(225) 戦略 と 福祉

 (225) 戦略と福祉 

  「戦略も戦術も」日本語では「」という文字から始まりますが、外国語では 戦略 = ストラテジーのように「戦」という文字が含まれていません。つまり、我々が言う「戦略・戦術」は、戦争を念頭においたものではなく、社会全般に亙って有効に用いられる概念なのでしょう。だから 今日は「戦」という文字を使うけれど、戦争も喧嘩の話しも致しません、毛嫌いしないで聞いて下さい。

♣ さて我々は何か大きいことをしようとします。たとえば自分の全人生の計画、市町村の在り方、会社を起こす、国の方針を定める . . . などです。ここでは「パール」を例にとりましょう。「パールの戦略」とは、理事長が その設立の趣旨・全体の効果的な経営のあり方、将来を見据えることの大事さに身を引き締めることでしょう具体例を挙げますね。今 NHKの大河ドラマ「おごうを観て あなたは どの部分が「大河」だと思いますか?二つありますね

♣ ① 一つは 織田信長の妹・市(いち)を母とする三姉妹(茶々 初 江)の一番下の「おごう」の人生の流れがありますね。父母と死に別れ、前二人の夫とも死に別れ、次に二人の姉とも運命的な死に別れ、最期に自分の舅(家康)・夫(秀忠)・長男・次男の諍い(いさかい)の中で栄光の死を54歳の若さで迎える;この流れは 確かに「大河」と言えますね。でも、この流れの中には 自分が決断した人生の「必然」がありません。つまり「戦略も戦術もない」、なんとなく「おごうと言う女の数奇な運命の流れ」だけです

♣ ② もう一つの「流れ」は 歴然としています。それは徳川家康の流れ です。彼は幼くして隣国の今川義元に「人質」として預けられ(生きるための妥協を学ぶ)、義元亡きあとに 使えた織田信長に、 敵の武田信玄に内通したという理由で妻子を処刑されました(出過ぎれば殺される)。信長亡きあとは 秀吉の配下に身を置きましたが(自分と秀吉は同格だと思っていたが それを秘めていた)、ずっと世の先々の「戦略」を練っていた ようです。

♣ 有名なホトトギスの俳句会を知っていますね。信長・秀吉・家康が出席したとされ、題は「鳴かぬ不如帰」。信長はこう詠みました:鳴かぬなら 殺してしまえ 不如帰。せっかちで即物的な彼の性格が表れています。秀吉は:鳴かぬなら 鳴かせてみよう 不如帰。まるで戦車で野を荒らして征く自信と圧力を感じさせます。ところが 家康は なんと:鳴かぬなら 鳴くまで待とう 不如帰。この噺は もちろん実話ではないでしょうが、家康の不屈で かつ我慢強い戦略が見えてきます。三人姉妹の一番下の「おごう」を 自分の跡継ぎ・秀忠の嫁にします。それは徳川家を永続させるために 人間としての実力のある「おごう」に白羽の矢を当てたからです——単に格式の高い貴女を秀忠に妻合(めあ)わしたのでは 戦国の世を治めることはできない——「おごう」を二代目・秀忠の嫁にすれば ワシが興した徳川家をきっと繋いでくれる。これも家康の戦略だったのです。きっと家康は人質の時代から ずっと先の戦略を頭で描いていたのでしょう——もちろん、「運」をも呼び込む勢いで。親方様に戦略があれば、各論的な戦術はおのずと展開されてきます。この大河ドラマも あと2~3回で終わります。そんな目で大河ドラマ「おごう」と「家康」を観ては如何でしょう?

♣ 今 日本は東日本大震災・一千兆円の国内負債・ギリシャ問題で揺れるEU・TPP参加後の日本・それに伴う医療・介護のシステム公開の問題など どれ一つとっても苦しむアイテムばかりです。

♣ 今から150年前、徳川時代末期の日本は「尊王攘夷」(そんのう・じょうい)の嵐で揺れ動いていました。それは「天皇を立てよ、夷敵を追い出せ ! 」という意味です。なにしろアメリカの黒船の巨砲が火を吹いたら 江戸の街は焼け落ちます。尊王の志士・吉田松陰が その黒船をそっと観察すると、きびきびした若者たちが舟の上で 見たこともない勤勉な訓練を励んでいます;第一、その舟の重厚さ ! 彼は「攘夷」(じょうい)という言葉に疑問を持ち「イヤ、これは国を開いて学ぶべきものを学ぼう」と考えました。その考えが時の政府に認められず、彼は打ち首で処刑されました。

♣ でも、日本は結局 開国・貿易し、人口は三千万から六千万に増え、太平洋戦争の頃には一億人に達しました。明治開国時の「不平等条約」の改正までに半世紀の長きをかけ苦しみましたが、戦後の今は一億二千万人の人口で、これを日本の繁栄と言わずして何でありましょうか? 現在 論争中の TPP に参加し、 日本は仮に当座の損失があっても、幕末の「尊王攘夷」の時のように、その二倍三倍を働き、きっと繁栄につながる道を歩むでしょう。

♣ 皆さん、世界の実情に目を向けましょう。日本の誇りある医療・福祉を、単に与えられた受身の「枠」の中だけで守るに止まらず、外に向かって真っ先に開発・応用し、世界の人々の「幸せ」に貢献して行きたいと思います。日本には「基礎研究の実力、それを社会応用する能力」が十分にあると信じています。

   参考:  * = Trans Pacific Partnership.

職員の声

声1: 「おごう」は自己主張をするけれど、大局的には時代の流れに飲み込まれて行く主人公の悲哀を感じます;私は現代に生まれてよかった;自由と義務のバランスの中で生きて行きます

声2: 日本の医療・介護が世界最先端であっても、多くの国民はそれを認識せず、それどころか クレームをつけて、果てしない極楽を求めています係り:一度 外国に出て病気にあえば、他の先進国医療が どんなにすさまじいかが すぐ分かり、日本に帰りたくなるでしょう)。

声3: 介護保険は枠がはめられているが、「パラケア」(自主的なサービス)なら その枠を越えて成長することができます;何とかして福祉の多様性を活かしたい

声4: 良い制度は「良かれ」と思ってできるが、時代とともに くすんでしまい、モンスター達の餌食になる;柔軟な福祉政策で時代にマッチした変態をしなければならない;福祉の戦略とは何だろうか?(係り:それは「」としか言いようがない;今の介護保険や生活保護などは、少子高齢化の影響により やがて崩壊するかもしれないが、福祉の戦略は「その先」を見据えておかねばなりません)。

声5: TPPについては国内で賛否両論があるけれど、日本社会が「成長するための戦略」は必要不可欠だと思います(係り:私は TPP を“黒船の尊王攘夷だ”と見ています——港を閉じたままなら、日本の人口も明治以前の3千万人に戻るでしょうし)。

声6: 今後の日本は 物の輸出ではなく 「サービス」の輸出が主体になるでしょう;さらに「クレームへの対応法」などの方法論も輸出し、世界をリードするようになるかも知れません(係り:すばらしい提案です;水掛け論で そのうえ非生産的な「モンスターとクレーマーの時代」を早く卒業したいですね)。
 
プロフィール

ふじひろパール

Author:ふじひろパール
「ふじ」=新谷冨士雄
「ひろ」=新谷弘子

社会福祉法人 パール
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