FC2ブログ

(222) 鬼 か 佛 か ?

 (222) 鬼 か 佛 か ?   

先日 秋の法要があって、青山の善光寺に参詣する機会がありました。お寺の本堂には テント布張りの椅子が多数準備され、多くの門徒たちが椅子に座って法要に参加しました——ちょっと昔なら、畳に直接 正座 または座布団で法要、若者でも 足がしびれて10分と持たないという所でしょうが、近年の高齢者にとって 椅子での参加はとても有難い ことでした。

お焼香が始まると、私の右前に座っていた お婆ちゃま、とても太って おられ、そのうえ足腰が悪いのか ゆらゆら体を揺らして椅子の列の間を足摺って行かれます。差し伸べられる「手引き」の「手」を退けながら、キチンとお焼香を済まされ、また元の席に ゆらゆら 戻られました。拍手したいほどの出来事でしたが、私はハラハラしながら見ていました——これでは 高齢女性の転倒・骨折は避けられない !! もし 親切な人の「手引きの手」の中で転倒したのなら、訴訟になるのだろうか? つい、自分の仕事に関して頭が先走りしました。

♣ 今月(10月13日)中国の広東省で 2歳の女の子が「ひき逃げ」の犠牲になった様子がテレビに出ていました。車は女の子にぶっつかったことに気がつきつつも、そのまま走り去りました。その後、7分間に通行人が18人 傍を通り過ぎましたが、誰も その子を助けようとしません。別な車が、再びその子をひいて逃げています。ついに誰かが その子を病院に運び、集中治療室で手当てを受けましたが 死亡の結果でした。この事件は中国のテレビでも報道され、多数の人々は「中国社会で道徳が大きく後退した」と嘆いていました。

♣ 私は「善()きサマリア人の法1) を思い出しました——そっくりです:昔のイスラエルで「おいはぎ」に会った ある商人は身ぐるみ剥がされ 半死半生で道端に倒れていたのを 通行人は誰も助けず 避けて通ります。ある親切なサマリア人が その商人を助けて宿に連れて行った、という物語です。襲撃した人は「」でしょう。しかし、被害者を助けようとしなかった通行人も「」ではないでしょうか?でも、最後に助けた人は「」でしょうね。

♣ そして、私は パールの ある過去の事件も思い出しました。それは「無謀な介護2) です。問題のケースは:- 83歳女性 認知症 要介護4の方の娘さん。在宅介護で伺ったパールの職員におっしゃいます:「家の中に籠っているだけでは気分がすぐれない;車椅子で母を外気浴に連れて行って下さい」と。職員は10分ほど家の外にお連れし、満足され、ケアを終えました。一カ月後、状態が変化し、近くの病院に入院されたとの事;私も御見舞に行きましたが、「多発性脳梗塞」でした。一ヶ月半後、退院されましたが、娘さんの私への申し出は「状態の悪い母を散歩に連れ出し 脳梗塞にしたのは“無謀な介護”に相当する;謝罪を求め、入院経経費40万円を請求する」というものでした。もちろん、弁護士さんの助けで支払わなくて済みましたが、私は思いました:この娘さんは とても良い人()だったのに、介護でお疲れだったのか、八つ当たりなのか、仏がになったみたい . . . とため息をつきました。

♣ 「人は、状況により鬼にも仏にもなる」という格言があります。どっちが本心か?と尋ねても きっとムダでしょう. . . 人間に適用されるのは「性善説」と「性悪説」の両方であるからです。当事者なら「鬼か佛か」のいずれかでしょうが、「掛かり合いになりたくない」と被害者の傍を避けて通った人々は でしょうね。

♣ 別件ですが、よく報道された事件:奈良県で深夜に産気づいたある初産婦、救急車は病院探しに三時間以上かかったといいます;なぜなら どの病院も断る理由が「満床、または当直産科医がいない」ということでした。額面通りに受け止めるしかありませんが、あなたなら 佛になりますか?それとも鬼になる? 佛とは、すぐ引き受けること鬼とは“前歴の不明な緊急出産は 結果次第で きっと訴訟に発展する”として逃げることでしょう。パールでも、先々月 95歳女性が 本人たっての希望の一人トイレを優先したら、中で「転倒・骨折」、その上 入院・リハ費 650万円の請求書という憂き目に逢ったばかりです3) 。 今の日本社会はモンスター現象が頻発しています4) 。イスラエルや中国の事を笑えませんね。

♣ しかし「鬼か?佛か?」と他人事では済まされないのが 私たち「高齢者介護」の業務です。あなたの心構えを披露して下さい。
 
  参考:パールの安全管理 1) # 101 : 善()きサマリア人の法。 2) # 217 : 無謀な介護。 3) # 221 : ちび漏れ。4) # 54 : モンスター。

職員の声

声1: ある母親が3~4歳の自分の子の手を引きながら、車にひかれた女の子の傍を平気で通過しているのをテレビで見た;開いた口がふさがらない、あれは「」だよ。

声2: 中国のことが世間で噂されるが、急成長国だし、心が経済成長に追い付かないのだ;宗教信心は否定されているし「中国の常識は世界の非常識」とも言われている。

声3: 朝の混雑する電車に「身障者」が乗り込んで来る、「私は身障者だ、席を譲ってください ! 」と叫びながら、強引に普通席を譲らせる——日本の話ですよ;せめて優先席のある車両に乗って席を求めて欲しい;そう思う私は「」だろうか?

声4: 仏心(ほとけこころ)は割りに合わないことがしばしばな昨今だ係り:でも、社会事業家はノーブレス・オブリージュ 5) の持ち主であるべきでしょ?)。

声5: 本心は「関わりたくない」、でも「一応の格好だけつける」(係り:仁徳天皇とかナイチンゲールやマザー・テレサとかが不在となった !! . . . 本当に地球は変わってしまった ! )。

声6: 超高齢女性の歩行は危険だから手引き歩行にすると、「デイサービスに預けたら、歩けなくなった ! 」という ご家族のクレームです;高齢女性はお皿と同じ——こけたら割れる6) ご家族の希望と私たちの自衛を両立させるのは ほとほと難儀です。

声7: でも私は困っている人に手を差し伸べたい係り:上記のように650万円の請求書が来ても お考えは変わりませんか?)。

声8: 私は、ご利用者の手助けの基本は「自宅でのやり方を優先」と考えています(係り:職員別の偏りが掛からない 素敵な方法ですね . . . クレーム対策にもなりそうです——Good ! )。

   参考:パールの安全管理 5) # 44 : ノーブレス・オブリージュ。 6) # 209 : 10・10(てんとう)に備えて
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
安全管理 ふじひろのページ

最新記事
全ての記事一覧
月別アーカイブ
カテゴリ
リンク
QRコード
QR