(185) 百歳寿の死因

(185) 百歳寿の死因  

 ギネス・ブック1)  一位の最年長者は フランスのジャンヌ・カルマンさん(女性)で、122歳です。諸説の中には、コーカサスで145歳の男性が130歳の女性と結婚した . . . などが 数多くありますが、出生年月日の証拠がない。その意味で、カルマンさんは人類最長寿の記録保持者です。

♣ さて、歳をとると人は死にますが、その死因の正体は何でしょうか?知りたいですね。介護方針の参考になると思われます。テレビや新聞で訃報(ふほう)をよく見聞きしますが、80歳までの死因 は、まあ 了解可能な病名がついていますね。しかし、もっと高齢な方々、特に百歳を越えた場合の実態はどうでしょうか?パールの特養では 百歳寿で亡くなった方々5名は すべて女性で「誤嚥性肺炎」でした —— 第二病名は 認知症、脳梗塞、パーキンソンなど。

♣ そこで、ネットを見て、(訃報 ドット.コム)、1985年以来の 81例の百歳寿のデータを 死因別に分類して見ました(マスコミの情報)。症例の多い順から述べますと:—

♣ ① 空欄(記載なし)47名、② 老衰 20名、③ 心不全 6名、④ 肺炎 5名、⑤ 腎疾患 1名、でした。つまり、 ①+②で62名 77%となります。したがって、百歳寿の死因を「病気」の立場で理解することができません。「空欄」は“礼儀”によって空欄にしたのかも知れません。その例として、ジャンヌ・カルマン 122歳、内藤寿七郎 101歳、石井桃子 101歳、土屋文明 100歳、鈴木俊一 100歳などがあります。② 「老衰」は無難な病名ですね。蟹江ぎん 108歳、奥むめお 101歳などが見えます。“ぎん”さんは 例の100歳双子の妹です。③ つぎの分類「心不全」は 初めて病気の名前らしくなりました、心臓の故障が死の原因だ、というのです。双子の姉・成田きん 107歳などが含まれます。④ 「肺炎」では 本郷かまと 116歳が光っています(この詳細はネットでご覧下さい)。ふと 思いました:姉の“きんさん”は心不全 107歳、妹の“ぎんさん”は老衰で108歳;姉妹とは言うものの、実際は同時に生まれた一卵性双生児ですよね;死亡年と死因は微妙に異なりますが、単なる誤差範囲でしょうか?

♣ さて、百歳寿の死因は 興味をそそる題材ですが、マスコミの資料に頼った分析では 「真相は藪の中」です。正しい解析は 多数の症例を持つ大病院でなされるでしょう。ただ その際にも、問題があるのです。その ①:百歳を越えたら 病名をいちいち詮索しなくてもいいではないか、という考え方です。たしかに、「122歳の介護」などへの応用は 現段階では夢の夢ですし、法務省も“科学的病名”に固執しないでしょう。問題の その ②:「老衰」の解釈です。むかしは「60歳の老衰」はザラでしたが、今はどうでしょう?あなたは 何歳なら「老衰」という病名で納得できますか?

♣ こんな例が紹介されています:ある死亡診断書、84歳で「老衰」と記載されていました;死亡診断書の書式には、その病名の「発症から死亡までの期間」を書く欄があり、そこに「死までの期間 = 84年」と記載されていました。その診断書を受け持った市町村の係員がさっそく疑問照会の電話を掛けました。診断書を書いたドクターの返事 = 誰しもが 生まれた時から老衰が始まるのだ ! だから、病気の期間は ”84年”で間違いない !!とおっしゃる。でも、「84年間の老衰」という診断名では 死の実態が判然としませんね。あなたなら、老衰期間が何年なら納得できますか?

♣ パールの過去の診断書では 圧倒的に「誤嚥性肺炎」が多かったのです。85歳をすぎると、癌・心・脳-疾患が少なくなります2) 特別な事情がなくて、かつ 医療とケアが良ければ、死亡原因は 転倒・骨折・食欲低下、特に 誤嚥性肺炎に近づいて行きます(第二病名以下には 認知症、脳梗塞、神経疾患など、沢山ありますけど)。介護をする立場から言えば、私たちは「老衰」という神秘的な死因は できるだけ避けたい と考えます。

♣ これから百歳寿はますます増えて来ます。皆さん方も 百歳寿の死因の正体(= 肺炎?)に興味をつないでは いかがでしょうか。

   参考: 1) ギネスブック= 世界一を毎年9月に発表するイギリスの本。 2) パールの安全管理 #191 : 増える独居老人。

職員の声

声1: 人の命は、他の病気をくぐり抜ければ、最期には「誤嚥性肺炎」にたどり着くのですか?では「肺炎」を防止できる日が来れば、次は何が死因となるのでしょうか?(係り:古事記にはこんな話があります:―― お産で死んだ妻“イザナミ”を探しに黄泉の国(よみのくに)(あの世)を訪れた夫“イザナギ”は、そこで妻を発見し、「この世」に連れ戻そうとします——その条件は、決して妻を「振り返って見ないこと」でした;ところがその約束を破って イザナギは後ろを振り向いて妻を見たのです——何と妻は“ウジムシ”の湧いた体であった !! イザナギは驚きあわて、独りで 「この世」に 逃げ帰りました。生命の特徴とは「食べて増える」ことです——つまり、増え終わって(更年期)、食べ終わったら(誤嚥性肺炎)、人のレゾンデートル(存在理由)は消え失せます;もし 口と喉を使って食べる事をずっと続けることができれば 命は永劫(えいごう)になるかも知れません)。

声2: ご長寿は嬉しいですが、 「肺炎」って苦しそう ですね、自然に逝くのが良いと思う(係り:「認知症」+「肺炎」は一番 本人が楽で、体格指数(BMI)も すべてを使いきった ごく天然な逝き方ですよ3) ;胃瘻などの親孝行虐待は 地獄の苦しみです ! 他方、ピンコロ4, 5) は一族郎党を最悪な悲劇に追いやります——8月4日にサッカーの名選手 松田直樹さん 34歳が心筋梗塞で急逝された例は 記憶に新しいですね)。

声3: このところ、情報が過多なのか、肺炎を怖れるお年寄りが増えました(係り:65歳以上の統計では、もう10年以上前から 死因のトップは「肺炎」だったのです)。

声4: 私は「死亡診断書」を見たことがありません;診断病名の傍に「死亡までの期間」を記入するという事実を初めて知りました(係り:つまり、死者の死亡経過を知っていなければ 死亡診断書は書けない、ということです、さもなくば → 監察医務院 行き)。

声5: 私は今19歳、まだ自分が百歳まで生きられるって 夢のような話です(係り:8月には 広島・長崎の原爆記念66年祭がありました:今 百歳の人たちは ピカドンの日に34歳だった のです;その頃は たぶん“人生50年”の時代だったので、彼らの余命は あと16年ほどでした;でも それを生き延びた人々は すぐ百歳に届く波に乗ることができました——つまり、寿命の分かれ目は 遺伝子によるものではなく、環境のお陰にある ように見えますね)。

声6:きんさん、ぎんさん」は一卵性の双生児。姉の“きんさん”は107歳で没(心不全)、妹の“ぎんさん”は108歳で没(老衰);二人の没年も診断名も違います。せっかくなら、「一卵性双生児」らしく 同じ年・同じ病名だったら 興味が増したでしょう(係り:心不全も老衰も、コインの表裏の関係でしょうね;現在の目で見れば“肺炎”だったかも知れません)。

声7: 私の祖父は 28年前、82歳で他界、「老衰」と言われました;今の時代、百歳寿でも「老衰」と診断されて納得できますか?寿命が延びれば 命の価値も変わるように感じます。

声8: 私の曾祖母は96歳で、祖母は94歳で亡くなりました、死因は「老衰」で、私は特に気にもせず、むしろ誇らしかったです;でも「老衰」と言えば「もう特に 今以上に調べなくても良いでしょう」という 投げやりな不文律を感じます;イヤですね;死因を徹底的に明らかにする、という科学者が出てくるのも当然でしょう;今日はとても勉強になりました。

 参考: 3) パールの安全管理 # 33 : 天寿の終点は B.M.I. ≒ 12。 4) # 179 : 人気の続くポックリ病願望。 5) # 72 : PKKは望ましいか?
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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