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(167) 福祉のショートショート

 (167) 福祉のショートショート  
 
  植物や動物一般は「福祉」をしません よね。むしろ「捕食・寄生活動」なら するでしょう。ところが 「ヒト」は どういうことか、不思議なことを 始めました。

♣ その第一は 6万年前、死者に花を捧げた ネアンデルタール人でした1) 。人類に農耕文明が起こったのは 約1万年前とされるので、このことは 人類以前の「福祉」の曙あけぼの)と考えられなくもありません。

♣ 二番目に 私が取り上げたいのは 3000年前のソロモン大王の介護です2) 。死期を迎えて、なおかつ生に執着した大王は 低下する自分の体温を補うために 若い女性を両脇にはべらせ、体温を移してもらいました。が、やはり死に行きました。「体温を移す」という着想は 猿にはないでしょう? 古代では “おまじない”や薬草 なども用いられたでしょうが、まだ 「医療や福祉」と呼べるレベルには達していませんでした。

♣ 次は ずっと時代を飛ばし、900年前の 平清盛たいらの きよもり)です。彼は「武士の時代」の確立者であり、「平家(へいけ)にあらずんば 人に非ず」という猛き盛者(たけき せいじゃ)の時代をもたらしました。しかし やんぬるかな ! 私が小学生の頃に聞いた話はこうです:――長寿64歳 に達した清盛は(当時の平均寿命は約30歳)、戦いに敗れた人々の恨みを買い、熱病に取り付かれた;その熱の高さは 掛けた水が 直ちに蒸発して空に舞い上がったという。治療は「薬草いぶし」 。宮廷の占い師によると、清盛に取り付いた「狐」は根性が悪く 特別に仕立てた薬草で燻りだす以外の方法がないとし、結局 清盛は 煙の中で 狐とともに いぶされ 苦しんで死んだ。―― 900年まえの王者でさえも、最善の処置 といえば、これしかなかったことが分かります。

♣ さらに時代は飛んで、100年前の明治天皇です。天皇は糖尿病を患っておられたとのこと。お亡くなりになったのは59歳;その週の頭には、東京大学の卒業式に出席され、ご無事な様子が知られています。でも3~4日後には お隠れです 。「尿毒症」との記載がありますが、もしそうなら、東大の卒業式にはご出席にはなれないはず。近代の天皇とはいえ、インスリンはないし、もちろん透析もない時代でした。その意味では ネアンデルタール時代の「おまじない」と さして違いありませんね。

♣ 次の大正天皇は虚弱な体質のお方とされていますが、それでも47歳までご生存でした。ご逝去の10年前には「食事もままならず、勅語の読み上げも困難だった」といいます。びっくりするのは、ご崩御の時、日本で初めてとなる リンゲル液の「点滴」です。欧州から買い求めたリンゲル液は いまの値段でいうと 一本 100万円もしたそうです。それは「役立たず」でしたが、でも「近代福祉」の“はしり”でした。私は 1927年 天皇のご崩御の年を「近代的な福祉の元年」と考えたいです。

♣ さて、皇位を継がれた次の昭和天皇は、87歳で亡くなる前に、十二指腸のガンであることが キチンと診断され、東大で手術を受けられ、律儀にも 元旦のお祝いの席で国民に帽子を振っておられました。2年後に亡くなられるときには、テレビやラジオで ご病状や有様が国民に逐一報道され、最高の治療と国民の祝福を受けられながら ご崩御でした1989年)。

大正天皇と昭和天皇の間は「62年」! このあいだに 日本の「福祉と医療」は 根本的に変質したのです !!! 人類1万年の歴史の中で、わずか62年の違いで、 「おまじない」から「人類の英知」に進化 が認められたのです。細かく見ますと、「日本の福祉元年」は 老人医療が無料となった1973年とされ、年金・介護の将来像も確立 されました(しかし、10年後の1983年 厚生次官・吉村仁氏の「医療費亡国論」で方向修正されます3) )。しかし、介護保険は、実に2000年には実施され、今では 日本人の女性の平均寿命は世界一を20年の長きにわたって誇っています。さらに 高齢者の「延命処置の数々」まで実行されている現今です。ソロモン大王も まったく顔負けですね。

♣ 以上が 日本の「福祉のショートショート」です。私どもは 日本の「福祉も長寿も」当たり前と思って生活していますが、その恩恵に浴することができたのは どんなに偉い王様でも ごく最近だったのですせいぜい最近の30年)。これはスゴイことです !! きっと、我々は「生まれ合わせ」が良かった のに違いありません。

参考: パールの安全管理 1) # 23 : シャニダールと福祉。 2) # 3 : ソロモン大王の介護。 3) # 56 : 三つのうち どれを捨てる?

職員の声

声1: 昔は 福祉と言えば“可哀そうな人”を相手 にする、というイメージでした;2000年に介護保険が始まってから、 「福祉」は普通の人の「既得権」になりました(係り: “納税者の権利”が関わってくると、福祉の改善は難しくなります;今のお年寄りが一番幸せでしょう)。

声2: 昔 親の介護は家族の当然の責務 でした;今は介護職員に頼っている;ならば、家族は介護職員の仕事内容や待遇を見守り、理解する姿勢が必要です。

声3: 天皇家の人々は 健康・食事・すべてのことが最高に管理されていると思うのですが、やっぱり天皇家であっても病気になられるのですか ! ナゼ?不思議です(係り:従来、最高年齢の記録を持つ方々は 何も管理されていなかった 普通の庶民 です;これに対し、各種スポーツ・筋トレ・サプリ・栄養講座などは ビジネス上手の人に お金と手間を巻き上げられるだけ)。

声4: 仲間うちで、どの時代の どの人物に生まれ変わりたいか、が話題となり、昔の人はダメ、王様や貴族もダメ、結局 今の時代の今の庶民が一番幸せ、との結論に達しました。

声5: 一万年たって やっと福祉が形作られた;なれば あと百年たてば もっともっと良い制度になるのでは?(係り:社会政策の実行 には ① お金を集める、② お金を配る、の二大要素があります:今 日本で成功しているのは ② です;たいていの社会主義政府は ① でつまずきます)

声6: 老後の生活を充実させるものは 福祉の力ですか?それとも財源や医療との連携ですか?国会の争点にして欲しいです(係り:スエーデンのように、産業を活性化して、税金をどっさり集めるのがコツでしょう)。

声7: 百年後の人たちが、2011年の福祉をどのように評価するでしょうか?(係り:さて、どうなるでしょうか?)。
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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

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