(186) 介護における自由と秩序

 (186) 介護における自由と秩序   

 200年前のフランス革命で「自由・平等・友愛」というモットーが掲げられました。今 私たちは 当たり前と思うモットーなのですが、人類の歴史の中で ここまでたどり着くのは大変なことでした。

♣ たとえば 2000年前のローマ帝国の時代、自由で平和な生活を謳歌(おうか)したのは良いが、その結果、人は子を産まなくなり、深刻な「少子化」に悩み、皇帝アウグストスは、いろんな対策をねりました1) 。その一つは 独身中の男性、離婚したままの男女、へ課税する、または社会的昇進を制限する、などでした。要するに、男女は結婚して子を設けよ、です。また三人目の子を産んで、初めて一人前のローマ市民の権利を与える、とする「自由の制限」も考えていました。

宗教は これ以前にも 以後にもありましたが、なかなか「自由」というものは 扱いにくい代物だったようで、どの国の宗教でも 中世から近代にかけ、不自由と不平等こそあれ、広い意味での人間の尊厳は、口に出して言及されにくかったようです。だって、高い立場の人にとって「自由」を讃えれば 現存の「秩序」が失われかねなかったからです。

♣「自由」もあって「秩序」もある、とは得難い社会環境であり、現在の先進国でさえ 努力を積み重ねて やっと手に入れられるものでしょう。両者は 互いに矛盾する概念ですが、この二つはどちらも、パールにとって必須なアイテムです。そのために必要な能力は 優れた「バランス感覚」ではないでしょうか?バランス感覚とは、何事にも、互いに矛盾する両極端にある事柄の中間に腰を据えることです。バランス感覚とは、両極の間を“行きつ戻りつ”を繰り返して、しばしば一方の極に接近する場合もありますが、問題の解決に適した、ある一点を探し求めるという、ある種の 永遠の移動行為なのでしょう

♣「自傷・他害のおそれ」がある高齢者について、私はしばしば、この「自由制限とバランス感覚」について考え続けています。教条的な「一般解」はない と思っています。

  参考: 1) 塩野七生、ローマ人の物語 VI: p141. 少子対策(新潮社 1997年)。

職員の声

声1: 自由と秩序は互いに矛盾するものだ」という趣旨が、すごく良くわかりました(係り:ご利用者にも、また職員全部にも通用しますね)。

声2: 私は自分の子供に「自由には責任が伴う」と教えます;人さま迷惑を放置してまで自由を求めません(係り:あなたは 立派なお母さんです;このところ 相変わらず見られる「モンスター!!」2) 、自由を求めた欧米諸国でも、かって こんなモンスターがいた時期があったのでしょうかね)。

声3:ご利用者の「信頼」は職員の「秩序」の上に成り立つ と思います。

声4: 修羅場(しゅらば)のゴミ御殿、「私はここで死ぬ !! 」と言い張るご利用者の拒否行動を、職員たちの熱意で乗り越え、ケアの受容に導かれた理事長グループのアクションを感嘆の目で見つめています(係り:ものごとは考え、かつ“場数”(ばかず)を踏まなければ なりません)。

声5: 「自由と秩序」を勝ち取るために不可欠な要素、それは「愛の存在」です;事務的・教条的なアクションによっては 「自由と秩序」はもつれたままになるでしょう(係り:福祉とは、「自由も秩序も」失うことなく、バランス感覚を磨いて「人の尊厳」を尊ぶことなのでしょう)。

参考: 2) パールの安全管理 # 54:モンスター。 # 110 : 2013年の危機。
 
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Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

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