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(162) 胃瘻があっても口から食べたい

(162) 胃瘻があっても、口から食べたい

  私たちの所へ 送付されてきた福祉同人誌「ダベダス」の第3号は、上記のような特集がありました。私には想像もつかない世界であったので、ここに紹介します。

♣ このセミナーは4月11日に、神奈川県藤沢市で行われ、写真で見ると 数百人の参加者がありました。つまり、セミナーの趣旨に関心があった参加者が、それほど多くあったということです。

♣ 内容を見ると、たとえ胃瘻をつけていても、ご本人が、いかに口から食べたいと思っているか が 読み取れます。口のきけない人であっても、口から食べると、それまで動かなかった手で ピース・サインをしたり、ジェスチャーで満足を表現する患者さんもあるとのこと。

♣ このことは、単に特殊な患者さんで見られるのかも知れませんが、世の中には、こんな活動もあると知り、私は医療や福祉の深さ に驚きを感じています。

♣ お年寄りがお茶や食事にムセて 誤嚥性肺炎を起こす時期(ステージ)に入ると、病院や施設で「胃瘻」の適応について説明があるでしょう。ご家族にとっては“イローってなぁに?”ですね。でも、説明を聞くと、ご家族は深刻に悩みます。胃瘻をつけて、病気が治るのなら別ですが、高齢者の胃瘻は「延命胃瘻」です。この延命法にはメリットもデメリットもあります1~4)

♣ 日本は仏教の国ですから、基本的には「親の命は1分でも1秒でも長く生かして下さい」という判断が多い。しかし胃瘻をつければ どういう現象が起こるのか?を ご家族はご存知ない。実際には、意思の疎通がないほど衰えた高齢者の場合、「植物状態が延長される」のです。平均値でみると、1.2年の延長で 経費は約900万円 5) 、最期の死因は多くの場合、誤嚥性肺炎の憎悪(ぞうお)、体はやせ細り、体格指数(B.M.I.)は致死域の「12」に近づきます 6)

♣ もちろん、上記の「タベダス」誌に記載あるように、要介護度の低い事例で胃瘻をつければ、回復の徴候が見られる場合もあります。しかし、人間すべてそうですが、「使わなくなった筋肉は 基本的には 衰えます」。喉や食道の筋肉は 胃瘻設置とともに廃用萎縮を起こします。「食べられなくて可哀想そう!」と思うご家族が 何かを食べさせますと、ひどいムセと肺炎が起こるでしょう。

先進国では延命胃瘻を致しませんその他の国は 経費をまかなえません。日本も昨今は、倫理・効果と経費の点で「国が傾きそう」になっています7)

♣ あなたは「経口摂取と誤嚥」の関係について、どう思いますか?議論してみましょう。

 参考: パールの安全管理  1) #17:胃瘻と尊厳生。2) # 40 : 食べられないならムリせず。 3) # 42 : エホバとペグとあなた。 4) # 76 : 胃瘻のメリット・デメリット。5) 佐々木英忠:高齢者肺炎における誤嚥性肺炎の重要性、日内会誌 138:1777~1780, 2009。 6) # 33 : 天寿の終点はB.M.I. ≒ 12。 7) 胃瘻の現状と課題:老人の専門医療を考える会 第35回全国シンポジウム H23.5.14 於 東京研修センター。

職員の声

声1:どんな困難があっても、口から食べさせるのが基本です。口から食べさせれば、発語・顔色・脳の活動が好転します(係り:治療の胃瘻または“意識のある方への胃瘻”なら あなたは正しい;でも食事に必要な時間は60分以内にとどめましょう)。

声2:私は胃瘻の方に食べさせたことがあります;「ああ おいしい !」と言われた後のムセが倍増、肺炎の高熱、どちらの方が幸せなのでしょうか?(係り:ご家族に参加して頂き、意見を求めましょう)。

声3:誤嚥の危険をかえりみず経口摂取を試みるのは、意思の疎通があってこそ、ではありませんか?(係り:ふつう、延命胃瘻の方には 意思の疎通がありません)。

声4:私は普段 考えもしない胃瘻のことを知りました;食べれば誤嚥するし、誤嚥すれば吸引せねばならないし、どちらも辛いことです(係り:ご家族によく観察してもらいましょう)。

声5:病院で老人が食べられなくなると、医師は簡単に胃瘻を付けて施設に卸してしまう;胃瘻を付けたら自分でフォローする気概を持って欲しい(係り:問題が逆のようですよ;食べられないお年寄りを病院に送り付ければ、「病院は治療の場」ですから、処置、つまり胃瘻を付けるかも知れません;胃瘻を希望しないのなら、そもそも病院に送るべきではないのでは?)。

声6:皆さん方、「胃瘻」と一口におっしゃいますが、「胃瘻」には、“治療効果のある胃瘻”と“延命(拷問)胃瘻”の二種類があるのです;もし あなたに愛があるのなら、私は後者を何としても避けたいと思います(係り:後者は「息をする屍(しかばね)」と呼ばれます;唾液または逆流性の誤嚥性肺炎も相変わらずあります)。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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