(211) 食べ残し率

 (211) 食べ残し率  

 今から1万年まえ、全世界のヒトの人口は800万人だった、と推定されます(Isaac Asimov)。東京の人口の2/3だけが世界に広がっていた、と想像できます。現在の世界人口は70億余、昔の750倍に相当します。これは一重に「食糧、医療・介護、平和」のおかげです。

♣ 近年の分析1) によると、日本の「食べ残し食品のカロリー」は 提供された食品の25%に相当し、その金額は11兆円になると試算されています。なんと「もったいない」ことでしょう !!

♣ 厚生省のデータ2) を見ると、一人当たりの供給カロリーはずっと2500キロカロリーで推移、他方 摂取カロリーは30年間でコンスタントに低下し、1800キロカロリーになっています。その差は「食べ残し !! 」、残念 !!

♣ さらに 食糧の「遠方調達率」を見ると、欧米・韓国に比べ3倍も遠いところから輸入している。たとえば、「ししゃも・カレイ」(北大西洋)、「たこ・マグロ」(アフリカ)、牛肉(アメリカ・オーストラリア)、コーヒー(ブラジル)などです。つまり日本は「世界一の飽食の国」なのです。私は欧米を旅行したさい、つぶさに食糧事情を観察しましたが、彼らは「大食」ではあるものの、食べ残しが出ないように生活しています。

♣ ひとつ、失敗談をご披露しましょう。パール開設の初期に、デイサービスで「バイキング料理」を試みたことがあります。みんなで いつも同じような食事をするのではなく、気分を変えてみたかったのです。30人が定員でしたから、厨房では30人分の予算で30人分の料理を並べました。ご利用者たちは大喜びでバイキング風景を繰り広げました。ところが アラー !! 後のほうに並んだ15人の人たちは料理にありつけませんでした。だって、前の人たちが、お皿に 平均二人分ずつ盛り付けたからです。厨房は大騒ぎして臨時に料理を調達して間に合わせましたが、食事がすんでみると、料理の半分は「食べ残し」でした——-厨房の事前予想は正しかったのです;ただ、バイキング料理は“余すほど盛り付ける”という 人の心理を正しく予想できなかっただけ。結局、この事態は私たちの 「食べ残し率」に関する経験不足が原因だったのです。私たちは お馬鹿な“おもてなし”の夢を見ちゃったのですね。

♣ 日本はバブルが始まる前(1965年ころ)までは、信じがたいでしょうが、電気冷蔵庫がある家庭などは稀(まれ)、もし「食べ残し」をつくると その保存はできず、したがって「ちょうど良い量の食事」を工夫していました。今、皆さんがたは どうですか? 冷蔵庫に甘えてはいませんか? しかも 余した揚句に「食べ残し」を処分していませんか?

♣ 少なくとも「知識」として、日本の「食べ残し率は世界一だ」と肝に銘じましょう。

  参考: 1) 東京医学会誌 58:435~437, 2005. 2) 厚労省「国民栄養調査」:供給熱量と摂取熱量の推移(ネット)。

職員の声

声1: 戦争時代を経験した高齢者たちは「もの」を大切に扱っています;でも日本の「食べ残し率」が世界一とは驚いた !

声2: 日本は「飽食の国」というより「暴食の国」と言いたい。

声3: 特養でも必ず残飯がでますが、私は目をつむります;だって食事は「楽しいまま終えて欲しい」と思うからです(係り:特養の一日カロリーは1400キロカロリーで提供されますが、実質 1~2割は処分されます)。

声4: コンビニ弁当や回転寿司のネタなど、大量に廃棄されています;ゴミも世界一ではないでしょうか?

声5: 「もったいない」は英語に翻訳できない そうですが、日本の現状は「もったいない」を通り越して「申し訳ない」と思います。

声6: 残飯を本気で処理すると、太ってしまう、別の病気が出て来る(係り:今年の3.11福島事件のあと、日本では「電気の使い過ぎ」を反省しました;食べ物についても「食べられるだけをつくる」という反省が必要です)。

声7: お米という文字は「八十八の手間が掛かっている」との語源だそうです;ご飯を捨てるのには心が痛みます。
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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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