいました。女性を入れ替えることで、いつまでも体温を保つことができました。でも、やはり彼は死にました

♣本音って、聞いてみるものですね。建前があれば 本音もあるはず。そして その本音への心からの回答が求められる。私は 現実を踏まえて、こんな答えを振り絞り出しました:「元気で 質素に 長生きしたい ! 」。私は これが私の「本音であり 建前でもある」と感じました。これならば、日本中、いや 世界中のどの時代でも通用する標語ではないかと思うのです。皆様方は どうお考えでしょうか?

参考 : パールの安全管理 # 3 : ソロモン大王の介護。

職員の声

係り:夏目漱石の「草枕」の出だしの一節が有名です:「智にたてば角が立ち、情に棹(さお)させば流される、意地を通せば窮屈だ、とかく この世は住みにくい」——これは、本音と建前の古典ですね。

声1: 「本音と建前」は日本人の民族性ではないでしょうか?立派な贈答品でも“これはつまらない物ですが”と前置きします。

声2:長居するお客を断るための 「京都のぶぶ漬け」、今時の若者が「本音と建前」の原理をどれだけ理解できるだろうか?(係り:私なら「お茶づけ?ヤッター ! 」と喜んで食べますが)。

声3:私は「本音だ」と思って昨今の福島原発のニュースを聞きますが、翌日の新聞などでは「嘘つき ! 」とやられています。

声4:今時、「元気で長生き」は案外にお金がかかります、「元気で 質素に長生き」であって欲しい;そして理想は“ピンピンコロリ”です1) 係り:寝たきり20年なら お一人1億円の税金を消費します、しかし、ピンコロは夢のまた夢—— だってパールで10年間に135人が亡くなりましたが、ピンコロは お一人、大動脈破裂という稀な病気でした、あとは 相も変わらず、資源多消費型の「ダラダラ誤嚥性肺炎」が主です)。

声5: 「本音」を相手に伝える手段としてオブラートに包んだり、ニュアンスを変えたりするでしょう?つまり人間関係をスムースにするための「建前」だって必要です。

声6 : よくある病院の待合室風景——早くお迎えが来るとよいのにねー! ——だったら、病院を受診しなければよいのに! 生きるって素晴らしいことです、建前はいらない、うんと欲張って生きて欲しい

声7: 「質素」という言葉を鍵にした「本音と建前の一致」は良い標語ですね(係り:欧米では“枕元にパンとスープを運びます;それを自分で食べない人は人生の終わりです”と割り切っている 2)。 つまり本音と建前は一致です;日本では ここからが大変;IVHだ、点滴だ、酸素だ、胃瘻だ、透析だ . . . その上、意思の疎通のないままの寝たきりは お一人一億円の経費を若者から税で補給します;日本は昔と違って、もうお金持ちではなくなっちゃいました !)。

   参考: 1) パールの安全管理 # 72 : PPK (ピンピンコロリ) は望ましいか?" 2) パールの安全管理 # 17 : 胃瘻と尊厳生。
 
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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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