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(224) まだらぼけ

 (224) まだら ボケ   

  デイサービス・クラスのI.T.様(アルツハイマー認知症 要介護2)は、きちんと歩ける方ですが、 トイレで「靴を脱ぎましょう」と言っても 全く聞き入れて下さいません。しかし、同じクラス・同程度のJ.T.様(脳梗塞後の認知症 要介護2)は「家の財産が盗まれたので、困っているの」と深刻に解決法を考えておられます。認知症の方々は 職員の言葉に反応できる方、できない方、いろいろですね。ここで二大認知症と言われる「脳血管性 認知症」と「アルツハイマー 認知症」とを対比してみましょう。

脳血管性認知症は「脳梗塞・脳出血」などの脳血管の故障後に発生する認知症です。脳細胞は「4分間」以上 血流が滞ると死滅します。したがって、脳梗塞などで血流が途絶えれば、その血管の支配流域の脳細胞は壊れます。木の枝を連想すれば分かるように、太い場所で梗塞が起これば起こるほど、被害は大きいです。脳底動脈などの太い場所での梗塞では命そのものが危ない。

♣ 一般に病変が末梢であればあるほど、臨床的には被害が少ないと言えます。しかし、末梢型の脳梗塞の場合、多くは間欠的に あの枝・この枝というように、何ヵ月かおきかに梗塞が続きます。そのたびごとに症状が積み重なり「まだらボケ」というような状態になります。つまり、全体的にボケるのではなく、ある部分は全く正常、別な部分は信じ難く異常。これを「階段状のまだら低下」と呼び、初回発作のあと 半年~一年などの間隔をもって 病状が進行します。最終的には 「まだら さえない要介護 5」に至るでしょう。

♣ これに反し、アルツハイマー認知症は 脳血管に原因があるのではなく、脳細胞そのものがまばらに消えて行く病気ですから、全般的な脳の機能が 徐々に低下し、初期には気付かれることもなく、滑らかな認知機能異常をもたらします(なだらかな丘の裾型低下)。

♣ ある人のボケが「まだらボケ」かどうかは、一回の診察では十分に明らかになりません;むしろ ご家族や介護者のほうが気付き易いです。たとえば「無謀な介護でお示ししたように、元来 脳梗塞がある方に 突然また新しい麻痺や意識障害が加わったならば、新しい脳血管性病変が加わわった と考えてよいでしょう(多発性脳梗塞)。他方、3年~5年~10年かかって症状が なだらかに荒廃して行くようなら アルツハイマーとみられます。

♣ 両者は対応法が違います:脳血管性なら動脈硬化と年齢に対応しますし、アルツハイマー性なら さしずめ「有効とされる薬物使用」が求められます。でも、念のため申し伝えます:いったん消えた脳細胞が復活することはありません。介護者の指示に よりよく従えるようになることを期待すると、疲れます。介護者は何度も同じ指示をする・話を聞く・などを続け、我慢強く対応するほかはありません。

♣ なお、以上の二種類以外の認知症の分類は「パーキンソン、ピック、レビー . . . 」などがありますが、これらは病理診断であって、生存中に確定できるものではありません。介護者は あまり迷わないで下さい。「まだらボケ」は差別語に聞こえそうですが、まだ「まだら認知症」という言葉は定着していません

  参考:   パールの安全管理 # 214 : 無謀な介護。

職員の声

声1: 指示に応じないご利用者に 何度も繰り返し説明するのは ほんとに本当 大変です(係り:でも、あなたのその熱意はボディー・ランゲッジとして相手様に伝わります)。

声2: 私は言葉としての「まだらボケ」を知っていましたが、改めて 脳梗塞の進行程度との関連で理解できることを学びました。

声3: 脳に穴が空くように、少しずつ脳機能が脱落するのですね、その有様が「階段状に見える」のですね(係り:Yes, yes ! )。

声4: 抜け落ちた機能の回復は期待薄とのこと、これを知っていれば、取り組みの展望が見えてきます(係り:もちろん、リハビリの努力は大事です。たとえば、あなたが鉄棒にぶら下がるとき、10本の指を使いますでしょ? でも、9本でぶら下がることもできますよね;その違いがリハビリの力です)。

声5:階段状の低下」と「なだらかな丘の低下」、なるほど、いい事を聞きました。
 
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ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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