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(204) 切れる - 忠臣蔵に学ぶ

 (204) 切れる——忠臣蔵に学ぶ  

 最近、15歳で真面目まじめ)で良い子が「切れて」事件を起こしたことがテレビで報道されました。また、パールのデイサービスでは、91歳で 普段は真面目で礼儀正しい方が、突然イライラして、怖い形相になり、大声で怒鳴る方があります。

真面目な方が突然「切れる」という現象は 年齢を問わず見られるものでしょうか?ケアをする私たちにとって、とても怖いことです。この問題をパールの元嘱託医の精神科医・恩田禎先生に伺ってみました。

♣ まず、「忠臣蔵」のストーリーの大筋を振り返ります。浅野匠(たくみ)の守かみ)(34歳)は 江戸城殿中の作法を吉良(きら)上野介こうずっけのすけ)に習いましたが 意地悪をされ、堪忍の緒が切れ、松の間の廊下で刀を抜いて切りつけ、額に怪我をさせました。殿中での刃傷沙汰(にんじょうざた)はご法度(はっと)であり、その日の内に「切腹」「お家断絶」の処置を受けました。他方、吉良上野介は「おとがめなし」であり、このバランスを欠いた処置のため、浅野家の家老・大石内蔵助(くらのすけ)らは、後日「仇打ち」を決行し、吉良上野介の首を取りました。歌舞伎の題材(忠臣蔵)にもなった江戸名事件となりました。

♣ 浅野匠の守が「切れた」のは精神科の言葉で「解離」(かいり)(dissociation)と言っていいでしょう。つまり、「普段 行っていた抑制心理が突然“はねる”こと」(uncovering)です。真面目で良い人という方々は、普段から心の抑制が強い人なのです。それが、このように「切れる」のは、一万年の昔から現在にも続いて観察される現象です。

♣ 私たちの身の周りでは「酒で切れる」と言うのがあります。これは「酒乱」(Rausch)と呼ばれます。アルコール依存症なら 治らないことはないけれど、「切れて酒乱になる」のは、治せません !! なぜなら、それは その人の「性格」に基づくからです。病気は治せるけれど、「性格」は変えられませんね。

♣ 「解離」はその人の「子供の頃の父親との関係」に基づく、とも言われます。提示された91歳の女性の場合、基礎疾患として高血圧・脳動脈硬化症・糖尿病などの多数因子があり、そ上に、この人の性格によって「切れた」とみられます。

♣ 今時の若者はナッチョランなどと発言する人がいたとすれば、その人は すでに耄碌もうろく)しているのです。人はイロイロです、忠臣蔵によく学び、注意しましょう。

職員の声

声1: 私は浅野匠(たくみ)の守が「切れた」のは仕方が無いと思う;だって ずいぶんひどい意地悪をされたのでしょう?(係り:普通は それをも“我慢”する のです)。

声2: 「切れる」って、今も昔もあったとはオドロキです ! (係り:嘘偽りのない 遺伝子の仕業しわざ)でしょう)。

声3: 「切れた子が親を刺した」というニュースを聞きます;抑制心理がはねる のは、その子の性格に拠るのですね。

声4: 我慢できない子も、我慢し過ぎる子も 同じように怖いです;観察に努めます。

声5: イライラは溜めこまないこと、「何事も程々に」が大切ですね(係り:この欄でお馴染の“ルー(Roux)の法則” ですね)。

声6: デイ・サービスでは 最近「切れる年寄り」が増えたように感じます;ほかの施設でも同じような声が伝わってきます(係り:第三者が観察していて“主人と召使いの関係みたい”と表現することがあります)。

声7: 在宅でも「切れる」方をよく見かけます、とにかく「話を聞く」ことから始めます;だって怖いです(係り:要するに 我儘(わがまま)が通るってこと でしょうか?)。

声8: 現代では「テレビなどで情報の伝達」が早い;「最近の若者の犯罪増加」がよく話題に登りますが、本当にそうなのか、それともテレビの発達による過剰報告なのか、疑わしいです;人の心が「切れる」ことの長い歴史観を理解した上で分析し、報道して欲しいです。

  参考:  パールの安全管理 # 45:ルー(Roux)と智恵。
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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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