(217) 無謀な介護?

 (217) 無謀な介護? 

 最近、こんな一例がありました:皆さま方の注意を喚起致したいと思います。

♣ あるご利用者(83歳。 6年前に老年性痴呆症と診断され、昨年暮れに 大腸癌の手術後 筋力が低下、要介護4の状態です)。引きこもり、手引き立位の生活で、パールの在宅介護をご利用中でした。3ヵ月前、娘さんが「外気浴」をご希望、職員は車椅子散歩にお連れし、ご自宅からパールで一休み(約10分)、その後、ご自宅に帰りました。翌週から「力が抜けた」として、一ヶ月後 都立XX病院へ入院、診断は「多発性脳梗塞」でした。一カ月半後に退院;病院では「寝かせきり」で、すっかり歩けなくなった、とのこと。

♣ ところが、娘さんは「車椅子の散歩が無謀な介護であり、脳卒中の原因である」と主張され、入院に関わる経費として40万円を請求され、なお謝罪を求められました(治療費 20万円、交通費 20万円)。病院の主治医は「多発性脳梗塞は睡眠中にも起こり得るので、車椅子散歩と脳梗塞の因果関係は不明」とのこと。そこでパールとして、S.J.弁護士に入って頂き、「過失関係の認定」について相談しました。その結果、「過失はなく、費用請求は無効」と判定されました。また、用心のため、区の係り課にも問題の経過報告をしました(そのお話:一銭もお金を出すんじゃないよ、とのこと)。

♣ 多発性脳梗塞を「植木の植物」にたとえてみましょう。植木の根本が虫食いになれば、その植木は枯れてしまいます(一回の脳梗塞で致命的になる)。しかし、地上の末梢の小枝が虫食になれが、そのつど、その小枝が枯れます(老年性脳梗塞は、小さな脳梗塞が次々と重なり起こります)。小枝が枯れると、そのたびに、階段を下りる時のように、「段」となって症状が進み、その植木は元気さを失います(多発性脳梗塞の状態 —— 初回の脳梗塞発作のあと、強弱の違いはあるものの、二回目、三回目 . . .と多発して行くのが普通です)。

脳梗塞の自然経過の特徴は、このような「段階的悪化」です。もしアルツハイマー型の認知症であれば、「なめらかな進行」であり、両者の特徴は対比的 です。

♣ 認知度の低下は、介護が理由で悪化することはありません。ましてや、「無謀な介護」と言いがかりをつけられる根拠は全くありません。

♣ ケア中に理不尽な申し入れがあっても、萎縮しないで相談して下さい。無体なタカリに出合ったら、あくまで冷静に、そしてホウレンソウ 1)  に励み、決して自分一人で問題を解決しようとしないように心がけて下さい。

参考: 1) パールの安全管理 # 148 : ホウレンソウ。

職員の声

声1: 「多発性脳梗塞」が無謀な介護によるという「言いがかり」を初めて聞き、ホウレンソウの大事さ を再確認しました。

声2: 金をゆすり取ろうとする家族に唖然(あぜん)としました!(係り: 「老化が原因」であることに納得できず、やるせなかった反動だったのでしょうか)。

声3: 脳梗塞とは どう言う病気かを、よく知らせておき、「起こり得る危険」を想定して介護するように肝に銘じます。

声4: この例のように、いきなり怒鳴られると、悩みます;係りのワーカーは毅然とした態度をとれました、感心しています(係り: 善意だけで行動してはいけない、と学びました)。

声5: 要介護4の方を持つ ご家族は疲れている、とみられます;難しい家族があればこそ「やりがいがある」と考えましょう。

声6: 私の父 は被告(罪人)として家庭裁判所に呼び出されましたが、裁判官は「罪を問えない」として、むしろ原告側を諭しました(係り: 第三者が聞けば、すぐ分かります;怒鳴っていては解決がつきません)。

 ☛ 人の基本は「性善説」です。でも、危機管理は必要ですね。
 
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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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