(174) ご利用者の生きる意欲

  (174) ご利用者の生きる意欲   

  生物は 生まれる時も 命を終える時も「遺伝子の関与」でサイクルを刻んでいます。「遺伝子」は、何億年もかけて生物の寿命を決めている ようです。ヒトも例外ではありません。

♣ 遺伝子は「身体発育」を促進しますが、その終了(死)の詳細を決めているかどうかは判然としません。生命は「生き延びて増える」ことが共通の特徴です。したがって、生物に繁殖不能が訪れたとき「遺伝子寿命」が尽きたとき と考えるのが妥当でしょう。たとえば、植物は花を咲かせなくなると枯れます。サルは歯が無くなると死にます。これらの事から類推すると、ヒトの場合で言えば、女性が子を産まなくなる年頃、つまり閉経期(50歳前後)がヒト本来の遺伝子寿命なのでしょう。つまり遺伝子は50歳程度まではヒトの生存を保障し、以後のことは 遺伝子的に「何も考えられていない命」とみられます。原始時代のヒトは50歳まで生き延びることは少なく、これで十分足りていました。

♣ しかし、ヒトはホモ・サピエンス、つまり「賢い生き物」ですから、子を産まなくなる50歳を越えても、また 歯が無くなっても、生きて行けます。それは「知恵」のおかげ です。戦前には、平均寿命が50歳以下でしたから、このような遺伝子寿命の論議が不必要でした。近年、前期高齢者(50~65歳未満)は 、遺伝子寿命を15年も過ぎながら、「元気そのもの」となりました。50歳の期限が切れているにもかかわらず 生き延びることができるのは惰性によるものでしょうか? 近年では、愛玩動物のイヌやネコまで寿命が延びました。ヒトとの共通な寿命延長の要素は、衣食住で代表される「環境の好転」です。自然環境で生活する動植物では、このような寿命の延長はありません。

♣ ところが 75歳を過ぎた後期高齢になると、さすがに遺伝子保護の不足と思われる「廃用症候群」が現れ、ヒトの体でありながら中古車の感は否めなくなります。何事につけ「力不足・面倒さ」が表にでてきて、「老年か?」と呼ばれる特徴が現れます。

♣ 厚労省が打ち出した「新・介護予防」は「筋トレ」などを積極的に推し進める考えのようですが、遺伝子保護の有無を無視するような精神主義は、必ずしも良い結果を産むとは限らず、机上の空論、または願望に終わるのではないでしょうか? 特に、お年寄りの心身機能低下は 言ってみれば、遺伝子寿命の終了による主症状であり、病気や環境の変化は従でしょう。

♣ したがって介護者はお年寄りの病気を探して あれこれ治すお手伝いをするのではなく、本人の「生きる意欲」を掻き立てることこそが 本務でなかろうか、と考えます。掻き立てても、その方の意欲が湧かないのなら、あまりムリするのは生命の本来の趣旨からはずれ、かえって良くない結果に繋がるような気がします。

なにせ遺伝子寿命は50歳で もう終わっているのです。ここで必要なことは鍛錬ではなく、「楽しく生きよう」というモチベーションの形成を支援することが重要でしょう。リハビリの各論に あまりこだわることなく、のびのびと過ごすことを第一に置いては如何でしょうか?

職員の声

声1: 意欲とは何でしょうか? 楽(らく)して労働せずに生きたいと言う人、まだやれるとチャレンジする人、さまざまです(係り:年齢が同じでも、経験や個人差は違いますものね)。

声2: やる気をなくした人に「筋トレ」を勧めてもムダです;北風でなく、太陽を目指します;そのキーワードは「」だと思います(係り:社会的に成功した人は、デイに来られても、“チーチーパッパ”などしたくないと、内にこもりがちです)。

声3: 私の母はカラオケに行くと、普段と打って変わり、気合いが入ります;意欲のあるその姿は ずっと若く見えます係り:好きこそものの上手なれ、とは 良く言ったものですね)。

声4: デイサービスでは「楽しいこと」を心がけています;楽しければ 長続きします(係り:パールのデイサービスを見学にくる人たちは一様に 「楽しい有様」を見て驚かれます)。

声5: 自分でやれることなのに「やって頂戴 !」と無表情に言うご利用者への対応には緊張します(係り:病気は治せますが、性格は治せません;あなたもムリしないでね)。

声6:「病気は気から」とも言われますが、「気」を大事にするケアが望まれます(係り:意欲を引き出すケアって とても大事な作業なのですね)。
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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