(202) 子供の宮殿

 (202) 子供の宮殿  

 今から66年まえ(終戦時)、人生は45年ほどでした。そして現在は、その頃の二人分の人生 = 90歳を迎えようとしています。その仕事の一環として、私どもは介護保険の仕事に従事しています。お客層の多い分野だから、当分、仕事に「あぶれる」心配はありますまい。

♣ ところが、現実に「あぶれている」人々があります。パールの「理事」のお一人である 元立教大学の高橋絋士教授は ご自分の大学で統計をとり、次のように語っておられました。

卒業生の5割は手堅く就職します残りの半分の行方は?

♣ 1/3は「フリーター」です;会社勤めは気が乗らないし、仲間と一緒に好きなことをするのを優先します。

♣ 次の 1/3は「自主留年」、親が「この子は勉強が好き」と思い、留年を許してくれます。残りの 1/3は「行方不明」です。その多くは「自分探しの旅」に出るそうです。いずれの場合も、親を養う必要に迫られていないから、「子供の宮殿」の中(= 子宮)から出て、怖い「宮勤め」をしたくない子の願いを 親が許す のです。

♣ 私自身の事例で 95歳のリウマチの母親から離れられない70歳の男性がありました;尋ねると「今からでも母のお腹の中に戻りたい」と言っていました。

♣ 歯がゆいですね。親にも子たちにも「子宮内願望は いい加減に致せ ! 」と教える 学校カリキュラムを作りたくなります。フリーター・ニート1) 、そして、この子供の宮殿の問題は 昔の大人たちの考え及ばざるところです。むしろ昔は、卒業したら 親への仕送り2) をしたものです。

♣ でも、今の大人たちも古い思考から抜ける必要 もあるでしょう。だって大人が古風な就職形態を子に望むから、若者たちが迷った末フリーターやニートになっているのかも知れません。バブルが崩壊したのが1989年、あれから22年ですよ。その間、大人たちは 来るべき社会の指針を 子供世代に与えたでしょうか?いつまでも過去の古い社会原理に固執し、それで変化し続ける世界の潮流に伍して行けると思うのでしょうか?

♣ 若者たちは 「静かなテロ」(Silent Terror)を企てているとの観測もあります。現在の社会閉塞の原因は、一千兆円にも及ぶ借金行政・古いタイプの社会組織に起因するものだとして、若者たちは その呪縛から脱するために「静かなテロ」に向かっているとも言われます。「草食系」といわれる「無気力学生」は存外に「子宮の外」に出て来て勝負を挑むのかも知れません。

♣ しかるに、現在の介護保険は、基本的に「税金と保険金」でまかなわれます。この子たちが、本当に「子供の宮殿」の中に留まっているのなら、介護保険の仕組みは成り立たなくなり、高齢者は路頭に迷います。私は案外に若者たちの原動力のバネに期待を掛けてもいいのではないか、と思うようになった この頃であります。

  参考: 1) パールの安全管理 # 193 : 第四の価値(フリーターはフリー・アルバイターの略語;ニートは(NEET): Not in Education, Employment or Training (教育・雇用・訓練を拒む人々≒引き籠り。イギリス言葉 1980)。
 2) # 90 : 親への仕送り。

職員の声

声1: 70歳を過ぎても母親の子宮に戻りたいと言う人、信じられません ! (係り:世の中には「一卵性母子」という術語さえあります)。

声2: 「子宮から出たくない子」は私の周りにたくさんいますが、裕福な家庭の子が多いです。

声3: 定職に就く子が少なくなったのは親が子を甘やかすから であり、これが最大・最悪の社会現象です(係り:モンスター現象でしょうか?4,5,6)

声4: 親を養おうとする子は少ないし、「自立」を学校が教えるべき時代になったのですね(係り:小説「青い鳥:」では、チルチル・ミチルの兄妹が「幸せの青い鳥」を探しに旅立ちますが、それは自分の目の前にあったのでした)。

声5:自分探しの旅」は仕事をしながら行い、キチンと税金を納めながらにしましょう。

声6: 私は20歳台前半を「フリーターもどき」で生活していました;今は税金を払う身ですが、できればフリーターに戻って生活をエンジョイしたいです係り:150年前 ビクトル・ユゴーの小説“あゝ無情”で、ジャンバルジャンは 飢えた親と弟妹たちのためにパンを盗みました;何度読んでも涙がこぼれます)。

声7: 厚生年金を支えないフリーターには「自動車免許証を取得できないようにする」のも一案です(係り:欧州では昔、「人頭税」というのがありました;人は働かなくても「そこに居るだけで」社会経費が掛かるからです)。

声8: 親に寄生する子達は「親が先に死ぬ」事実を分かっているのでしょうか?(係り: “分かっちゃいるけど、やめられない”は 酒・タバコ・博打と同じ でしょう)。

声9: 基本に戻って、なぜ ニートが増えたのでしょうか?(係り: ニートという言葉自身がイギリス生まれです;つまり 先進国・裕福・平和・兵役の義務無し・モンスター親、などの複合因子が係わっています:たった66年前の戦前には こんなの ありませんでした——昔の日本は貧しかったし、親は平均45歳で死にました;今は豊かで親は90歳まで生きます。“なぜ?”への答えは、“そこ”にあります。必ず片付きます)。

参考 : パールの安全管理 4) #54 : モンスター。  5) # 110 : 2013年の危機。 6) # 124 : 三方 一両の損。
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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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