FC2ブログ

(14) 垂れ込み肺炎

 診断書による人の死亡原因は、細かな変動はあるものの「ガン 心臓 脳卒中 肺」の順です。この後には「自殺 事故」が続きます。これらの数字は全人口での内訳であり、高齢者だけを対象にすれば、文句なく「肺炎」がトップに来ます。肺炎は、どの年齢にも発生しうる病気ですが、高齢者の大半は「誤嚥性肺炎」であることが2005年に実証されました

♣ ご存知のように、高齢者はよく誤嚥をします。この誤嚥を二種類に分類すると、「良き誤嚥」と「悪しき誤嚥」に分けられます。「良き誤嚥」とは、食事中などに「むせる」誤嚥であり、ゴホンゴホンと自分で咳を出します。本人も周りの人たちも注意しますので、肺炎に進展するかどうか見守られます。ところが、「悪しき誤嚥」は、就寝中の「垂れこみ誤嚥」(不顕性誤嚥、Silent aspiration)が原因です。つまり。自分で気づいていず、「むせ」も起こらず、唾液がそっと気管支に垂れ込むのです(放射性薬品で観察できる)。したがって、栄養状態が「経鼻経管」でも、「胃瘻」でも、これから逃れることはできません。

♣ しかも、その二大症状は:① 元気がない、② 食欲がない、の二つです。誤嚥が重なって行けば肺炎に至りますが、その進行がゆっくりであるため、気づかれたときには、重症の肺炎になってしまうのです。肺炎の原因菌は「口内雑菌」ですが、通常の市中肺炎と同様な「肺炎球菌」もあります。

♣ なぜ「垂れこみ」が起こるのか?経験的には、高齢者を仰臥位にして放置すれば、必ず「垂れ込み」が起こります。これは、高齢者の「飲み込み反射」が低下するためです。対策として、薬もありますが、それより「ベット挙上、口腔ケア」が大事です。

♣ このように、高齢者の「垂れ込み肺炎」は、たゆまぬ努力で対応せねばならず、それでも、限度があります。人は、いつかは死ぬのですが、万病を乗り越えた超高齢者でも、その死因は「垂れ込み肺炎が一人横綱」というのが一般実情です。  参考資料: 寺本信嗣:日医雑誌 135:1287, ’06.

職員の声

声1: 私のご利用者の一人は 食事中 よくむせます、ご本人は「どうってこと、ないわよ」とおっしゃいますが、心配でなりません。

声2: 新聞などで報道される高齢の有名人の訃報(ふほう)で肺炎というのが かなりありますが?(答え:その多くは誤嚥性肺炎と言われます)。

声3: なぜ「飲み込み反射」が衰えるのですか?(答え:飲み込み反射の中枢は延髄にあり、呼吸中枢の傍です;そこに 加齢とともに変性がおこります;変性とは:黒い髪→白い髪→脱毛のような加齢現象で、個人差があります;衰えるのは飲み込み反射だけでなく、すべての反射が衰えます、ただ 命取りになるのが飲み込み反射だったのです。

声4: パールでは108歳になられたY.M.様、元気に歌を歌っておられましたが、ある日 突然 高熱を発し、重症肺炎を一週間患われたあと亡くなられました;一人横綱との勝負に負けた訳ですね(係り:誤嚥性肺炎は すべての生き残り老人の命を刈り取る、という表現があります;現実はガンよりずっと怖いですね)。

プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
安全管理 ふじひろのページ

最新記事
全ての記事一覧
月別アーカイブ
カテゴリ
リンク
QRコード
QR